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請求漏れ・遅れが命取りに!建設業の資金繰りを守る請求管理術 7

2025年9月19日
請求漏れ・遅れが命取りに!建設業の資金繰りを守る請求管理・改善実践ガイド

請求漏れ・遅れが命取りになる資金繰りの現場

〜黒字倒産を防ぐための請求管理・改善実践ガイド〜

要点(3行で)
① 請求漏れ・遅れは現金化を遅らせ、資金繰りを直接悪化させる。
② 運用ルール(SOP)・システム活用・KPI管理の三位一体でゼロに近づける。
③ 90日で「未請求残の可視化→SOP定着→KPI連動」まで到達可能。


1. 導入:なぜ請求漏れ・遅れが致命的か

建設業は先行コスト発生型。工事完了→請求発行→検収→入金の流れの中で、請求漏れ・遅れが起きると入金時期が後ろ倒しになり、外注費や資材費の支払サイトに追い付けなくなります。結果、短期借入や割引手形で凌ぐ時間が増え、金利・手数料が利益を削ります。

請求遅延の平均
20日 → 5日以内
回収期間(DSO)
85日 → 65日
年間CF改善
+2,000万〜+4,000万円

※数値は本記事の事例レンジ。実際は取引条件・工種により異なります。

2. 請求漏れ・遅れが資金繰りに与える5つの影響

2-1. 運転資金の圧迫

請求1,000万円が1カ月遅れる=1,000万円が1カ月使えない。年利2%の短期借入なら利息約20万円。複数現場で重なると数百万円規模になります。

2-2. 黒字倒産リスク

帳簿上は黒字でも、現金不足が続けば倒産に至ります。キャッシュの遅延は利益より重い経営リスクです。

2-3. 仕入条件の悪化

外注・資材への支払い遅延は信用低下を招き、前払要求や単価上昇につながる悪循環に。

2-4. 受注機会の逸失

着手金や前払が用意できず、採算の良い案件を逃すケースが発生します。

2-5. 社内生産性の低下

再請求・差戻し対応・突貫の回収交渉など、非生産的な手戻りが積み上がります。

3. 請求漏れ・遅れの主な原因

3-1. 現場と経理の情報断絶

完了日・出来高・追加工事が口頭/紙で散在し、経理へ届かない。担当者変更時に“誰も知らない工事”が発生。

3-2. 請求スケジュールの未整備

発行日・締切日・責任者が曖昧で、繁忙に流されます。

3-3. 追加工事の記録不備

小口の追加・やり直しが書面化されず、請求根拠が弱くなるため見送りが発生。

3-4. 契約・見積の不一致

現場実績と契約条件の乖離が差戻しや再発行の原因に。

3-5. 文化的要因

「検収後でいい」「取引先を急かさない」などの慣習が、結果として自社の資金繰りを圧迫します。

4. 防止策(運用・システム・マネジメント)

4-1. 運用:請求SOP(標準手順)の確立

  • 完工トリガー定義:写真・検査記録・出来高の3点揃いで3営業日以内に起票
  • 定例スケジュール:毎月日=現場締切/日=経理レビュー/日=一括発行。
  • ダブルチェック:数量・単価・追加の有無を現場⇄経理で相互確認。

4-2. システム:モバイル入力+単一台帳

  • 現場がスマホやタブレットで出来高・追加を即時入力、写真・見積・承認を紐付け保存。
  • 未請求/発行待ち/差戻し/回収予定をリアルタイムでステータス可視化。
  • Excel分散を解消し、Single Source of Truth(単一の正)へ統合。

4-3. マネジメント:KPIと見える化

  • 未請求残高請求遅延率DSOを週次でダッシュボード共有。
  • 遅延の原因トップ3を月次で是正し、SOPへ反映。
  • 例外運用は期限・責任者付きの承認制に。

4-4. 法対応:インボイス&電帳法で差戻しゼロ化

適格請求書の必須項目と電子保存要件の整備で、形式不備による差戻し・再発行を根絶します。

5. 成功事例3社+失敗事例2社

成功①|総合建設A社(年商8億円)

課題:毎月5件・平均20日の遅延。
施策:SOP化+クラウド請求+発行日固定化。
成果:遅延ゼロ、入金前倒し平均15日、年間CF約3,500万円改善。

成功②|内装B社(年商3億円)

課題:追加工事の請求漏れ300万円/年。
施策:モバイル起票・写真証憑・即時承認。
成果:漏れゼロ、粗利率+2pt。

成功③|設備C社(年商12億円)

課題:Excel台帳の分散で二重/未発行。
施策:台帳統合・週次レビュー・KPI運用。
成果:請求精度100%、社内工数 月20h削減。

失敗①|D社(ツール導入のみ)

システムだけ導入し、教育・KPI・責任者設定が不十分。現場入力が定着せず効果なし。

失敗②|E社(例外運用の常態化)

「特例対応」を繰り返し、スケジュール遵守率が上がらず。例外基準の明文化と承認制が必要。

6. 90日改善ロードマップ

フェーズ1(0〜30日):現状診断と即効対策

  • 過去6カ月の遅延件数/日数・未請求金額を棚卸し(未請求リスト作成)。
  • 「完工→3営業日で起票」を暫定ルールとして全現場に通達。
  • 大型案件からモバイル起票を先行導入し、阻害要因を抽出。

フェーズ2(31〜60日):SOP文書化と可視化

  • 発行日・締切日・責任者の三点を文書化し、全社共有。
  • ダッシュボードで未請求残・遅延率・DSOを週次レビュー。
  • 追加工事の承認ワークフローを本稼働。

フェーズ3(61〜90日):定着と評価連動

  • 原因トップ3の恒常対策をSOPへ反映(改訂版を配布)。
  • 評価制度にKPIを連動、例外運用は期限付き承認で管理。
  • 期末に効果測定(DSO/CF改善)を実施し、翌期目標を再設定。

7. 請求漏れ防止チェックリスト

  • 完工条件の証憑(写真・検査記録・出来高)が揃っている
  • 契約金額・数量・単価・条件が請求書と一致している
  • 追加工事は写真・見積・承認が紐付いて保存されている
  • 発行日・入金予定日を資金繰り表に反映済み
  • 未請求リストを週次でレビューしている
  • 差戻し率・遅延率・未請求残をKPI管理している
  • 例外運用は書面で承認・期限付きで管理している

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 小口の追加作業まで記録するのは負担では?

A. 写真+簡易見積のテンプレで1〜2分運用に。積み重ねが粗利とキャッシュに直結します。

Q2. 現場が忙しくて入力できない

A. まずは「完工→3営業日で起票」をKPI化。初月は代理入力や音声入力で支援し、習熟後は現場の手戻りも減少します。

Q3. 取引先の検収が遅い

A. 事前に検収要件・必要書類を合意しテンプレを共有。出来高段階の中間請求も併用しましょう。

Q4. インボイス/電子帳簿保存法の対応は?

A. 適格請求書の必須記載と電子保存要件を満たすことで、形式不備の差戻し・再発行を防止できます。

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