管理会計で変わる!建設業が黒字を継続させる経営設計法
2025年11月11日
月次決算
原価管理
KPI
銀行格付け
1. なぜ「管理会計」が建設業の命綱なのか
例えるなら、財務会計は“決算の成績表”、管理会計は“現場のナビ”です。高速道路でナビなしに走ると出口を見逃すのと同じで、管理会計がない経営は「儲かった/儲からない」を後から知るだけ。景気や元請の発注動向に業績が振り回されます。
- 受注前:見積粗利と手持ちキャッシュの両立を判定
- 工事中:出来高・原価予実・追加変更の粗利影響を即時反映
- 竣工後:顧客・元請・工種別の勝ち筋を特定
2. 黒字を継続させる経営設計図(ブループリント)
設計図は次の4層で構成します(下から上へ意思決定が加速)。
3. KPI設計:利益を生む“因果”に集中する
必須KPI(建設業向け)
- 案件粗利率(見積時/最新見込):閾値 22〜25%
- 実行予算 乖離率:±5%以内
- 出来高回収リードタイム:請求→入金 45日以内
- 手持ち受注残 粗利額:3か月分を確保
- 支払サイト×外注比率:CF赤転の閾値を管理
4. 月次10日締め:意思決定の“鮮度”を上げる運用手順
- 1〜10日:仕訳・出来高・支払・外注の入力→工事台帳へ集約
- 10日:管理会計モデルが自動で工事別損益&会社損益を更新
- 11〜12日:経営会議(60分)で「今月の意思決定3つ」を決定
- 12日以降:進捗ボードでアクション・担当・期限を可視化
要諦:決算は締め切る日ではなく、意思決定が走り出す日。
5. 原価の見える化:工事別損益と見込粗利の管理
- 工事別損益:出来高・外注・材料・労務・経費を現場IDで束ねる
- 見込粗利:追加変更や手戻りを即時反映し、受注⇒竣工まで更新
- “赤信号”ルール:粗利率が××%を割ったら要承認/対策会議
6. キャッシュフロー設計:黒字倒産を防ぐ3枚シート
- 入出金予定表:請求・入金・支払のサイトを揃える(入金先行が理想)
- 工事別CF:出来高と支払を工事IDで突き合わせ、赤転月を予測
- 会社CF:固定費・投資・借入返済まで含めた月次資金繰り
指標:手元資金=月商1.5〜2か月分、赤転予兆は30日前に検知。
7. 銀行格付けと資金戦略:決算の“見せ方”を整える
- 売上より粗利とCF:受注の質(単価・回収サイト)を示す
- 工事別損益の整合性:原価計上・棚卸・未成工事支出金の整頓
- KPIと会議体:黒字が「設計された結果」であることを資料で伝える
提示資料例:KPIダッシュボード、工事別損益、月次推移、資金繰り予定、格付け計算書
8. 90日導入ロードマップと責任分担
| 期間 | 成果物 | 主担当 |
|---|---|---|
| Day 1–14 | 工事台帳・実行予算の標準化、KPI定義、赤信号ルール | 貴社+当社 |
| Day 15–45 | 月次10日締め運用、原価予実の自動集計、会議体スタート | 当社主導 |
| Day 46–90 | 工事別損益レポート安定化、CF三表連動、銀行提示用セット | 共同 |
成果基準:粗利率 +3〜5pt、格付け1ノッチ改善、資金ショート予兆ゼロ。
9. FAQ
月次10日締めは社内体制が追いつくか不安です。
初月は“準10日締め”で進め、2か月目に完全10日締めへ。入力負荷は現場IDの統一と外注・購買の定型化で大幅に削減できます。
既存の会計ソフト/表計算でもできますか?
可能です。データの取り口(CSV/仕訳)を合わせ、管理会計モデルに読み込む構成にします。
銀行交渉の資料はどこまで用意してもらえますか?
KPIダッシュボード・工事別損益・資金繰り予定・格付け簡易計算をセットでご用意します。
無料診断のご案内(30分)
「月次10日締め」「原価の見える化」「銀行提示セット」を、貴社の現状に合わせて最短90日で実装します。
まとめ:今日からできる3アクション
- “10日締め”の日程を宣言(会議体をカレンダー固定)
- 現場ID・支払サイトの統一(台帳に流す入口を整える)
- 赤信号ルール(粗利率・予実乖離・回収遅延)を明文化
黒字は運の結果ではなく、設計の結果です。