社員が辞めない建設業 ― 評価制度の設計法
- 人材・組織改革
社員が辞めない建設業 ― 評価制度の設計法
「うちは人が続かない」「若手が育たない」——。 建設業界では慢性的な人材定着の課題が続いています。 しかし、外資系コンサルの分析では、離職の主原因は“給与の低さ”ではなく、“評価の不透明さ”にあります。
本稿では、“感覚で決める評価”から“構造で納得させる評価”へと変えるための 外資系コンサル式「評価制度設計の実践法」を解説します。
第1章 なぜ社員は辞めるのか ― 建設業特有の“見えない不満”
建設業の離職理由を分析すると、次の3つが圧倒的に多く見られます。
- ① 評価が曖昧で、努力が報われない
- ② 給与体系が不透明(社長の感覚で決まる)
- ③ 成長の指標がない(スキルが可視化されない)
つまり、「頑張っても給料が上がる理由がわからない」ことが、最大の退職理由です。 逆に言えば、“納得できる評価軸”を設計できれば離職率は劇的に下がるのです。
給与額よりも、「どう決まるか」を社員は見ている。
第2章 社員が辞めない会社は「評価基準」が明確
外資系コンサルの調査によれば、離職率10%以下の企業には共通点があります。 それは「評価指標を社内で共有している」こと。 社員が“何をすれば昇給・昇格できるか”を理解している会社ほど、安心して働けます。
■ 明確な評価制度を持つ会社の特徴
- ・評価基準を“スキル・成果・行動”で3分化
- ・評価シートを毎月1on1で更新
- ・社長・上司の主観を数値指標に変換
このように、社員が「評価の仕組みを理解できる」状態を作ることで、
モチベーションの源泉が“給与額”ではなく“成長実感”に変わります。
第3章 評価制度の設計3ステップ
外資系コンサルが設計する評価制度は、次の3ステップで構築されます。
ステップ①:役割定義(ポジション別ミッション)
まず全社員を「職種×等級」で分類し、各階層の目的を定義します。 例:職長=現場の安全管理責任+粗利確保/主任=現場収支+顧客対応 など。
ステップ②:KPI設計(数値評価指標)
職種ごとに5〜7つのKPIを設定します。 例)現場リーダーの場合:
- ・工期遵守率90%以上
- ・実行粗利率25%以上
- ・クレーム率2%以下
- ・後輩指導時間/月8時間
ステップ③:行動評価×成果評価の二軸化
行動(努力・協働・学習)と成果(数値・品質)の両方を加点対象にします。 数字偏重ではなく、“人としての貢献”を残す評価が離職を防ぎます。
第4章 建設業に最適な評価指標の例
以下は、建設業の職種別に設定された評価指標の一例です。
【現場職長】
- ・実行粗利率25%以上
- ・事故・労災ゼロ
- ・日報提出率100%
- ・後輩育成/月1名指導
【営業職】
- ・一次面談数/月15件
- ・契約率25%以上
- ・新規案件粗利率20%以上
【事務・管理職】
- ・請求精度100%
- ・締日遅延ゼロ
- ・経営資料提出率100%
これらのKPIを“見える化”した評価表を運用することで、 全社員が「自分の貢献が数字でわかる」状態になります。
第5章 評価制度を「定着」させる3つのポイント
- ① 月次1on1制度を導入:上司がフィードバックを“評価表で”行う
- ② 評価と給与を連動:賞与・昇給ルールをスコアに直結
- ③ 教育制度と統合:評価→研修→再評価のサイクルを形成
この“運用リズム”が、評価制度を「仕組み」として根付かせます。
第6章 まとめ ― 評価制度は「信頼構築装置」である
評価制度の目的は、給与を決めることではありません。 社員に「この会社は自分を見てくれている」と感じさせることです。 それが、社員を辞めさせない最大の経営戦略です。
評価は人事制度ではない。経営者と社員の信頼を設計する“構造”である。
感覚評価から構造評価へ。 評価制度を変えることが、離職ゼロ・成長加速の第一歩になります。
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