経営幹部の育成が上手くいかない!経営幹部が育つ意義や経営者が幹部に期待することも解説
2022年12月21日事業は軌道に乗ってきたけれど、経営者のワンマン経営になっている会社も多いことでしょう。
「経営者になにかあったときが不安」
「事業承継の準備として、後続を育成したい」
「育成のノウハウも時間も足りない」
このように考えている経営者は多いのではないでしょうか。
ここで必要なのは、経営幹部の育成という、未来への重要な投資です。
本記事では、経営幹部を育成することをテーマとして、経営幹部の育成の意義、経営者が経営幹部に求めていること、経営幹部の育成が進まない理由などについて説明します。
経営幹部の育成の意義とは
まずは、経営幹部育成の意義について説明します。
現役の経営者だけでなく、次世代の経営幹部を育成する意義は以下3点です。
- 経営者視点で動けるようになる
- 経営者になにかあっても会社が回るようになる
- 経営者にNOといえる人材が増える
以下で順番に詳しく見ていきます。
経営者視点で動けるようになる
経営幹部としての育成を受けた幹部は、経営者視点で動けるようになります。
そして、経営者視点で動ける幹部が増えることによって、事業規模の動きがスムーズになるメリットがあります。
プロジェクト単位の現場の仕事を統括するだけの「名ばかり幹部」から、経営者視点を持った本物の幹部になることで、自然に事業規模の動きが変わってくることでしょう。
経営者になにかあっても会社が回るようになる
事業承継に悩んでいる企業が多いことはよく耳にするのではないでしょうか。
「事業承継なんてまだまだ、経営者はこれからも現役。」
このように考えている経営者でも、急に働けなくなるリスクは常にあります。
経営者のワンマン経営に近い企業では、そのようなときに会社経営自体が止まってしまいます。
そこで、経営者の後継者候補を育てながら、経営者のバックアップを勤められる人材を育成しておきましょう。
これで、経営者になにかあっても会社経営が止まることはありません。
経営者にNOといえる人材が増える
経営者のワンマン経営に近い企業では、経営者にNOといえる人材が少ないものです。
最近、ご自身の提案にNOと言われたことはありますか?周囲はYESマンばかりではありませんか?
経営者に並び立って事業規模の動きができる幹部が育成できれば、経営者にNOといえる人材になりえます。
そのため、もし間違った方向に会社が進んでしまっても止めてもらえるという大きなメリットが生まれます。
監修コメント
経営者自身もNOと言える経営幹部が必要ではあります。しかし、いざNOと言われた時に経営者が受け入れられるかどうかが問題です。 経営者も年を取ると衰えますので、今まで正しかった経営判断も正しいことばかりではありません。時に自分の間違ったことも正しくしてしまうのも経営者です。優秀な人材に対し、経営者が理想とする経営視点をもつ経営幹部を育成する場合、長い道のりが必要です。長く続く会社とは、経営者の考え方の再現性ではないでしょうか。 |
経営者が経営幹部に求めていること
ここからは、経営者が経営幹部に求めていることについて2点説明します。
- 経営戦略に関する施策を一緒に進めたい
- 新たな事業を牽引する手腕
以下で順番に詳しく見ていきます。
経営戦略に関する施策を一緒に進めたい
企業、特に中小企業の経営者は、孤独なものです。
経営に関するタスクは基本的に部下には任せられず、一人でこなしていくしかないからです。
しかし、そのように経営者一人で経営に関するタスクを進めていると、ふとした時に孤独感に陥ることがあります。
経営に関するタスクを、単純なことであっても一緒に進められる幹部がいることで、経営者自身の力も増幅して会社の運営が前進することが期待できます。
新たな事業を牽引する手腕
ワンマン経営に近い企業では、経営者の得意分野はどんどん成長していけます。
しかし、いざ事業展開をしようとしたとき、ノウハウやナレッジが不足していることから伸び悩んでしまうことがあります。
そこで、同じ経営者視点を持ちながらも、経営者が持っていない領域についての知見がある幹部が育っていると、新たな領域の事業を統括してまとめて動かしていける手腕を期待できます。
事業展開がうまく牽引できると、企業の守備範囲は飛躍的に伸びるので大きな強みになるといえるでしょう。
監修コメント
まずは、経営幹部と事業を推進するということはリスクも生じます。何故なら、忍耐力が必要であり数字とお金の違いから教育しなければなりません。 数字とは月次数字、半期、通期の数字の達成を言い、お金とは実際の資金繰りのことを指します。求める数字が大きすぎると、どのような優秀な人材でも逃げ腰になることも多々あります。この点がリスクですので、教育するのも上手に徐々に伝えることが寛容ではないかと思います。 |
経営幹部の育成が進まない理由
ここからは、多くの企業で経営幹部の育成がなかなか進まない理由について説明します。
- 幹部教育できる人材がいない
