人材が定着しないのは給料だけではない?定着しない理由と改善方法とは
2023年3月13日近年、会社が優秀な人材を確保し、定着させることが難しくなっています。
優秀な人材の定着率を向上させるためには、会社が従業員に働きやすい環境を提供する必要があります。
本記事では、人材が定着しない理由や、その解決策について解説します。
人材が定着しない理由
現代のビジネス環境では、会社が優秀な人材を確保することが難しくなっています。
人材が定着しない理由はさまざまですが、主に以下のような要因が考えられます。
- 給与が少ない
- やりがいが無い
- 仕事量が多い
- 仕事が属人的になっている
- 会社の方向性が不明瞭
これらの要因が複合的に重なり、人材が流動的になっている現状があります。
以下で詳しく見ていきます。
給与が少ない
会社が優秀な人材を確保するためには、納得感のある十分な給与を提供する必要があります。
給与の水準は、従業員の生活水準に直結するほか、自分の働きが正しく評価されているかという自己肯定感や自己効力感にも影響します。
そのため、優秀な人材を引き留めるためには、同業他社だけでなく、他業種の同じような職種の給与水準を調査した上で、他社と比較しても遜色のない報酬を提供する必要があります。
給与や待遇の改善のためには、努力に見合った評価を与える制度の整備が必要になってきます。
やりがいが無い
仕事にやりがいが無いと、従業員は退屈に感じたり、仕事に対する情熱が薄れていく傾向があります。
仕事にやりがいを感じるためには、業務内容に対する理解や、仕事の重要性を認識することが必要です。
やりがいを感じられる環境を整えるためには、まずは従業員の意見や要望をヒアリングすることで、求められている条件を把握し、それに応じた環境を整備することが重要です。
また、上司や同僚とのコミュニケーションが円滑であることも、やりがいを感じるための要素です。
1on1ミーティングなどを通してチームワークを強め、目標や課題に向けて共に取り組むことで、従業員のやりがい・モチベーションを高められます。
1on1ミーティングとは、定期的に上司と部下の1対1で行うミーティングで、業務上の悩みやプライベートな悩みをカジュアルに話し合うことで、コミュニケーションの活性化やチームワークの強化につなげるものです。
やりがいを感じた結果、従業員が会社に長期間勤め続けることで、会社も安定した人材確保ができるようになります。
仕事量が多い
仕事量が多すぎると、従業員はストレスを感じる傾向があります。
仕事量を減らすためには、業務プロセスを見直し、業務の効率化を図ることが必要です。
具体的には、タスクを細かく分割し、作業にかかる時間や手順を明確にすることで、作業の効率化や従業員同士でのタスクの分担による負荷分散を図れます。
他にも、業務の自動化や委託など、外部のリソースを活用することも一つの解決策です。
さらに、従業員の働き方を見直すことも有効な方法です。
たとえば、柔軟な労働時間制度やリモートワークの導入など、場所や時間にとらわれない働き方を実現することで、従業員がストレスを感じずに働ける環境を整えられます。
仕事量を減らすことで、従業員のストレスを軽減し、定着率を向上できます。
仕事が属人的になっている
仕事が属人的になっている場合、つまり一部の従業員が特定の業務を担当し、その業務に関する知識を独占してしまっている場合、組織全体の生産性に悪影響を及ぼすことがあります。
業務の引継ぎや代替可能な担当者の不在など、一人に依存した業務遂行によるリスクを抱えることがあるためです。
属人的な業務を避けるためには、業務マニュアルやドキュメントを作成することで業務プロセスを明確化・標準化することが必要です。
業務内容や手順を詳細にまとめることで、業務の共有化や引継ぎがスムーズに行われるようになります。
業務の属人化を防ぐことで、会社は業務遂行のリスクを回避し、従業員は業務内容に対して安心感を持てます。
会社の方向性が不明瞭
会社の方向性が不明瞭だと、従業員は会社が何を目指しているのか理解できず、仕事に対するモチベーションが低下することがあります。
