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No.48 たった一度の事故が、会社を潰す。「労災隠し」は犯罪だ。社長が知るべき現場事故の“正しい”事後対応

2025年12月5日

No.48 たった一度の事故が、会社を潰す。「労災隠し」は犯罪だ。社長が知るべき現場事故の“正しい”事後対応

「軽傷だから、病院には『家で転んだ』と言って行ってくれ」
「労災を使うと現場が止まるし、元請けからの評価も下がる。治療費は会社が出すから頼む」

もし、現場で事故が起きた時に、こんな指示を出そうとしているなら、即刻やめてください。
それは「労災隠し」という立派な犯罪です。

「会社を守るため」についたその嘘が、結果として会社を倒産させ、社長自身が書類送検される事態を招きます。
今回は、建設業社長が絶対に知っておくべき、事故発生時の「正しい初動対応」とリスク管理について解説します。

「労災隠し」は、必ずバレる

「職人と口裏を合わせればバレないだろう」
その考えは甘すぎます。

労災隠しが発覚するパターンの多くは、「後になって揉めた時」です。
「後遺症が残ったのに補償してくれない」「退職時に会社と喧嘩別れした」
そんな時に、職人が「実はあの時、社長に隠せと言われました」と労働基準監督署にタレ込めば、一発アウトです。

そうなれば、刑事罰(罰金刑以上)、指名停止処分、そして社会的信用の失墜。
事故そのものの損害より、隠蔽によるペナルティの方が遥かに重いのです。

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正しい初動対応の3ステップ

事故が起きた時、社長がすべきことは「隠すこと」ではなく「正しく報告すること」です。

1. 救護と病院搬送

何よりも人命優先です。迷わず救急車を呼んでください。
そして病院では正直に「仕事中の怪我です」と伝えます。
ここで健康保険を使ってしまうと、後で労災への切り替え手続きが非常に面倒になります。

2. 元請けへの報告

「怒られるから」と報告を遅らせるのは最悪です。
事故直後に「〇〇現場で事故が発生しました。詳細は確認中ですが、まずは第一報です」と連絡を入れましょう。
隠そうとして後でバレる方が、元請けとの信頼関係は修復不可能になります。

3. 労働基準監督署への報告

休業4日以上の場合は「労働者死傷病報告」の提出が義務です。
これを怠ると労災隠しになります。包み隠さず報告することが、結果として会社を守ることになります。

「上乗せ労災」に入っていますか?

政府の労災保険だけでは、職人への補償(休業補償や慰謝料)が足りない場合があります。
その不足分を会社が自腹で払うことになり、資金繰りがショートするケースも少なくありません。

万が一のために、民間の「労災上乗せ保険」には必ず加入しておきましょう。
ただし、無駄な重複加入には注意が必要です。

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まとめ:安全は「コスト」ではなく「経営基盤」

事故は起きないに越したことはありません。
しかし、起きてしまった時にどう振る舞うかで、その会社の「品格」と「寿命」が決まります。

嘘をついて怯えながら経営するより、正しく対応して堂々と商売を続けましょう。
それが、従業員とその家族を守るということです。


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事故が起きてからではパニックになります。
平時のうちに、万全の備えをしておきましょう。

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