No.46 「親父のやり方は古い」vs「息子の考えは甘い」。親子喧嘩で会社が割れる前に決めるべき“承継のルール”
2025年12月4日
No.46 「親父のやり方は古い」vs「息子の考えは甘い」。親子喧嘩で会社が割れる前に決めるべき“承継のルール”
「息子が帰ってきたのはいいが、現場も知らずに理屈ばかりこねる」
「親父は『昔はこうだった』の一点張りで、新しいIT導入の話をまったく聞かない」
親子で経営している建設会社で、このような愚痴を聞かない日はありません。
家では仲の良い親子でも、経営となると話は別です。
一番の被害者は、その喧嘩を見せられる「従業員」です。
「社長は右に行けと言うし、専務(息子)は左に行けと言う。どっちに従えばいいんだ?」
この状態が続けば、古参社員は社長につき、若手社員は専務につき、会社は真っ二つに割れてしまいます。
今回は、親子経営が「最悪の結末」を迎える前に決めるべき、承継のルールについて解説します。
なぜ、親子は分かり合えないのか?
そもそも、創業社長と二代目では、インストールされているOSが違います。
- 創業社長(父):「勘と度胸」と「義理人情」でゼロから会社を作った野生の虎。
- 後継者(息子):大学や他社で「論理」と「効率」を学んできたスマートなライオン。
どちらが正しい・間違っているではありません。
父には父の成功体験があり、息子には新しい時代の正解が見えています。
問題なのは、お互いが「相手のやり方を否定して、自分のやり方を押し付けようとする」ことです。
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解決策は「棲み分け」しかない
同じ土俵(現場や会議)に立つから喧嘩になります。
承継期間中は、明確に担当領域を分けてください。
【理想的な役割分担】
- 父(会長・対外):銀行交渉、古くからの元請けとの接待、業界団体の付き合い。
→ 「会社の顔」として外を守る。 - 息子(社長・対内):現場の指揮、IT導入、採用、社内ルールの整備。
→ 「実務の長」として中を固める。
そして重要なのは、「相手の領域には口を出さない」と決めることです。
息子が導入したアプリに親父が文句を言わない。親父の接待ゴルフに息子が「経費の無駄だ」と言わない。
この不可侵条約が、平和な承継の絶対条件です。
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「いつ譲るか」期限を切っていないから揉める
「いつか譲る」と言いながら、70代になっても実権を握り続ける社長。
息子は「いつまで待てばいいんだ」と痺れを切らし、40代、50代になって腐ってしまいます。
「3年後の決算で代表権を譲る」
この期限を決め、全社員の前で発表してください。
ゴールが決まれば、父は「引退の準備(引き継ぎ)」を始め、息子は「覚悟」を決めます。
まとめ:親子喧嘩は「第三者」を入れて解決せよ
親子だけで話し合うと、どうしても過去の感情が出て喧嘩になります。
税理士やコンサルタントなど、客観的な「第三者」を交えて、ビジネスライクに役割分担を決めることを強くお勧めします。
会社は家族の私物ではありません。社員の生活を守るために、大人になってください。
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