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職人が辞めない給与・人事評価制度の作り方|建設業【建設の参謀】

2026年6月29日
職人が辞めない給与・人事評価制度の作り方|建設業の賃上げ圧力に負けない第3の賃金設計【建設の参謀】 決算賞与 利益連動 評価給(変動) 技術・貢献度で決まる 基本給(固定) 生活を守る最低保証 No.031 建設業 人材・組織 「給料を上げても 職人が辞める」を解決する 固定費を上げずに定着率を高める 第3の賃金設計と人事評価制度 給与設計の方法 評価制度の作り方 定着率向上の秘訣 建設の参謀|SSコンサルティング ss-consul.co.jp

人材定着 給与設計 人事評価制度  対象:年商1〜5億 下請け建設会社の経営者

「給料を上げても職人が辞める」を解決する|固定費を上げずに定着率を高める第3の賃金設計と人事評価制度

「給料を上げたのに、それでも辞めていく」——多くの建設会社の社長がこの矛盾に悩んでいる。しかし、職人が辞める本当の理由は給料の「額」だけではない。「評価されていない」「頑張っても頑張らなくても同じ」「将来が見えない」——こうした不満が離職を引き起こしている。本稿では、固定費を上げずに職人の定着率を高める「第3の賃金設計」と、建設業に特化した人事評価制度の作り方を解説する。

結論:職人が辞める本当の理由は「給料の額」ではない

多くの社長は「給料さえ上げれば人は定着する」と考えている。しかしこれは半分正解で、半分間違いだ。給料が低すぎれば当然離職につながる。しかし給料が業界水準を満たしていても辞める職人には、別の理由がある。

退職した職人にヒアリングした結果、最も多い理由は以下の3つだ。給料の「額」を理由に挙げた人は、実は全体の3割程度に過ぎない。

⚠ 職人が辞める本当の理由トップ3
第1位:「頑張っても頑張らなくても評価が変わらない」(公平感の欠如)
第2位:「将来どうなれるのか見えない」(キャリアパスの不透明さ)
第3位:「自分の仕事が認められていない」(承認欲求の未充足)

給料を上げる前に、まずこの3つの問題を解決することが先決だ。
【図1】職人が定着する会社・しない会社の違い ❌ 職人が辞める会社 ・給与が「感覚」で決まっている ・頑張っても評価が変わらない ・将来のキャリアが見えない ・社長の「好き嫌い」で決まる ・賃上げが固定費増加につながる → 離職→採用→教育の悪循環 ✅ 職人が定着する会社 ・給与が「基準」で決まっている ・頑張りが評価に反映される ・3年後・5年後の姿が描ける ・公平な基準で全員を評価する ・利益連動で固定費を抑制する → 定着→成長→会社の強化
定着の問題は「給料の額」ではなく「仕組みの有無」で決まる。

「第3の賃金設計」とは何か

建設業の給与設計には、大きく3つのアプローチがある。多くの中小建設会社が陥っているのは「①か②だけ」の設計だ。会社を守りながら職人の意欲を引き出すには、③の「利益連動型」を組み合わせることが鍵になる。

❌ 問題あり
①固定給だけ
頑張っても頑張らなくても同じ給料。優秀な職人のモチベーションが下がり、やがて転職する。会社の業績が悪化しても固定費は下がらない。
⚠ 注意が必要
②完全出来高制
仕事が少ない月の収入が不安定で、職人の生活が守れない。安全管理より稼ぎを優先する行動を生みやすく、事故リスクが上がる。
✅ 推奨
③基本給+評価給+決算賞与
生活を守る基本給に、頑張りを反映する評価給を加え、会社の利益から決算賞与を還元する。固定費を抑えながら職人の意欲を引き出す「第3の設計」だ。

第3の賃金設計:3層構造の詳細

推奨する「③基本給+評価給+決算賞与」の3層構造について、それぞれの役割と設計方法を解説する。

  • 基本給(全給与の60〜70%):生活を守るための最低保証。役職・勤続年数・資格を基準に設定する。年功序列の要素を残しつつも、上限を設けることが重要だ。固定費の増加を最小限に抑えるため、毎年の昇給幅は小さく設定する。
  • 評価給(全給与の20〜30%):技術力・貢献度・行動基準の評価に基づいて変動する部分。半期ごとに見直し、評価が上がれば増額・下がれば減額する。この変動部分があることで「頑張れば報われる」という実感が生まれる。
  • 決算賞与(利益の一定割合):会社の利益が出たときだけ支給する成果還元。「会社が儲かれば自分にも返ってくる」という意識が、職人の経営参加意識を高める。業績が悪い年は支給しないため、固定費の膨張を防げる。

建設業に特化した「人事評価制度」の作り方

評価給を機能させるには、公平で納得感のある評価制度が必要だ。「社長の主観」「先輩への忖度」「仲の良さ」で評価が決まる会社は、優秀な職人ほど先に辞めていく。以下に建設業向けの評価項目と配点の設計例を示す。

