お問い合わせ 資料請求

No.71 「材料費が上がったので…」は禁句。元請けを論破せず“納得”させて単価を上げる、最強の交渉術

2025年12月19日

No.71 「材料費が上がったので…」は禁句。元請けを論破せず“納得”させて単価を上げる、最強の交渉術

「ベニヤもボードも、仕入れ値は毎月上がっているのに、請負単価は3年前のままだ」
「『上げてくれ』と言いたいが、『じゃあ他の安いところに頼むわ』と言われるのが怖くて言い出せない」

今、日本中の下請け建設会社が、この「物価高騰」と「価格転嫁の壁」の間で押しつぶされそうになっています。
我慢して利益を削り、赤字ギリギリで現場を納める。それは美徳ではありません。経営者としての「自殺行為」です。

しかし、ただ闇雲に「苦しいから上げてくれ」と泣きついても、元請けは首を縦に振りません。
彼らもまた、施主からの厳しい予算の中で戦っているからです。

今回は、感情論やお願いではなく、ビジネスとして正当に単価を上げさせるための「論理的な交渉術」について解説します。

「お願い」営業が失敗する理由

多くの社長がやってしまう失敗は、「情」に訴えることです。

「うちはこんなに苦しいんです」
「長い付き合いじゃないですか、少しは色をつけてくださいよ」

これは交渉ではなく「哀願」です。
元請けの担当者が個人的に同情してくれても、組織として決裁を通すことはできません。
担当者が上司や施主に説明できるだけの「客観的な理由(エビデンス)」がないからです。

担当者に「あそこの下請けを値上げしないと、現場が止まって逆に損をしますよ」と、上司に報告させるための台本を持たせてやるのが、プロの仕事です。

武器を持たずに戦場に行くな。準備すべき「3つの根拠」

交渉のテーブルに着く前に、以下の資料を用意してください。
これがあるだけで、相手の見る目が「下請け」から「ビジネスパートナー」に変わります。

  1. 公的な推移データ:
    「なんとなく上がった」ではなく、「2020年比で合板が〇%、運搬費が〇%上昇している」という建設物価調査会などの客観的なデータを提示します。
  2. 自社のコスト変動表(Before/After):
    その工事を行うために、以前と比べて具体的にいくらコストが増加したのかを試算した見積書です。「一式」ではなく、明細で示してください。
  3. 「他社に切り替えた場合のリスク」の提示:
    ここが重要です。「今の単価で請け負う業者は、手抜きをするか、素人を連れてくるしかありません。御社の品質基準を守れるのは、この新単価が最低ラインです」と、品質を人質(担保)にします。

【ここに社長の「鉄板トーク」を追記してください】
(例:私はいつもこう言います。「安くやる業者はいくらでもいます。でも、夜中に緊急対応して、図面にない納まりまで現場で解決できるのはウチだけです。その安心料を削りますか?」と。これで大抵の監督は黙ります。)

「攻め」と「守り」の交渉術

単価交渉は、ただ高く売るだけではありません。
[cite_start]私たちのサービス「下請けの味方」では、「攻め(営業)」と「守り(財務)」の両輪で企業体質を強化することを提唱しています [cite: 30]。

  • 攻めの交渉:上記のロジックを使って、利益の出る単価を勝ち取る。
  • 守りの選定:それでも値上げに応じない元請けは、「利益が出ない仕事」として勇気を持って切り捨てる(取引を縮小する)。

「仕事を切る」のは怖いことですが、赤字の仕事を続けるほうがよほど危険です。
[cite_start]空いたリソースを、適正価格で発注してくれる「優良元請け」への営業に回すべきです [cite: 35]。

▼ 関連記事:元請けの選び方
No.42 その元請け、御社を殺す気ですか?「支払いサイトが長い」「追加工事を払わない」ブラック元請けの見切り時

まとめ:対等なパートナーになるために

値上げ交渉は、喧嘩を売ることではありません。
「これからも御社の現場を、最高の品質で納め続けたい。だからこそ、適正な対価が必要です」という、未来への投資提案なのです。

堂々と、胸を張って交渉してください。
あなたの会社の技術には、それだけの価値があるはずです。


▼ その他の経営ノウハウはこちら
建設業の経営課題を解決する記事一覧(コンテンツTOP)

「理屈はわかるが、自分では怖くて交渉できない」という社長へ
建設業特化・経営代行サービス「下請けの味方」

私たちエスエスコンサルティングは、下請け企業の「攻め(営業)」と「守り(財務)」を代行します。

「値上げの根拠となる資料(エビデンス)を作成してほしい」
[cite_start]「今の元請けに頼らなくてもいいよう、新規の優良元請けを紹介してほしい(逆指名営業)」 [cite: 34, 45]

交渉のプロが、あなたの黒子となって戦略を練ります。
まずは無料の「壁打ちセッション」で、現状の単価の悩みをお聞かせください。

無料相談を予約する >

※TimeRexの予約ページへ移動します

関連記事