No. 57 ITツールを導入する前に「業務を捨てろ」。DX失敗の原因は、今のグチャグチャな業務フローをそのままデジタル化するからだ
2025年12月7日
No.57 ITツールを導入する前に「業務を捨てろ」。DX失敗の原因は、今のグチャグチャな業務フローをそのままデジタル化するからだ
「業務効率化のためにシステムを入れたのに、余計に手間が増えた」
「現場からは『前の紙の方が早かった』と文句を言われる」
建設業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていますが、導入に失敗して「高いゴミ」を抱えている会社が後を絶ちません。
なぜ失敗するのか。
それは、「今のアナログで非効率な業務フロー」を、そのまま「デジタル」に置き換えようとするからです。
グチャグチャに散らかった部屋に、最新のお掃除ロボットを入れても意味がありません。
まずは「片付け(業務の整理)」が先です。
今回は、ITを入れる前に必ずやるべき「業務の断捨離(BPR)」について解説します。
「デジタル化」が「デジタルの無駄遣い」になる時
よくある失敗例を見てみましょう。
- 日報アプリを入れたのに:「社長が紙で読みたがる」ため、事務員がアプリのデータを印刷してファイリングしている。
- 勤怠管理システムを入れたのに:「押し忘れ」が多く、結局給与計算の時に手入力で修正している。
これらは、ITツールのせいではありません。
「紙で保存する」「完璧な打刻を求める」という古いルール(業務フロー)を変えずに、ツールだけ入れた結果です。
これでは、二度手間が増えるだけです。
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ITを入れる前に「やめること」を決めろ
DXの第一歩は、新しいことを始めることではなく、「今の仕事を捨てること」です。
例えば、こんな業務はありませんか?
- 数千円の買い物ごときに、社長のハンコをもらう承認フロー
- 誰も読み返さない、形だけの「安全日誌」
- 定例会議のための「会議資料作り」
これらを「IT化」するのではなく、「廃止」してください。
「ハンコは廃止して事後報告でOK」「日誌は写真1枚でOK」とルールを簡素化する。
その上で、簡素化されたルールに合ったツールを入れるのです。
「現場が楽になる」こと以外はやるな
社長や経理が楽になるためのシステムは、現場は使いません。
「現場の職人が楽になる」システムだけが定着します。
「事務所に戻らなくていい」「手書きしなくていい」
このメリットを提供するために、本社側が業務フローを変えて合わせる覚悟が必要です。
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まとめ:ITは「魔法の杖」ではなく「アンプ(増幅器)」
ITは、業務を拡大(アンプ)させる装置です。
良い業務フローに使えば、効率が何倍にもなります。
しかし、悪い業務フローに使えば、「非効率」が何倍にも拡大され、混乱を招くだけです。
システム屋を呼ぶ前に、まずは社内の「無駄な仕事」をリストアップしてください。
それが、DX成功への最短ルートです。
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私たちエスエスコンサルティングは、いきなりツールを売りつけることはしません。
まずは御社の業務フローを棚卸しし、「捨てるべき業務」と「IT化すべき業務」を仕分けます。
「今の業務のどこにムダがあるのか客観的に見てほしい」
「現場に負担をかけない、最短のデジタル化手順を知りたい」
ITに使われるのではなく、ITを使いこなす筋肉質な組織を作りましょう。
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