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No.64 【事例】「赤字垂れ流しの現場」を3ヶ月で黒字化。参謀が入って最初に見直した“あるたった一つの数字”

2025年12月13日

No.64【事例】「赤字垂れ流しの現場」を3ヶ月で黒字化。参謀が入って最初に見直した“あるたった一つの数字”

「鈴木さん、毎日朝から晩まで現場を走り回って、売上だって悪くないはずなんだ。なのに、なぜ通帳にお金が残らないんだ…?」

これは、地方で土木工事を営むA社の社長(50代)が、私のところに駆け込んできた際に漏らした悲痛な叫びです。

社員たちは真面目で、技術力もある。仕事の依頼も絶えない。一見すると順調に見えるA社でしたが、内実は火の車でした。
完工した現場の収支を締めてみると、利益が出るどころか、トントンか、ひどい時には大赤字。まさに「赤字垂れ流し」の状態が続いていたのです。

「このままでは会社が持たない。でも、何から手を付ければいいか分からない…」

危機感を募らせた社長の依頼を受け、私は「経営の参謀」としてA社の現場に入り込みました。

そして、わずか3ヶ月。
慢性的な赤字体質だった現場は、見事に黒字化を果たし、確実に利益を生み出す「稼げる現場」へと生まれ変わりました。

難しいシステムを入れたわけでも、職人を総入れ替えしたわけでもありません。
私が現場に入り、社長と職長たちに徹底的に意識させた、“たった一つの数字”。それが全ての始まりでした。

なぜ、真面目に働いているのに赤字になるのか?

A社の現場を調査して分かったのは、典型的な「どんぶり勘定」の実態でした。

  • 実行予算は作っているが、現場が始まると誰も見ていない(絵に描いた餅)。
  • 日報はあるが、「誰が来たか」しか書かれておらず、何をしたかが不明。
  • 現場監督や職長が「工期に間に合わせること」しか考えていない。

職長たちは口を揃えて言いました。「俺たちは良いものを作るために一生懸命やっています!」と。

社長、ここが落とし穴なんです。
現場の人間にとっての「正義」は「良いものを、工期内に作ること」です。そこに「コスト」の概念が抜け落ちていると、彼らは悪気なく、いくらでも人や材料をつぎ込んでしまいます。

経営者にとって、「利益を生まない一生懸命」は、残酷な言い方ですが「罪」なんです。

▼ 関連記事:「どんぶり勘定」の恐怖とは?
No.73 どんぶり勘定の社長へ。現場が終わってから「赤字だった」と青ざめないための、スマホで完結する日次決算

参謀が見直した、たった一つの数字。それは「1人工(いちにんく)あたりの出来高」

現場の状況を把握した私が、社長と職長を集めて緊急会議を開き、最初に提示したルール。それは、明日から現場の日報に、あるたった一つの数字を必ず書き込むことでした。

それは、「今日の現場は、いくら稼いだのか?(1人工あたりの出来高)」です。

これまでA社では、「今日は5人入ったから、人件費がいくらかかった」という「コスト」しか見ていませんでした。
しかし、経営において重要なのは「コストに対して、どれだけの成果(出来高)を生み出したか」という「生産性」です。

私は職長たちに、毎日問いかけ続けました。

「今日、君の現場には5人の職人が入ったな。1人2万円として、コストは10万円だ。
じゃあ聞くが、今日の作業で、10万円以上の仕事を終わらせたのか?

最初は職長たちも戸惑っていました。
「そんなこと言われても、分かりませんよ…」「現場は生き物なんだから、計算通りにいくわけないでしょ」

反発もありました。しかし、私は引きませんでした。実行予算(設計図書)と照らし合わせ、「今日は側溝を〇〇メートル敷設したから、出来高は〇〇万円だ」と、毎日、半ば強制的に数字を出させました。

意識が変われば、行動が変わる。そして数字が変わる

この「たった一つの数字」を毎日意識させるだけで、現場の空気は劇的に変わりました。

「今日は人数が多かった割に、進まなかったな。明日は段取りを変えてみよう」
「この作業は手間がかかりすぎる。もっと効率的な方法はないか?」

職長たちが、自発的に「コスト」と「効率」を考え始めたのです。
自分たちの働きが、会社の利益に直結しているという「当事者意識」が芽生えた瞬間でした。

結果はすぐに出ました。
無駄な残業が減り、材料のロスが減り、工期が短縮され…3ヶ月後、赤字垂れ流しだった現場は、見事に適正利益を確保して完工したのです。

まとめ:現場任せにするな。数字を見るのは社長の責任だ

A社の社長は、涙を流して喜んでくれました。
「鈴木さん、私は今まで、現場の連中を信じていると言いながら、実は経営者としての責任から逃げていただけだったんですね…」

社長、現場は生き物です。放っておけば、必ず楽な方(コストがかかる方)へと流れていきます。
それを食い止め、利益が出る方向へ導くのが、社長であるあなたの仕事です。

難しい経営分析なんて後回しでいい。
まずは「今日の現場は、いくら使って、いくら稼いだのか?」
このシンプルな問いかけから、会社の体質改善を始めてみませんか。


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