会社の方向性を明確にすることで、従業員が自分たちの仕事が会社のビジョン・経営理念に繋がっていると感じ、仕事に対する意欲が高まるようになります。
会社の方向性を明確にするためには、ビジョンやミッション、目標などを示し、共感を促すのが重要です。
具体的には、定期的なミーティングや報告会を開催し、従業員が会社の動向を把握するように促すこと等が有効な手段です。
会社の方向性が明確であれば、従業員は自分たちが目指すべき目標や課題を明確に把握し、主体的に取り組めます。
人材が定着しない会社がやるべきこと
人材が定着しない場合、会社が講じる対策は以下のとおりです。
- 社内制度の改革
- 幹部研修
- 福利厚生の見直し
- 従業員満足度を数値化する
- コンサルタントの検討
これらの対策を通して、会社は人材定着率を改善できます。
以下で詳しく見ていきます。
社内制度の改革
人材が定着しない原因の一つに、社内制度の問題があります。
たとえ給与や報酬が充実していても、育児休暇やリモートワーク、柔軟な労働時間制度などが無いと、従業員は働き続けることに対して不安を感じる傾向があります。
社内制度を改革するためには、まずは従業員のニーズを把握することが大切です。
従業員が求めている社内制度をアンケートで調査し、制度改革の方向性を決定することが必要です。
また、改革を進めるにあたっては、会社からの一方的な通達ではなく、従業員とのコミュニケーションを重視することも大切です。
十分に検討された社内制度の改革は、人材の定着率向上につながるだけでなく、会社の成長にもつながります。
従業員が働きやすい環境を整えることで、生産性の向上やイノベーションの促進につながるためです。
幹部研修
管理職のマネジメント能力不足も、人材が流出する原因です。
そこで、幹部研修を実施し、管理職のマネジメント能力を向上させることで、従業員の定着率を上げられます。
幹部研修の内容は、会社によって様々ですが、セミナー・グループワーク・時にはボードゲームを用いたりすることで、マネジメントやリーダーシップ、コミュニケーション能力の向上など、幹部が必要とするスキルを身につけられるものが多い傾向にあります。
管理職のマネジメント能力を向上させることによって、部下に対して的確な指導やフィードバックができるようになり、従業員がやりがいを感じ、定着率の向上につながります。
また、幹部研修は、幹部クラスのスキルアップやリーダーシップの向上につながるため、会社の成長にも貢献します。
福利厚生の見直し
福利厚生の充実は、従業員が会社に定着するための重要な要素の一つです。
従業員に必要とされる福利厚生は時代によって変わってくるので、一定期間ごとに見直すことが重要です。
福利厚生の見直しには、業界動向や市場動向の調査のほか、従業員のニーズを把握することが必要です。
従業員アンケートや1on1ミーティングを通じて、従業員が求める福利厚生を調査しましょう。
たとえば、社宅・寮や持株会、財形貯蓄や年金制度が候補に上がります。
さらに、福利厚生制度を見直しても、従業員に利用してもらわなければ意味がないので、福利厚生の情報提供も欠かせません。
具体的には、研修やeラーニングの実施が考えられます。
従業員満足度を数値化する
近年は、従業員満足度を数値化・分析できるサービスが注目されています。
従来の従業員意識調査(ES調査)だけでなく、1週間程度の短い間隔で簡単な調査を継続的に実施する「パルスサーベイ」というサービスも増えています。
これらの調査結果を数値化することで、会社は組織の状態を見える化し、具体的な課題を把握できます。
そして、従業員の満足度を向上させるための施策を策定できます。
また、従業員満足度を数値化することで、企業は改善施策の効果を測定することもできます。
コンサルタントの検討
会社が従業員の定着率を上げるためには、専門的な知識や経験を持ったコンサルタントの力を借りることが非常に有効です。
優秀なコンサルタントは、会社の問題点を客観的な視点から把握し、改善策を提案できるため、会社にとって有用な存在となります。
