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銀行が評価する“安定黒字企業”の財務体質チェックリスト

2025年11月20日
銀行が評価する“安定黒字企業”の財務体質チェックリスト｜建設業・中小企業向け自己診断

銀行が評価する“安定黒字企業”の財務体質チェックリスト

5領域×25項目のセルフ診断で、銀行の見るポイントを可視化

安定黒字企業チェックリストの概念図
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目次
  1. 銀行が評価する「安定黒字」の定義
  2. スコアリングの考え方と判定基準
  3. 5領域×25項目チェックリスト
  4. スコアが低い項目の即効改善
  5. 銀行交渉での提示セット
  6. よくある質問

銀行が評価する「安定黒字」の定義概念整理

銀行は単年の偶然黒字ではなく、複数年の継続黒字と資金繰りの安定、そして粉飾兆候が無い透明性を重視します。特に以下の3点が合致すると評価は上がります。

  • 3期連続黒字（経常ベース）かつ赤字期の構造要因を解消
  • 営業キャッシュフローがプラスで、借入金返済原資を確保
  • 月次決算の締めが早く、原価と在庫の計上が一貫
ヒント：建設業は工期跨ぎで利益の平準化が課題になりやすい分、受注残＝将来粗利の見える化と、未成工事支出金／受入金の管理を丁寧に。

スコアリングの考え方と判定基準採点法

各項目を0〜2点で採点し、合計点で財務体質を判定します。

点数定義目安
2点銀行が安心する水準を継続達成3期連続・月次も安定、証跡完備
1点概ね達成だが改善余地あり単年達成や季節変動大等
0点基準未達赤字、資料不足、粉飾リスク

総合判定： 36〜50点 安定黒字ゾーン / 25〜35点 改善要警戒 / 0〜24点 要再設計

5領域×25項目チェックリストセルフ診断

1. 収益性（5項目）

項目測定方法 / 目安0/1/2点
経常利益率 経常利益÷売上高。建設中小の目安：5%+で2点、3〜5%で1点、3%未満0点 0 / 1 / 2
粗利率の安定 四半期推移のブレ幅。±2pt以内が2点、±3〜5ptが1点、それ以上0点 0 / 1 / 2
案件別採算 見積粗利と実行粗利の乖離。平均乖離2pt以内で2点、5pt以内1点、超過0点 0 / 1 / 2
固定費吸収 黒字分岐点売上の達成率。通期100%超で2点、95〜100%で1点、95%未満0点 0 / 1 / 2
価格交渉力 粗利悪化案件の是正率。翌期に70%以上是正で2点、40〜70%で1点、40%未満0点 0 / 1 / 2

2. 安全性（5項目）

項目測定方法 / 目安0/1/2点
自己資本比率 20%+で2点、10〜20%で1点、10%未満0点0 / 1 / 2
流動比率 150%+で2点、120〜150%で1点、120%未満0点0 / 1 / 2
インタレスト・カバレッジ 営業利益÷支払利息。5倍+で2点、2〜5倍1点、2倍未満0点0 / 1 / 2
借入構成 短期偏重の是正。長短バランス適正で2点、やや短期偏重1点、短期過多0点0 / 1 / 2
担保・保証依存 信用保証依存度。低依存で2点、中程度1点、高依存0点0 / 1 / 2

3. 成長性（5項目）

項目測定方法 / 目安0/1/2点
売上成長の質 増収と粗利率の同時改善。両立で2点、どちらか1点、悪化0点0 / 1 / 2
受注残と見込み 6か月先までの粗利見込み可視化。可視化と乖離2pt以内2点、片方1点、無し0点0 / 1 / 2
顧客・元請分散 上位3社売上比率。40%未満2点、40〜60%1点、60%以上0点0 / 1 / 2
人時生産性 売上総利益÷総労働時間。前年比+5%以上で2点、±5%で1点、-5%以下0点0 / 1 / 2
投資対効果 設備・人材・広告のROI検証。四半期レビュー実施・改善で2点、片方1点、無し0点0 / 1 / 2

4. キャッシュフロー（5項目）

項目測定方法 / 目安0/1/2点
営業CFの安定 3年中2年以上プラスで2点、1年プラス1点、ゼロ未満0点0 / 1 / 2
運転資金回転 売掛・在庫・未成工事の回転日数短縮。前年比5日以上短縮2点、±5日1点、悪化0点0 / 1 / 2
前受・支払サイト設計 前受金活用やサイト交渉でギャップ縮小。縮小2点、横ばい1点、拡大0点0 / 1 / 2
返済原資 EBITDAベースで元金返済の1.5倍以上確保で2点、1.0〜1.5倍1点、1.0未満0点0 / 1 / 2
資金繰り予測 13週ローリング実施と的中率80%+で2点、どちらか1点、無し0点0 / 1 / 2

5. ガバナンス・透明性（5項目）

項目測定方法 / 目安0/1/2点
月次決算のスピード 10営業日以内で2点、20日以内1点、超過0点0 / 1 / 2
原価・棚卸の厳格性 棚卸手順と証跡、工事別原価の整合性。整備・検証完了で2点、片方1点、弱い0点0 / 1 / 2
資金使途の明確化 借入金の使途管理台帳。完備2点、一部1点、無し0点0 / 1 / 2
粉飾兆候ゼロ 売上前倒し・費用繰延・架空在庫の防止統制。監査チェックで不備なし2点、指摘軽微1点、重大0点0 / 1 / 2
リスク管理 債権管理・与信限度・保険加入。ルールと運用実績で2点、片方1点、無し0点0 / 1 / 2
合計点の出し方

各項目の0/1/2を合計（満点50）。
36点以上で「安定黒字ゾーン」。

監査証跡の例

試算表、工事台帳、請求・入金突合、棚卸調書、原価差異レポート。

レビュー頻度

月次レビュー＋四半期で役員レビュー。13週資金繰りは毎週更新。

スコアが低い項目の即効改善アクション例

  • 粗利率の安定：見積テンプレ刷新、実行予算と原価差異の週次レビュー、値上げ交渉の定型話法化。
  • 運転資金回転：出来高請求化、前受契約の標準条項化、与信A/B/Cで回収条件を分岐。
  • 月次決算スピード：締切WBS、棚卸日固定、電子稟議で証跡一元化。
  • 返済原資：過大な短期借入の長期化、不要資産売却、固定費5%削減プログラム。
  • 粉飾兆候ゼロ：収益認識基準のマニュアル化、棚卸のダブルチェック、外部専門家のスポットレビュー。

銀行交渉での提示セットパッケージ

  1. 直近3期の決算書（勘定科目内訳明細付き）と月次推移表
  2. 受注残明細・案件別採算表・原価差異レポート
  3. 13週資金繰り表（前提とシナリオ別）
  4. 借入金台帳（使途・残高・金利・返済条件）
  5. 体制図（決算フロー、統制ポイント、チェックリスト）
ポイント：「数字」と「運用」の両輪を示すと、与信判断が前向きになります。

FAQよくある質問

単年赤字があると与信は厳しいですか

構造要因を特定し解消計画と実績が示せれば挽回可能です。翌期の月次で改善が数字化されていると効果的です。

受注残が少ない時の対処は

粗利見込みの可視化と、前受の活用、サイト交渉で運転資金の山をならします。

資料が散在していてまとめられません

決算カレンダー、稟議の電子化、台帳の一本化から着手します。初回診断で雛形を提供します。

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