運送業者が抱える人手不足と課題解決方法|活用すべき人材やサービスとは?
2023年4月19日運送業者は、継続的に人手不足に悩んでいる現状にあります。
理由としては様々ですが、若手人材から過酷な労働環境であるというイメージ付けや深夜労働が多いという情況から新しい人材が入りにくいと言われています。
運送業者は、この国の製造業やECなどにとって運輸インフラを支える重要な存在です。
人手不足が進んでしまうと、今日頼んで明日届く当たり前がなくなってしまう可能性があります。
本記事では、運送業者が抱える人手不足の現状と課題解決につながる採用媒体やサービスを紹介します。
運送業者の方で、人手不足に悩んでいるという方は参考にしてみてください。
有効求人倍率でみる運送業の人手不足
運送業界が人手不足である根拠として、有効求人倍率があります。
有効求人倍率とは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを表す指標で、高ければ高いほど人手不足ということになります。
上表は国土交通省が発行する「トラック運送業の現状等について」の資料の表で、ピンクの線が全職業で緑が貨物自動車運転手(ドライバー)の求人倍率を表しています。
平成30年までのデータで、右肩上がりとなっており平成27年には2倍を超えているため、慢性的な人手不足といわれているのです。
運送業が人材不足になる理由
運送業が人手不足になる理由はいくつかあり、そのうちの代表的な例を紹介します。
理由を理解することにより、なぜ自社が人手不足なのかを理解できるでしょう。
大きく以下の3つを紹介します。
- 労働環境が過酷というイメージがついている
- ドライバーの高齢化
- パンデミックによるECサービスの需要過多
労働条件に課題がある
人材不足の理由として、労働条件の課題が挙げられます。
労働条件としては、賃金や労働時間、福利厚生制度、昇給・昇格制度など様々です。
上表は、国土交通省の資料内にある表ですが、年間所得および労働時間は全産業と比較して良いとはいえません。
特に中小型トラック運転手はより悪いといえるでしょう。
労働時間が長くなってしまうことに加え、労働時間を理由に求職者が現れないのは以下のような理由が挙げられます。
荷待ち時間
荷待ち時間とは、ドライバーがトラックに荷物の積載、荷下ろしを待つ時間を表します。
荷待ち時間の割合として、1運行あたりの全体の26.4%が1時間〜2時間、2時間以上が28.7%と半数以上が1時間以上の荷待ち時間がある実態です。
実際に運転のみならず、荷主(荷物の所有者側)の都合などで労働時間が伸びている現状にあります。
想定30分として荷待ち時間を考えたスケジュールでも、実際は3時間であれば2時間半のオーバーとなり、運転時間をいれると長時間労働に繋がります。
ドライバーは1運行だけではないため、2運行しただけでほぼ1日中仕事をしていることになるのです。
深夜労働
ドライバーが深夜労働になる理由として、以下の2つがあります。
- 渋滞を避けるため
- 荷受人の店舗の開店に間に合わせるため
日中は渋滞が予想されるため、道中に止まらずに運転できるように渋滞を避けるようにしているため、深夜に運転をするケースが多いため深夜労働が多いと言われています。
また、荷受人の店舗のオープンが9時~10時のケースが多いためその開店に間に合うように、深夜に出発して早朝にいくという動きを取るため深夜労働につながります。
業界として、深夜労働はしなくてはいけない状態ではあるため、休憩ルールやイレギュラー時の配慮など含めて制度を作ると労働環境の改善につながるでしょう。
ドライバーの高齢化
トラックを運転するドライバーの高齢化により、若手人材が少ないことが課題とされています。
総務省の労働力調査によると、道路貨物運送業の45.2%が40歳~54歳で構成されており、決して若くはありません。
そのため、体力が衰えていくのに長時間かつ深夜労働が増えている状況が良くないとされています。
パンデミックによるECサービスの需要過多
2020年頃に発生したパンデミックの影響により、巣ごもりする人が増えてECサービスの需要が爆発的に増えたことによって、人手不足にもかかわらず稼働量が増えている実態がありました。
個人事業として、運送業を行っているドライバーは収入が増えたケースもありますが、会社勤めの場合は給料制なので大きく変わることはありません。
そのため、仕事量が増えているにもかかわらず、労働条件が変わらないことが人手不足に繋がっているといえるでしょう。
需要が上がり、売上高が増えた場合は社員にボーナスで還元するなどし、求人票に記載できるボーナス実績を良くすることで人手不足の解消に繋がります。
人手不足を解決するための方法・利用したいサービス
人手不足を解消するための方法として、以下の4つを紹介します。
- 若手が魅力的に思う福利厚生制度を策定
- 案件数を調整し現在の人員で無理のない運営をする
- 正規スタッフに依存せず派遣会社やアルバイトに頼る
- 経営コンサルタントに依頼し運営における無駄を省く
人手不足の解消として、若手の確保や人数の確保、現在働いている社員のモチベーションの維持及び向上が重要なポイントとなります。
若手が魅力的に思う福利厚生制度を策定
若手が少ない理由として、若者にとって魅力的ではない職場環境である可能性が高いです。
例えば、基本給が低いのに家賃補助や引越手当などがないケースです。
福利厚生費は比較的自由に利用できる経費であるため、会社の節税対策にもなるため、若手が喜ぶような福利厚生制度を作ってみてはいかがでしょうか?
