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経営者が覚えておきたい支払調書について解説!義務や範囲も紹介

2022年12月9日
経営者なら覚えておきたい!支払調書について解説!義務や範囲も紹介

企業では、フリーランスの方などに業務を外部委託することも多いです。

そのようなフリーランスの方に報酬を支払った後、税務署に対して提出する「支払調書」という書類が必要なのはご存知でしょうか。

本記事では、支払調書の意味と位置づけ、作成の仕方、作成に当たっての注意点について説明していきます。

支払調書とは

支払調書とは、主に企業がフリーランスの方に業務を発注して報酬を支払うときに、年間で支払った報酬額や源泉徴収税額を集計した書類です。

正式名称は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」で、企業は年に1回、1月31日までに税務署へ提出する必要があります。

支払調書の提出が求められる理由として、フリーランスなどの個人事業主が正しく税金を申告しているかを税務署が確かめるためです。

報酬を支払う企業に対して支払調書の作成と提出を求めることで、報酬を受け取った個人の申告内容と合っているかを確認します。

支払調書の対象

支払調書の対象となる職種は広範囲にわたります。

多く考えられるケースは、弁護士・税理士・社労士などの士業の方に報酬や契約金を支払うケース、デザイナーやライターなどのクリエイターに支払うケース、また演劇やテレビ等の芸能に関する出演者に支払うケースなどがあり、それぞれ年中に支払った金額が一定の金額を超えるものについて、支払調書が必要になります。

対象職種

職業金額等
外交員、集金人、電力量計の検針人およびプロボクサー等の報酬・料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金1年間の合計が50万円を超えるもの
馬主に支払う競馬の賞金1回の支払額が75万円を超えるもの
プロ野球の選手などに支払う報酬1年間の合計が5万円を超えるもの
弁護士や税理士などに対する報酬等1年間の合計が5万円を超えるもの
診療報酬1年間の合計が50万円を超えるもの

出展:国税庁「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等

競馬の賞金を除いて、1年間の合計金額に着目し、一定金額を超えると支払調書を作成する必要があることが分かります。

会社は支払調書を必ず発行しなければいけない?

源泉徴収義務のある職種を対象とした業務委託を行う場合、税務署に必ず提出しなければなりません。

一方で、報酬を支払った相手に発行する義務はありません。

ただし、業務委託先がフリーランスであれば、支払い調書の写しを提供することで、業務委託先の確定申告が楽になるので、発注先としての印象は大変良くなります。

支払調書を作成する際に記載すべき項目

ここからは、国税庁の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を元に、支払調書で記載すべき項目を説明します。

  1. 支払を受ける者

支払を受ける者の住所・名称を契約書等で確認して記載し、単に屋号のみを記載するのは不可。

また、支払を受ける者のマイナンバーが必要

  1. 区分

報酬・料金等の名称を記載。

例)原稿料・印税・契約金など

  1. 細目

記載すべき内容が細かく定義されています。

印税書籍名
原稿料、さし絵料支払回数
放送謝金、映画・演劇の俳優等の出演料·出演した映画、演劇の題名等
弁護士等の報酬、料金関与した事件名等
広告宣伝のための賞金賞金の名称等
教授・指導料講義名等

このように、2の区分によって3の細目に記載すべき内容が異なってくるので注意しましょう。

  1. 支払金額

該当年度中に支払の確定したものを漏れなく記載します。

  1. 源泉徴収税額

該当年度中に源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額を記載します。

  1. (摘要)

支払を受ける方が源泉徴収の免除証明書を提出した方である場合はその旨を記載します。

  1. 支払者

報酬、料金などを支払った方の住所や所在地・名称・電話番号及びマイナンバー(または法人番号)を記載します。

支払調書に関する注意点

ここからは、支払調書に関する注意点を紹介します。

作成する場合は各人のマイナンバーが必要

前項の「支払調書を作成する際に記載すべき項目」で紹介したように、支払う側、支払を受ける側いずれもマイナンバー(または法人番号)が必要になります。

事前に準備しておくよう注意しましょう。

支払調書を発行するには

ここからは、実際に支払調書を発行する際に活用できるフォーマットや雛形を紹介します。

  • 国税庁のフォーマット
  • 表計算ソフト
  • 会計ソフト

以下で順番に詳しく見ていきます。

国税庁のフォーマットを使用する

最初は、国税庁のフォーマットを紹介します。

こちらの「[手続名]報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)」に「申請書様式・記載要領」が掲載されています。

国税庁公式のフォーマットのため、フォーマット自体の誤りが無いのがメリットです。

一方で、手書きまたはPDFに文字をベタ打ちで入力する必要があり、記載漏れや計算間違いのリスクがある点がデメリットになります。

表計算ソフトを使って発行する

つづいて、Excelなどの表計算ソフトを使って自力で発行する方法です。

使い慣れたソフトであれば、普段集計しているデータを引っ張ってくることも可能で計算間違いのリスクが減らせるのがメリットです。

一方で、常に最新版の国税庁フォーマットに合わせる必要があり、毎年微修正が必要な可能性があるのがデメリットになります。

会計ソフトで作成する

最後に、会計ソフトで作成する方法です。

多くの会計ソフトには、税務関係の帳票を出力する機能が備わっているので、普段から使用している会計ソフトがあれば帳票作成機能を利用するのがおすすめです。

デメリットとしては、会計ソフトの購入費用またはサブスクリプション費用がかかることが挙げられます。

支払調書の提出が必要な事業を行っている場合は忘れずに提出する

本記事では、支払調書の意味と位置づけ、作成の仕方、作成に当たっての注意点について説明してきました。

  • 弁護士など特定の職種の相手に対して支払を行うときに、税務署に対して提出が必要な書類
  • 作成時にはマイナンバーが必要
  • 作成方法は複数あるが、会計ソフトを使って作成するのがおすすめ

支払調書は、フリーランスの方などに外部委託を行う際には必ずチェックしておきたい重要な書類なので、忘れずに手続きをしましょう。

エスエスコンサルティングでは、このような忘れてはいけない業務も含めてご支援が可能なのでぜひご相談ください。

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