No.59 社長が「現場監督」を兼務している限り、年商3億の壁は越えられない。経営に専念するための“権限移譲”ロードマップ
2025年12月9日
No.59 社長が「現場監督」を兼務している限り、年商3億の壁は越えられない。経営に専念するための“権限移譲”ロードマップ
「俺が現場に出ないと、細かい納まりがわかる奴がいない」
「お客様も俺をご指名だから、現場を離れられないんだ」
職人叩き上げの社長ほど、現場への愛着と責任感が強く、いつまでもヘルメットを脱ぐことができません。
しかし、経営コンサルタントとして多くの建設会社を見てきた経験から断言します。
社長が現場監督を兼務している会社は、年商3億円前後で必ず成長が止まります。
なぜなら、社長の時間は1日24時間しかないからです。
今回は、社長が「現場のプレイヤー」を卒業し、「経営者」として会社のステージを上げるための具体的なロードマップを解説します。
「年商3億の壁」の正体は「社長の時間切れ」
創業期は、社長が一番働き、一番稼ぐことで会社は回ります。
しかし、社員が増え、現場数が増えてくると、社長一人の管理能力では限界が来ます。
社長が現場に張り付いていると、以下の「未来の仕事」がすべてストップします。
- 採用活動:人が採れないから、また社長が現場に出る(悪循環)。
- 銀行交渉:資金調達が遅れ、大きな案件に手が出せない。
- 新規開拓:既存客の対応で手一杯になり、売上の柱が増えない。
現場に出ることは、一見「働き者」に見えますが、経営者の視点で見れば「未来への投資時間の放棄」なのです。
▼ 関連記事:社長が現場に出るリスク
No.6 社長が現場に出ている会社は、年商3億で必ず成長が止まる
権限移譲(デリゲート)の3ステップ
いきなり「明日から現場に行かない」というのは無理です。
以下の手順で、徐々に、しかし確実に権限を移譲していきましょう。
ステップ1:事務作業・雑務を捨てる
まず、現場に行かなくてもできる仕事(見積もり作成、発注、日報チェック)を、事務員や若手社員、あるいはアウトソーシングに任せます。
社長がやるべきは「最終確認」だけです。
▼ 関連記事:事務作業の外注化
No.43 「見積もり作成」は社長の仕事ではない。時給0円の事務作業を捨てて、時給1万円の“未来の仕事”をせよ
ステップ2:現場の「部分」を任せる
現場の全責任を負わせるのではなく、「この工程の品質管理はA君」「近隣対応はB君」と、役割を切り出して任せます。
社長は「巡回」に徹し、要所だけをチェックするスタイルに移行します。
ステップ3:70点で合格点を出す
ここが一番重要です。
部下に任せると、最初は必ず社長よりも低いクオリティ(70点)の仕事しかできません。
ここで「貸せ、俺がやる」と手を出したら、元の木阿弥です。
「70点で合格。残りの30点は失敗させて学ばせる」
この我慢ができるかどうかが、組織化の成否を分けます。
社長の仕事は「現場を回すこと」ではなく「会社を回すこと」
あなたが現場にいなくなっても、最初はトラブルが起きるかもしれません。
しかし、それを乗り越えた時、部下は「社員」から「幹部」へと成長します。
社長の代わりはいませんが、現場監督の代わりはいます。
勇気を持って、ヘルメットを置いてください。
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