No.92 社長一人の限界突破!年商5億の壁を前に「右腕不在」に悩む工務店が、現場監督を幹部に育て上げた「権限委譲」の成功事例
2026年1月8日
【実録】社長一人の限界突破!年商5億の壁を前に「右腕不在」に悩む工務店が、現場監督を幹部に育て上げた「権限委譲」の成功事例
「鈴木さん、体がもう一つ欲しいですよ…。現場の段取り、施主との打ち合わせ、見積もり作成、資金繰り…。全部俺がやらなきゃいけない。あいつら(社員)は指示待ちばかりで、少し目を離すとすぐミスをする。右腕と呼べる幹部がいれば、もっと楽になるのに…」
地方都市で地域密着の工務店を営む山田工務店(仮称)の山田社長(52歳)は、疲労困憊の様子で私に訴えかけました。
創業から20年、社長のカリスマ性と馬力で年商5億円まで成長させてきましたが、ここ数年は横ばい。「社長一人の限界」が、会社の成長の限界になっていたのです。
多くの建設社長が、この「年商5億の壁」と「右腕不在」の悩みに直面します。
しかし、山田社長はある決断と実行によって、この壁を突破しました。現場監督だった30代の社員を、たった1年で「経営視点を持つ幹部」へと育て上げたのです。
今回は、山田工務店が実践した、血と汗と涙の「権限委譲」の成功事例を、ノウハウと共にお伝えします。
なぜ、あなたの会社には「右腕」が育たないのか?
山田社長も以前はそうでしたが、「右腕がいない」と嘆く社長の多くは、無意識のうちに**「任せられない病」**にかかっています。
- 「俺がやった方が早いし、確実だ」
- 「あいつに任せて失敗したら、施主に迷惑がかかる」
- 「まだ彼には荷が重すぎる」
そう言って、重要な仕事や決定権を全て自分で握りしめていませんか?
社長、はっきり言います。あなたが「任せない」限り、部下は永遠に「指示待ち人間」のままです。人は、責任を与えられ、失敗を経験することでしか成長しません。
【実践】現場監督を幹部に変えた、段階的「権限委譲」3ステップ
「このままでは俺が倒れるか、会社が潰れるかだ」。危機感を抱いた山田社長は、最も信頼していた現場監督の佐藤さん(35歳・仮称)を呼び出し、こう宣言しました。
「佐藤、お前を次期幹部として育てたい。だから、これからは俺の仕事をどんどんお前に任せる。失敗してもいい。全責任は俺が取る」
そして、以下の3つのステップで段階的に権限を委譲していきました。
ステップ1:「小さな決定権」と「財布」を渡す
まず、現場で発生する30万円以下の材料発注や、協力業者へのちょっとした追加工事の指示を、佐藤さんの裁量で決められるようにしました。
「いちいち俺に確認しなくていい。お前が現場でベストだと思った判断をしろ」
最初は恐る恐るだった佐藤さんですが、自分で決めて自分で発注する経験を重ねるうちに、「やらされ仕事」から「自分の現場」という意識が芽生え始めました。
ステップ2:「現場単位の利益責任」を持たせる
次に、佐藤さんが担当する現場の「実行予算書」を作成させ、完工時の「粗利益」に責任を持たせました。
これまでは「工期に間に合わせる」「きれいに仕上げる」ことしか考えていなかった佐藤さんですが、数字の責任を持たされたことで意識が激変しました。
「社長、この材料だと予算オーバーします。別のメーカーで同等品を探してもいいですか?」「ここの工程、工夫すれば人工(にんく)を1日減らせそうです」
佐藤さんの口から、経営者と同じ「コスト」や「利益」に関する言葉が出るようになったのです。
ステップ3:失敗を許容し、「答え」ではなく「問い」を与える
もちろん、順調なことばかりではありません。佐藤さんの判断ミスで、施主からクレームが入ったこともありました。
以前の山田社長なら「何やってんだ!」と怒鳴りつけ、自分で火消しに走っていたでしょう。
しかし、山田社長はぐっとこらえました。佐藤さんを呼び出し、静かにこう聞きました。
「今回の件、お前はどう思う? なぜミスが起きた? 次に同じことが起きないようにするには、どういう仕組みが必要だと思う?」
答えを教える(ティーチング)のではなく、考えさせる(コーチング)に徹したのです。
佐藤さんは冷や汗をかきながら必死に考え、再発防止策を提案してきました。山田社長は「よし、それでいこう。施主への謝罪は俺も一緒に行くが、説明はお前がしろ」と背中を押しました。
まとめ:社長が「任せる覚悟」を持てば、人は必ず育つ
1年後、山田工務店は見違えるようになっていました。
佐藤さんは「工事部長」として複数の現場を統括し、若手監督の指導や、協力業者との単価交渉までこなしています。
山田社長は現場の細々とした業務から解放され、銀行との交渉や、今後の事業展開を考える「社長業」に専念できるようになりました。年商も6億円を超え、次のステージが見えてきました。
「鈴木さん、あいつ(佐藤部長)、最近は俺より厳しいこと言いますよ。『社長、その接待費、本当に必要ですか?』なんてね。頼もしい限りです」
山田社長は、嬉しそうに笑いました。
社長、次はあなたの番です。
「右腕がいない」と嘆くのをやめ、「右腕を育てる覚悟」を決めませんか? あなたが手放した権限の分だけ、部下は育ち、会社は大きくなります。
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