- 研修内容が根付かない
- プレイヤーが多く経営に関心があまりない
- 経営以外の仕事が多く幹部人材が経営を学ぶ時間がない
以下で順番に詳しく見ていきます。
幹部教育ができる人材がいない
まずは、そもそも幹部教育ができる人材がいないことが挙げられます。
規模の小さな会社では、人事担当者は総務部の一部がリソースを割いて対応しているケースがあります。
総務部が人事を兼任している場合、人事としての専門的な知識がなく、教育体制が整っていない状態が多いのではないでしょうか。
そのため、幹部教育はおろか新人教育も難しい状態が多いと言えます。
このように教育制度が整っていない場合、外部からノウハウやナレッジを借りてくる必要があります。
研修内容が根付かない
続いて、研修内容が根付かないケースです。
上述に続き、人材育成のノウハウやナレッジを持っていない会社に多いケースです。
なんとか研修を終えたとしても、研修後のフォロー制度が整っておらず、研修で身につけた内容が抜けてしまい、実際の業務に活かすことができません。
これでは研修の意味がなくなってしまいます。
このようなリスクを減らすためには、研修後のフォローに関するノウハウやナレッジが社内に定着するまでは外部の手を借りる必要があります。
プレイヤーが多く経営に関心があまりない
この項目は、育成の受け手に関するものです。
優秀な人材といっても担当している業務は様々で、たとえば営業部隊や実務部隊のメンバーであったりします。
経営から見て優秀な人材は揃っていても、それぞれの人材の中で経営に関心が向いているメンバーがいないと、経営幹部としての力は育ちません。
このような状況への対策として、マネジメント研修や管理者研修など経営に関係する研修を行うことで、日常的に経営に興味が湧くようにすることが考えられます。
経営以外の仕事が多く幹部人材が経営を学ぶ時間がない
経営に興味がある人材がいたとしても、経営を学ぶ時間がないことも考えられます。
社内の通常業務が属人的になっている場合にありがちなケースとして、優秀な人材ほど忙しいことが挙げられます。
このように優秀な人材が通常業務で忙殺されていると、経営を学ぶ時間はとても捻出できません。
経営に向いている優秀な人材の手を空けさせるためには、業務を標準化・画一化して他のメンバーで分担できるようにすることが必要です。
監修コメント
あれもこれも手を出して、浸透もせず頓挫してしまう…このようなことが起こっても会社は受け入れることが大切です。今いるメンバーでなんとか構築しようと思っても残念ながら、現実問題として多くの会社は人材不足かつ幹部社員は1人2役3役こなしていることが少なくありません。一般社員は新しいことは、社長からの指示で自分たちで構築していこうとはしていきます。しかし、人手不足の解消は簡単ではなく、時間も無限ではないということを経営者自身がまず知ることです。コロナ禍の中外部人材、コンサルタントをうまく活用し、大きく伸びている会社があります。適材適所よりも仕組みを作るのなら外部人材で構築し、そのまま人材として登用するのもありかもしれません。 |
経営幹部に必要な3つの力
ここからは、経営幹部に必要な3つの力について説明します。
その3つの力とは、以下に挙げるものです。
- 問題提起能力
- 想像を形にする力
- 人間力
それぞれについて、以下で詳しく見ていきます。
問題提起能力
経営幹部に求められる力の一つは、問題提起能力です。
問題提起能力とは、課題や問題を発見し、問いを立てる能力のことです。
課題や問題を提起するためには、先入観を持たずに様々なものごとに疑問を持つことが大切です。
例えば、自社で新商品の開発を進める際に、既存の人気商品を模倣するだけではなく独自性を出すための工夫が求められます。
自社が安定的に経営を続けるためには、ときには常識を疑い、他社が真似できない新たな視点を持つことが重要です。
そこで必要になるのが上述の問題提起能力です。
問題提起能力を身に付けた経営幹部がいれば、時代の変化にも対応できるでしょう。
想像を形にする力
想像を形にする力も、経営幹部に必要な力です。
想像を形にするというと、コピーライターやイラストレーターなど、クリエイティブな仕事をイメージする方が少なくないでしょう。
しかし、経営者を筆頭とする企画職、つまり経営企画や商品企画・営業企画にも想像を形にする力が求められます。
また、企画と付く仕事だけでなく、営業や人事の仕事であっても、想像を形にする力は必要とされるケースがあります。
そのような実務から、想像を形にする力を持つ社員を幹部候補生として引き抜いてくることも考えられます。
人間力
経営幹部は上述した2つの能力に加えて、人間力も必要です。
人間力と聞いても、抽象的すぎてどのような能力を示すのか分からないかもしれません。
人間力戦略研究会という機関で定義されていることによると、人間力とは「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」を指します。
