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建設業が黒字倒産しやすい3つの理由と防止策

2025年10月27日
建設現場の躯体—資金繰りの重要性を象徴するアイキャッチ(横1200×628) 建設業 財務

建設業が黒字倒産しやすい3つの理由と防止策

利益が出ているのに潰れる——建設業で頻発する「黒字倒産」は、利益と現金のズレが原因です。この記事では、現場の実務に即して ①資金繰りギャップ②会計と現金の乖離③借入設計の誤りの3点と、 今すぐ着手できる防止策を図解つきで解説します。

① 入金と支払いのタイムラグ(資金繰り構造の歪み)

建設業では、工事完了→検収→請求→翌々月入金と時間がかかる一方、材料費・外注費・人件費は 毎月の先払いが中心。複数現場の立替が重なると、帳簿利益が出ていても現金が先に尽きます

着工 完工 請求 入金 キャッシュアウト キャッシュイン 立替期間 = 資金ショートの主因
図1:完工〜入金までの立替期間が長いほど、運転資金の枯渇リスクが高まる

典型パターン

  • 月末締め翌々月入金
  • 下請支払は翌月末
  • 複数現場の立替が重なる

主要KPI

  • 請負サイト − 支払サイト(≒資金ギャップ日数)
  • 工事別の月次キャッシュ収支

防止策

  • 週次・月次資金繰り表の更新
  • 前受金/中間金契約の導入
  • 入金遅延常態の元請は条件見直し

② 売上は黒字でも「未収・未配賦」で現金が足りない

進行基準・完成基準で売上を計上しても、請求未完・未収金・原価未配賦が多いと 実際のキャッシュと乖離。「資金利益表(現金主義P/L)」を並行管理し、 売掛回収と原価の精度を月次で検証します。

発生主義の利益 現金ベース ズレ=未収・未配賦
図2:発生主義P/L(青)と現金主義P/L(緑)の乖離
実務チェックリスト
  • 売掛金回収予定表を毎月更新(滞留90日超を特定)
  • 進行率と原価配賦を第三者(経理/CFO代行)で検証
  • 試算表と資金繰りの突合(資金利益表を併記)

③ 銀行借入の構造理解不足(短期資金の誤用)

立替に必要な運転資金まで短期借入の借り換えで凌ぐと、 入金遅延ひとつで資金ショート→信用低下の悪循環に。使途別の借入期間設計工事別運転資金ラインの設定で、資金調達を構造化します。

短期:工事運転資金(立替・在庫・売掛) 中期:設備更新・車両・IT(減価償却期間に合わせる) 長期:事業基盤(拠点・M&A 等) 使途明確+期間整合
図3:資金用途に合わせた借入期間の整合(短・中・長)

まとめ:黒字倒産を防ぐ3本柱

分野対応策具体アクション
資金繰り キャッシュ予測と前受金制度 週次・月次資金繰り表/契約条件見直し
会計 実態把握型のP/L管理 資金利益表の併記/回収率モニタリング
財務 借入設計と金融交渉力 工事別運転資金ライン/格付け改善運用
資金繰り表とチェックリストのイメージ写真
実務は「見える化」から。資金繰り表・回収予定・借入設計を一枚で運用。

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