昼食補助などがあると、収入が低い若手から喜ばれる可能性があります。
また、福利厚生だけではなく細かい社内連絡をメールや電話でのみ行っている場合、チャットツールを導入するなどコミュニケーションが円滑になる取り組みも必要です。
案件数を調整し現在の人員で無理のない運営をする
利益を上げなければいけないという考えから、従業員に無理をしてもらっても案件を多く対応しているという会社は多いのではないでしょうか。
しかし、従業員に無理をさせてしまうと業務効率が下がるだけではなく、従業員満足度の低下を招くほか疲労が蓄積して事故に繋がる可能性があります。
法定休日を守っていたとしても、見えない疲労が溜まっている可能性もあるため、無理なく働ける仕事量にして働きやすい職場づくりが重要です。
正社員に依存せず派遣会社やアルバイトに頼る
正社員であれば、会社と正規雇用を結び責任をもって働いてくれるというイメージがあります。
しかし、その安心感を得るために外部人材を頼らないと人手不足に陥り、現在働いている正社員のスタッフの負担も大きくなってしまいます。
そのため、派遣会社の利用やアルバイト、契約社員などの採用に乗り出す必要があります。
なかでも派遣会社の場合、育成の必要がないプロをすぐに派遣してもらえるため、安心して採用できます。
急に正社員が辞めてしまうことになり、穴ができてしまっても活用できるのでパイプを持っておいたほうがよいでしょう。
経営コンサルタントに依頼し経営における無駄を省く
経営コンサルタントに依頼すると、人材の稼働状況および売り上げから、稼働が少ないまたは偏って多い人員を整理して効率的に運用できるように調整してもらえます。
また、抜本的に経営課題を俯瞰して解決してもらえる利点もあるため、経営コンサルタントに相談することで会社経営の無駄を省くことが可能です。
経営コンサルタントによっては、つてを使って採用支援をしてもらえることもあるため、相談時に話してみましょう。
運送業の課題となる2024年問題
2024年問題とは、運送業において時間外労働が960時間に制限されることに起因する問題を指します。
2023年現在、ドライバーの残業時間は36協定の時間外労働時間の上限猶予期間であるため、制限なく働いてもらえる状況でした。
しかし、2024年に960時間の上限が年間で設けられるため、従来960時間以上の時間外労働時間がある会社は大きく是正しなければ労働基準法違反になってしまうのです。
一方で、時間外労働で収入が上がっているドライバーから見て、時間外労働時間に制限があると収入が減ってしまうという見方もあります。
そのため、働き方改革をしなければ生き残れない課題があるため、2024年問題と言われています。
2024年問題について、より詳しい内容は以下の記事を参考にしてみてください。
どうしようもなくなってしまう前に外部人材を頼ろう
人手不足は非常に深刻ですが、事前に対策ができれば大きな問題ではありません。
しかし、少ないまま運営を進めると耐えられなくなった社員が一人、また一人と増えてしまっては経営すら危うくなってしまいます。
本記事で紹介した対策法や派遣会社やアルバイトや契約社員を頼って、迅速に対処をしましょう。
また、エスエスコンサルティングでは運送業者向けの経営コンサルタントも対応可能なので、現在人手不足を含めた経営課題がある方はぜひご相談ください。