📋 建設業 人事評価シート(設計例)

技術力 施工精度・仕上がり品質 25% 完成物のクレーム件数・手直し回数で評価
技術力 保有資格・スキルの幅 10% 取得資格数・対応できる工種の幅で評価
生産性 工期・時間内の作業完了率 20% 予定工期内完了率・残業時間で評価
安全 安全管理・ヒヤリハット報告 15% 事故・怪我ゼロ・ヒヤリハット報告件数で評価
人材 後輩・若手への指導・育成 15% 担当した若手の成長度・指導時間で評価
行動 コミュニケーション・報連相 15% 報告の速さ・正確さ・チームワークで評価

重要なのは、これらの評価基準を職人自身に事前に開示することだ。「何をすれば評価が上がるか」が分かれば、職人は自発的に行動を変える。評価基準が「ブラックボックス」になっている会社では、不満だけが積み重なっていく。

【図2】人事評価制度 導入4ステップ STEP 1(1ヶ月目) 評価基準の設計 ・評価項目と配点決定 ・職人代表を交えて  基準を作る 納得感が最重要 STEP 2(2ヶ月目) 全員への説明 ・評価基準を全員開示 ・給与設計の変更を  丁寧に説明する 疑問は全て答える STEP 3(3〜8ヶ月) 試験運用・調整 ・半期を試験期間に ・評価者の訓練 ・フィードバック収集 修正を怖れない STEP 4(9ヶ月〜) 本格運用 ・評価給の反映 ・決算賞与の支給 ・毎年見直しを実施 定着率の改善へ
職人を巻き込んで作ることが、制度への納得感と定着の鍵だ。

キャリアパスの設計:「将来が見える会社」を作る

給与と評価制度を整えても、「自分がこの会社でどうなれるのか」が見えなければ、優秀な職人は転職を考える。特に20〜30代の若手職人は、成長の機会とキャリアの見通しを強く求めている。

職位・等級を明確に定義する

「見習い→職人→主任職人→現場リーダー→現場監督」のような職位段階を設け、それぞれに必要な技術・資格・経験年数を明示する。「あと2年でリーダーになれる」という具体的な見通しが、定着率を大きく改善する。

資格取得を会社がサポートする

施工管理技士・各種技能士などの資格取得費用を会社が負担し、合格時に資格手当を支給する仕組みを作る。職人が「スキルアップすれば給料が上がる」と実感できれば、自発的な成長意欲が生まれる。

半期に1回の面談を義務化する

社長または上長が全職人と1対1で面談する機会を作る。「今の仕事の悩み」「将来やりたいこと」「評価への疑問」を聞くことで、不満が蓄積する前に手を打てる。面談なしに「突然の退職」を防ぐことはできない。

よくある失敗:制度を作っただけで終わる

人事評価制度を導入した建設会社の多くが、半年以内に「うまく機能しなかった」と感じている。その理由のほとんどは「制度の設計」ではなく「運用の問題」だ。

  • 評価者(社長・上長)が評価基準を理解していない:制度を作っても、評価する側が基準を正確に理解していなければ、結局「感覚評価」に戻ってしまう。評価者訓練が必須だ。
  • 評価結果をフィードバックしない:「評価した結果を本人に伝えない」「なぜその評価になったかを説明しない」会社では、職人の不満は解消されない。評価は必ず本人にフィードバックする。
  • 制度を毎年見直さない:会社の状況や業界環境は変わる。評価制度も毎年1回は見直し、実態に合った基準に更新することが必要だ。
  • 一部の職人だけが優遇される:社長と仲の良い職人、声の大きい職人が有利になる制度では、かえって不満が高まる。公平性こそが評価制度の命だ。
【図3】定着率改善がもたらす経営効果(年商2億・職人10名モデル) 離職率30%(制度なし) 年間離職人数3名/年 採用・教育コスト約150万円/名 年間損失合計約450万円 +生産性低下・品質ムラも発生 離職率10%(制度あり) 年間離職人数1名/年 採用・教育コスト約150万円/名 年間損失合計約150万円 差額 年間300万円の節約+生産性向上
定着率を30%→10%に改善するだけで、年間300万円以上のコスト削減につながる。
「給料を上げれば人は残る」という時代は終わった。職人が求めているのは「公平な評価」「成長の機会」「将来の見通し」だ。これらを仕組みで提供できる会社だけが、人材不足の時代を生き残れる。
参謀からの一言:
人事評価制度は「完璧なものを作ろうとしない」ことが成功の秘訣だ。最初は60点の制度でも構わない。職人と一緒に作り、一緒に改善していく過程そのものが、会社への帰属意識を高める。「自分たちで作った制度」という実感が、最大の定着促進につながる。

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