コンサルタントに依頼する際には、まずは専門性の高いコンサルタントを選ぶことが重要です。
具体的には、従業員の定着率向上に関する経験や実績が豊富なコンサルタントを選びましょう。
コンサルタントに依頼することで、会社は従業員の定着率向上に関するアドバイスや改善策の提案を受けられます。
また、コンサルタントに依頼する際には、コストや納期、成果物などを、依頼者である会社の側で明確にすることが重要です。
人材が定着しない会社がやりがちな間違い
人材が定着しない原因について、会社が犯しがちな間違いを見ていきます。
- 幹部が面談だけして解決までに至らない
- 経営陣に問題意識がない
- 第三者の意見を聞かない
これらの要因で、人材が流出してしまうケースがあります。
以下で詳しく見ていきます。
幹部が面談だけして解決までに至らない
従業員の定着率を上げるためには、問題が発生した際に迅速に対処することが重要です。
しかし、幹部が面談だけして問題解決に至らないケースが見受けられます。
このような場合、従業員の不信感や不満が高まり、定着率の低下につながる可能性があります。
幹部が面談だけして解決に至らない原因としては、解決策を見つけるための情報収集が不十分であることが挙げられます。
従業員アンケートや面談を実施することで、会社は従業員の不満を把握できますが、それだけでは問題解決に至らないことがあります。
問題解決には、従業員の意見だけでなく、それに関連する情報を収集し、幅広い視点から考えることが必要です。
さらに、問題解決には時間がかかることがあるため、幹部は従業員と継続的にコミュニケーションを取ることが重要です。
幹部は、問題解決に向けて取り組む姿勢を持ち、幅広い情報を収集し、継続的なコミュニケーションを取ることが大切です。
経営陣に問題意識がない
従業員の定着率を上げるためには、経営陣が問題意識を持ち、積極的に改善策を打ち出すことが必要です。
しかし、会社には、経営陣が問題意識を持たず、問題解決に向けて具体的に取り組んでいないケースが見受けられます。
このような場合、従業員は経営陣の問題解決に対する姿勢に不信感を抱き、定着率の低下につながる可能性があります。
経営陣に問題意識がない原因としては、まず従業員の問題を理解していないことが挙げられます。
従業員の意見を真摯に受け止め、従業員の問題を理解して初めて、経営陣は問題解決に向けた改善策を打ち出せます。
また、経営陣は定期的なミーティングや社内報などを通じて、従業員に向けた情報を発信することも重要です。
第三者の意見を聞かない
従業員の定着率を上げるためには、会社が持つ問題に対して、第三者の意見を聞くことが有効です。
しかし、会社内で問題を自己解決しようとするため、第三者の意見を聞かないケースが見受けられます。
このような場合、会社自身が抱える問題点に気付かず、定着率の低下につながる可能性があります。
第三者の意見を聞くことで、会社は自社内部では気づかなかった問題点や改善点を発見し、解決策を見つけられます。
また、第三者の意見を参考にすることで、会社は業界全体のトレンドやベストプラクティスを収集でき、定着率向上につながる取り組みができます。
第三者の意見を聞くためには、コンサルタントの活用や業界団体との連携などが有効です。
人材が定着しない問題は根が深いので抜本的に解決しよう
本記事では、従業員の定着率が低い会社の課題について取り上げ、その原因や解決策について述べてきました。
人材が定着しない問題は、会社の経営戦略や社内制度、文化などに起因するものが多く、抜本的な解決策が求められます。
会社は、従業員が働きやすい環境を整えることで、人材定着につながるよう取り組むことが必要です。
また、従業員が仕事にやりがいを感じ、成長できる環境を整えることで、会社と従業員の共同成長が実現することが期待されます。
エスエスコンサルティングでは、人材の定着率向上に関するコンサルティングも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
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