コロナ・災害・物価高…非常時の資金確保術|建設業が倒れないための財務戦略 3
2025年9月3日
コロナ・災害・物価高…非常時の資金確保術
― 建設業が倒れないための“守りの財務”とは ―

1. はじめに|「非常時」は誰の身にも起きる
コロナ禍をはじめ、地震や台風といった自然災害、そして昨今の物価高やエネルギーコスト上昇——。 建設業にとって予期せぬ外的要因は、資金繰りに直結する“生死の分かれ目”です。
本記事では、万が一のときに慌てないための「非常時資金確保術」を具体的に解説します。
2. 資金ショートを防ぐための3原則
- ①キャッシュを守る意識:利益ではなく現金残高を見る
- ②早めに動く:資金がなくなってからでは遅い
- ③借りられる時に借りる:信用があるうちがチャンス
3. 緊急時に使える資金確保手段【6選】
1. 公的融資(危機対応融資)
日本政策金融公庫や制度融資には、災害や感染症対応の特別枠があります。
無担保・低利率・据置期間ありのケースが多く、最優先で検討すべき手段です。
2. 補助金・助成金の活用
事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、雇用調整助成金など、政府支援を最大限に活用しましょう。
専門家のサポートを受けることで採択率が向上します。
3. ファクタリング(売掛金の現金化)
緊急の資金需要に対応するため、売掛金を早期に現金化できるファクタリングも有効です。
信用に傷がつかない「2社間ファクタリング」も選択肢に。
4. 銀行借入のリスケ・条件変更
元金返済の据置や支払期日の見直しなど、銀行との信頼関係を前提とした交渉が重要です。
5. ノンバンク系資金調達
銀行以外の融資やクレジットライン確保も検討対象に。金利は高めでも、スピードと柔軟性に優れます。
6. リース・レンタルの活用
高額な設備投資を避け、月額払いで資金負担を平準化するリース活用は、非常時の財務安定策です。
4. 建設業特有のリスクと「資金繰り」の罠
・完成工事高と支払のタイムラグ
・元請からの支払遅延
・一括仕入・一括支払構造
といった構造的な資金繰りの歪みにこそ、普段から備えが必要です。
5. 非常時でも信頼される“銀行対応”の姿勢
非常時こそ、銀行との「誠実な対話」が差を生みます。
・早めの相談
・資金繰り表の提出
・返済再開の見通し提示
など、信用回復を意識した対応を心がけましょう。
6. まとめ|「平時の準備」が会社を守る
会社経営とは、「いかにリスクに備え、ダメージを小さくできるか」の連続です。
非常時に備える“攻めと守りの財務設計”を、平時から始めておくことが企業継続の鍵になります。