No.36 インボイス登録した一人親方が「消費税払えない」と泣きついてきた。会社が肩代わりする前に知るべき法的リスク
2025年11月28日
No.36 インボイス登録した一人親方が「消費税払えない」と泣きついてきた。会社が肩代わりする前に知るべき法的リスク
「社長、すみません…。インボイスで受け取った消費税分、生活費に使ってしまって税金が払えません」
「なんとか会社で立て替えてくれませんか? 給料から天引きでいいので…」
インボイス制度が始まって以降、このような相談をしてくる一人親方が急増しています。
長年の付き合いがある職人だと、無下にするのも忍びなく、「今回だけだぞ」と貸してあげたくなるかもしれません。
しかし、ここで情けをかけるのは非常に危険です。
その「優しさ」が、税務署から見れば「偽装請負(社員隠し)の決定的な証拠」になり、会社全体を危険に晒すことになるからです。
今回は、消費税を払えない一人親方への対処法と、絶対にやってはいけない「肩代わり」のリスクについて解説します。
「立て替え」=「社員である」という自白
なぜ、消費税の立て替え(または上乗せ支払い)がまずいのか。
それは、「独立した事業主(外注)なら、自分の税金は自分で払うのが当たり前だから」です。
会社が税金を肩代わりしたり、個人的な貸し付けを行ったりすると、税務署はこう判断します。
「会社が生活の面倒まで見ているということは、この人は実質的に『社員』ですよね?」
こう認定されると、過去に遡って「消費税の否認」と「源泉所得税の徴収漏れ」を指摘され、ダブルパンチで追徴課税を受けます。
たった一人の税金を助けたつもりが、会社のキャッシュ数千万円を失うことになるのです。
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払えない原因は「単価」か「管理能力」か?
そもそも、なぜ彼らは払えないのでしょうか。
原因は2つしかありません。
1. そもそもの発注単価が安すぎる
インボイス導入時に、消費税分(10%)を上乗せして支払っていますか?
もし「税込のまま(実質値下げ)」で発注しているなら、彼らの手取りは減っており、生活が苦しくなるのは当然です。
この場合は、会社側が適正単価に見直す(値上げする)必要があります。
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2. 職人の「どんぶり勘定」
単価は適正なのに払えないなら、それは職人の経営能力(金銭管理)の欠如です。
入ってきた金をすべて「自分の金」だと思って使い込んでいる。
厳しいようですが、税金の管理もできない人間は「個人事業主」を名乗る資格はありません。
解決策:覚悟を決めて「社員」にするか、突き放すか
このトラブルを解決するには、中途半端な温情は捨てて、二択を迫るしかありません。
A案:正社員として雇用する
「税金の管理ができないなら、うちの社員になれ。その代わり、給料から税金も保険料も天引きして管理してやる」
これが最も安全で、職人の生活も守れる方法です。
B案:プロとして突き放す
「事業主なのだから、自分で税務署に行って分割納付の相談をしてきなさい」
会社は一切関与しない。これが外注を使う上での鉄則です。
もしそれで現場に来なくなるなら、その程度のプロ意識だったということです。
まとめ:金銭トラブルは「縁の切れ目」
お金にルーズな職人は、いずれ現場でもトラブルを起こします。
「消費税が払えない」という相談は、その職人との関係性(雇用か外注か)を見直すラストチャンスだと思ってください。
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