それでは、この人間力がどのように経営にリンクしてくるのでしょうか。
実は、経営幹部の意思決定はビジネス上で得た知識やスキルだけでなく、自身の生き方や考え方による影響も大きいと言われています。
つまり、どのような信念や倫理観、社会性などを身につけているのかによって、企業の方針は変わります。
すなわち、社員の手本になるような人間力を持つ経営幹部を育成できれば、不正などの誤った方向に向かうのを防ぐことができるということです。
監修コメント
問題提起能力、想像を形にする力、人間力と書かせていただきました。 そもそも、個の力に頼るのは属人的すぎます。しかし、採用する時間はなく、休日にこの力を磨こうと思っても中々難しいでしょう。経営者たるもの、自社の業務時間でどのように磨き上げるか、経営目標の意義と目的を明確にしなければ、経営幹部といえ、やる気は持続はしません。経営者自身も指示・命令だけではなく共に学ぶのも一理あるのではないかと思います。 |
経営幹部の育成方法
ここからは、実際に経営幹部を育成したいときの方法について説明します。
- プロジェクトではなく事業規模の管理を任せてみる
- 研修会社の幹部研修に参加してもらう
- 経営コンサルタントに任せる
これらについて、以下で順番に詳しく見ていきます。
プロジェクトではなく事業規模の管理を任せてみる
幹部候補の優秀な人材は、プロジェクト単位のリーダーとして活躍していることが多いでしょう。
しかし、幹部として育成するためには、ひとつのプロジェクト単位だけでは視野が広がりません。
そこで思い切って、事業自体を管理する仕事を任せてみましょう。
実務を通して経営を覚えてもらう意図です。
もちろん丸投げではなく、経営者や現経営陣がバックアップすることで、経営幹部として育てます。
研修会社の幹部研修に参加してもらう
研修会社の幹部研修に参加してもらうのも有効な方法です。
上述の「事業規模の管理を任せてみる」のはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング:業務を通した育成)に当たり、こちらの研修はOFF JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング:業務を離れた育成)に当たります。
さまざまな研修会社で、幹部候補生を対象にした経営幹部研修が実施されているので、参加を検討してみましょう。
集合研修であれば、他社・他業種の幹部候補生と交流し刺激を受けながら人脈を広げることも期待できます。
経営コンサルタントに任せる
経営コンサルタントも、幹部候補生の育成に対応できます。
経営コンサルタントの業務の中に「人材育成コンサルティング」というサービスカテゴリーが存在します。
人材育成コンサルティングとは、「組織」や「人」および「教育」に関わるコンサルティングです。
その領域は大きく3つ「人材育成方針の策定」「仕組みづくり」「施策の導入・運用」に分かれています。
これらのステップを経ることで、経営幹部を育成するための環境が徐々に整っていくはずです。
監修コメント
真の経営幹部を育成したいのならば、育成は長期で考えましょう。仮に経営コンサルタントに任せるのであれば、漠然とした悩みの相談はなく、環境等をしっかり整え経営コンサルタントと共に構築していきましょう。経営判断のもと任せていくのも一理ありますが、当然幹部社員も新しいことにはめんどくさがり、ハレーションが起きるかもしれません。しかし、経営コンサルタントを含め、外部人材ほどしっかりと仕事してくれる人材はいないと思い経営に参加してもらうのを思案してみたらいかがでしょうか? |
経営幹部を育成して会社を大きく成長させよう
本記事では、経営幹部を育成することをテーマとして、経営幹部の育成の意義、経営者が経営幹部に求めていること、経営幹部の育成が進まない理由などについて説明しました。
本記事の内容を以下にまとめます。
- 経営幹部の育成の意義は、「経営者視点で動けるようになる」「経営者になにかあっても会社が回るようになる」「経営者にNOといえる人材が増える」
- 経営者が経営幹部に求めていることは「経営戦略に関する施策を一緒に進めたい」「新たな事業を牽引する手腕」
- 経営幹部の育成が進まない理由は「幹部教育ができる人材がいない」「研修内容が根付かない」「プレイヤーが多く経営に関心があまりない」「経営以外の仕事が多く幹部人材が経営を学ぶ時間がない」
- 経営幹部を育成するためには「プロジェクトではなく事業規模の管理を任せてみる」「研修会社の幹部研修に参加してもらう」「経営コンサルタントに任せる」
冒頭でも述べた通り、経営幹部を育成することは、未来への重要な投資です。
エスエスコンサルティングでは、幹部教育を含めた人材育成など、経営者の悩みを解決できるソリューションを保有しています。
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