No.127 人がいないから、つい社長自身が現場の資材運びやクレーム対応に走り回ってしまう。
2026年3月9日
人がいないからと、社長が「現場の資材運び」をしていませんか?
会社の未来を潰す「プレイングマネージャー病」からの脱却法。

「人が足りないから、仕方なく俺が現場に出ているんだよ」
「クレーム対応から資材の運搬まで、自分が動かないと現場が回らない」
日々、作業着を泥だらけにして走り回っている社長。その懸命な姿には頭が下がります。しかし、冷酷な事実をお伝えしなければなりません。
社長が現場の最前線で「プレイヤー」として汗を流している限り、あなたの会社がこれ以上大きくなることは絶対にありません。
今回は、多くの中小建設業の経営者が陥る「プレイングマネージャー病」の恐ろしさと、そこから抜け出し、本来の「経営者の仕事」を取り戻すための具体的な方法についてお話しします。
第1章:社長の本当の「時給」はいくらか?
「自分が動けば人件費が浮く」と考えていませんか? それは経営において最も危険な錯覚です。
少し計算してみましょう。仮にあなたの会社の目標とする年間粗利が1億円だとします。社長の労働時間を年間2000時間とした場合、社長が稼ぎ出すべき「1時間あたりの粗利(=時給)」は5万円です。
それにもかかわらず、社長であるあなたが時給1,500円で誰にでもできる資材運びや、単純な事務作業、御用聞きのような営業をしているとしたらどうでしょうか。
それは節約ではありません。1時間あたり4万8,500円の「見えない損失」を出し続けているのと同じことです。
第2章:社長が現場に出ると、会社に何が起きるのか
「そうは言っても、任せられる人間がいないんだ」という反論が聞こえてきそうです。しかし、社長が現場に出続けることで、会社は以下のような負のスパイラルに陥ります。
- 社員が育たない: 「困ったら最後は社長がなんとかしてくれる」という甘えが蔓延し、指示待ち人間ばかりになります。
- 仕組み化が遅れる: 社長の属人的なスキルや人脈で仕事が回っているため、マニュアルや業務フローが一生作られません。
- 未来の売上が消える: 現場のトラブル対応に追われ、半年後、1年後の仕事を取るための戦略を練る時間が「ゼロ」になります。
社長がプレイングマネージャーでいる状態は、「今日を生き延びる」ことには役立っても、「明日を創る」ことを完全に放棄している状態なのです。

第3章:手放す勇気を持つための「3つの決断」
この状況から抜け出すためには、社長自身の「手放す勇気」が必要です。具体的には、以下の3つを実行してください。
決断1:現場作業・単純事務の切り離し
「社長でなくてもできる仕事」は、今日からすべて手放してください。パートやアルバイトの雇用、外部へのアウトソーシング、あるいはITツールを使った自動化(DX)に投資しましょう。そこにかかる費用は「コスト」ではなく「社長の時間を買うための投資」です。
決断2:御用聞き営業からの脱却
「とりあえず顔を出してきます」というだけの営業はやめましょう。社長の仕事は、足を使って名刺を配ることではなく、「頼まなくても優良顧客が舞い込む仕組み」や「リピートされるブランド」を作ることです。
決断3:「未来の売上を作る仕事」への一点集中
空いた時間をすべて、「経営戦略の立案」「採用・組織づくり」「資金繰り・財務戦略」という、社長にしかできない仕事に全振りしてください。これこそが、会社の売上を10億、20億へと引き上げる唯一の道です。
まとめ:社長の仕事は「現場を回すこと」ではない
人がいないから現場に出る。その責任感は立派ですが、厳しい言い方をすれば、それは「経営からの逃げ」です。
「人がいなくても回る仕組み」を作るのが経営です。「優秀な人材が入りたくなる会社」を作るのが経営です。
明日から、現場に行くための作業着ではなく、会社の未来を描くためのペンを握ってください。あなたの決断一つで、会社の未来は劇的に変わります。
「現場から抜け出せない」と嘆く前に。
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「任せられる人がいない」「仕組みの作り方がわからない」。その悩み、放置すればするほど、社長の体力と会社の未来が削られていきます。
業務の切り分け、右腕の育成、属人化からの脱却まで。御社の現状をヒアリングし、社長が「経営」に専念できる強い組織を作るためのロードマップを構築します。
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執筆:鈴木 進一
エスエスコンサルティング株式会社 代表取締役
建設業・製造業を中心に、累計1,400社以上の財務・経営支援に関わる。
「現場の悲鳴」を「経営の力」に変えるバックオフィス改革を支援。
建設業のM&A、事業承継、DX推進の専門家。単なるツール導入ではなく、利益を生み出す強い財務体質へと変革する「建設の財務参謀」。