No.86 「ボーナスを出したのに辞めていく」のはなぜか?金銭報酬だけでは動かない、若手職人の「承認欲求」を満たす仕組み
2026年1月2日
No.86 「ボーナスを出したのに辞めていく」のはなぜか?金銭報酬だけでは動かない、若手職人の「承認欲求」を満たす仕組み
「鈴木さん、納得いかんのですよ。あいつ、先月ボーナスを奮発してやったばかりなのに、昨日『辞めます』って…。一体何が不満なんだ!?」
年末や年度末になると、血相を変えた社長からこんな電話がかかってきます。
社長の気持ち、痛いほど分かります。「これだけ金を出してやってるのに、恩知らずめ!」と言いたくもなりますよね。
でも、社長。厳しいことを言いますが、その考え方こそが、若手職人を会社から遠ざけている最大の原因かもしれません。
はっきり言います。
令和の若手職人は、「金」だけでは動きません。もちろん金は重要ですが、それ以上に彼らが飢えているものがあるのです。
それが、「承認欲求」です。
「承認欲求? そんな甘っちょろいモン、知るか! 俺らの若い頃は、親方に殴られながら技術を盗んだもんだ!」
その昭和の常識は、もう通用しません。時代は変わったのです。
今回は、金銭報酬だけではつなぎ止められない若手職人の心を掴み、定着させるために不可欠な「承認の仕組み」について、熱く語ります。
「金」は不満を消すが、「やる気」は生まない
経営学の世界には「ハーズバーグの二要因理論」という有名な話があります。人間には仕事に対して二つの感情があるというのです。
- 衛生要因(不満): 給料が安い、残業が多い、人間関係が悪い。
→ これが満たされないと「不満」を感じるが、満たされても「当たり前」と思うだけで、やる気にはつながらない。 - 動機付け要因(満足・やる気): 仕事の達成感、他人からの承認、成長の実感。
→ これが満たされると、「もっと頑張ろう!」という強い「やる気」が生まれる。
つまり、社長が出したボーナスは、彼らにとって「不満を消すための薬(衛生要因)」でしかなかったのです。
薬を飲んで不満が消えたら、次に彼らが求めるのは「やる気(動機付け要因)」です。それがない会社に、未来を感じるでしょうか?
「この会社にいても、誰も俺を見てくれない」「俺の仕事、意味あるのかな…」
そんな孤独感こそが、退職の真の引き金なのです。
若手の心を満たす、3つの「承認」アクション
では、どうすれば彼らの承認欲求を満たせるのか。難しい心理学は必要ありません。現場で明日からできることです。
① 「結果」ではなく「プロセス(過程)」を褒める
仕事が完璧に終わった時だけ「よくやった」と褒めていませんか? それでは遅いんです。
若手は、結果が出るまでの過程でこそ、不安と戦っています。
「お、今日の養生、いつもより丁寧だな。その一手間が仕上がりに出るんだよ」
「今日は暑い中、一度も手を抜かずにハツリ続けてたな。ちゃんと見てたぞ」
「見ていてくれている」という実感こそが、彼らにとって最高の報酬なのです。
日報に一言、手書きでコメントを返すだけでも効果絶大です。
② 小さな「役割」を与えて、頼りにする
いつまでも「見習い」扱いしていませんか? 人は、誰かに頼られた時に「ここに居場所がある」と感じます。
「〇〇君、来週の現場、資材の発注管理を任せていいか? 君なら間違いがないからな」
「今度の新人の道具の手入れ、君が教えてやってくれないか? 俺が教えるより、君の方が上手いから」
どんな小さなことでも構いません。「君が必要なんだ」というメッセージを、役割という形で渡してください。
③ 「成長」を可視化して、未来を見せる
「俺、いつまでこの仕事続けるんだろう…」
出口の見えないトンネルを走るのは苦痛です。
「スキルマップ」を作り、彼らの技術レベルを「見える化」してください。
「おっ、ボード貼りのスピードが上がったから、ランクが一つ上がったぞ。次は難易度の高いこの作業に挑戦してみようか」
自分が成長している実感と、その先にある未来(給与アップや親方への道)が見えれば、彼らは勝手に走り出します。
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まとめ:社長、あなたが彼らの最大の「承認者」になれ
ボーナスは銀行振込で済みますが、「承認」は社長の口から、心から伝えなければ届きません。
手間はかかります。面倒くさいです。
でも、その手間を惜しんで、大切な若手を失い続けるのと、どちらが良いですか?
彼らは、まだ何者でもない自分を認めてくれる存在を探しています。
社長、あなたがその「最初の承認者」になってあげてください。
「うちの会社は、お前の頑張りを絶対に見捨てない」
その確信が持てた時、彼らは初めて、この会社で骨を埋める覚悟を決めるのです。
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