Vol.4|銀行格付けを上げる決算書の作り方
ホワイトペーパー Vol.4|銀行格付けを上げる決算書の作り方
格付けは「点数」ではなく経営の通信簿。 本稿では、建設業で評価されるP/L・B/S・CFの整備と月次運用、提出パッケージの作り方を、 格付け6→8・金利1.9%→0.85%を実現した支援知見をもとに体系化します。
1️⃣ 銀行格付けの基本構造(何が点数になるか)
| 評価軸 | 主な指標(代表例) |
|---|---|
| 収益性 | 営業利益率、経常利益率、粗利率の安定 |
| 安全性 | 自己資本比率、流動比率、債務償還年数 |
| 成長性/安定性 | 売上・利益の推移、受注台帳の厚み |
| 定性 | 月次試算・資金繰り運用、計画の実現性、ガバナンス |
要点:「年1回の決算」より年間の運用が信用を作る。月次が整えば決算は自然に良くなる。
図:格付けの4層(収益・安全・成長・定性)
2️⃣ 決算書を“評価される形”に整える 3ポイント
(1)P/L:粗利の質を上げる
- 工事別P/Lで赤字現場を排除、見積り標準原価を更新。
- 販売費・一般管理費は「変動/固定」に分解し、損益分岐点を提示。
- 季節変動の説明資料(四半期別グラフ)を添付。
(2)B/S:運転資金を整流化
- 売掛・未成工事支出金・受入金の棚卸スケジュールを作成。
- 短期借入を長期へリファイナンス、債務償還年数を改善。
- 役員貸付・仮払金の整理(ガバナンス)を完了させる。
(3)CF:資金の「出入り」を説明可能に
- 設備投資は投資CF、借入は財務CFに整理し、運転資金CFを可視化。
- 翌期の資金ギャップ日数(入金サイト-支払サイト)を算定。
3️⃣ 月次運用と提出パッケージ(銀行が“見たい”書類)
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 月次試算表(P/L・B/S) | 3ヶ月連続で提出。予実差異と改善アクションを記載 |
| 資金繰り表(週次/12ヶ月) | 入出金予定・資金ギャップ・対策欄を併記 |
| 受注台帳・見込み | 元請/下請/粗利率・入金サイトまで示す |
| 事業計画書 | 設備投資、採用、借入の使途と回収計画を明示 |
コツ:「資料の整合性」が最重要。試算表の数値は資金繰り・受注台帳と辻褄が合うように。
4️⃣ “見せ方だけ”のNG例(信用を落とす)
- 期末の売上前倒し・棚卸調整で一時的に利益を作る(翌期に反動)。
- 短期資金で長期投資を賄う(流動比率の劣化)。
- 役員貸付・仮払金の残高放置(格付け上の減点)。
5️⃣ 事例:格付け6→8/金利1.9%→0.85%(建設会社A)
| 項目 | Before | After(1年後) |
|---|---|---|
| 粗利率 | 18% | 26% |
| 自己資本比率 | 8% | 17% |
| 債務償還年数 | 14.0年 | 7.6年 |
| 金利 | 1.90% | 0.85% |
月次の「受注・原価・資金」を一本化 ⇒ 信用が回復し、枠拡大+低金利に成功。
6️⃣ 導入ステップ(90日ロードマップ)
- 0–30日: 現場別P/L・資金繰り表テンプレ導入、期中残高の棚卸。
- 31–60日: 受注台帳と連動した予実管理、短期→長期の借換え交渉準備。
- 61–90日: 事業計画書・提出パッケージを完成、金融機関へ説明・打診。
7️⃣ まとめ|“良い決算書”は月次運用の副産物
決算はゴールではなく運用の結果。月次で整え、数字の一貫性を示すことが格付け改善の最短ルートです。
※本資料は実務支援の知見を一般化したもので、各社の状況により最適解は異なります。
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