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外注費・材料費高騰時代の資金戦略 5

2025年9月17日

外注費・材料費高騰時代の資金戦略|建設業が生き残るための5つの手

はじめまして。エスエスコンサルティング株式会社の鈴木進一です。
私はこれまで30年以上、建設業の経営改善や資金繰り支援に携わってきました。ここ数年で特に深刻化しているのが、「外注費」と「材料費」の高騰です。

現場では「鉄筋や木材が半年前よりさらに高くなった」「外注職人の単価が上がり、利益が残らない」といった声が絶えません。これらは一時的な現象ではなく、長期的に続く可能性が高い構造的な問題です。

この記事では、外注費・材料費の高騰が経営に与える影響を整理し、その中で建設業が生き残るための具体的な資金戦略5つを解説します。


1. 外注費・材料費高騰の現状と背景

まず、なぜこんなにもコストが上がっているのか。その理由を理解することが第一歩です。

1-1. 材料費の高騰要因

  • 世界的な資源需要の高まり
  • 為替の円安による輸入価格の上昇
  • 燃料費・物流コストの上昇
  • 国内供給不足(製造業の減産や輸送遅延)

例えば鉄筋価格は2020年比で約30%、木材は40%以上上昇しており、一部では過去最高値を更新しています。

1-2. 外注費の高騰要因

  • 深刻な技能労働者不足
  • 公共工事労務単価の引き上げ
  • 安全基準・品質基準の厳格化による施工負担増
  • 外注先の原価高騰に伴う単価見直し

外注費の上昇は人手不足が根本的な原因であり、短期で改善する見込みは薄いのが現状です。

解説: 材料費と外注費の両方が同時に上がると、利益を削るスピードは倍になります。ここを軽視すると、資金繰りに直結する危険信号を見落とします。


2. 原価高騰が資金繰りに与えるインパクト

原価高騰は、単に利益を減らすだけではありません。現金の流れそのものを圧迫します。

2-1. 粗利率低下の影響

年商3億円、粗利率20%の会社があったとします。粗利が1%下がると、利益は年間300万円減少します。しかもこれは「利益」だけの減少ではなく、同額のキャッシュが減ることを意味します。

2-2. キャッシュフローの悪化

建設業は「先に支払い、後で回収」という構造が多く、外注費や材料費の支払いが前倒しされると、手元資金が急減します。この状態が続くと、黒字でも倒産する「黒字倒産」のリスクが高まります。

解説: 利益とキャッシュは似て非なるものです。利益が出ていても資金が回らなければ経営は継続できません。


3. 短期的な資金戦略(即効性のある対策)

3-1. 前受金・出来高払いの交渉

元請や施主に、工事進捗に応じた分割請求を提案します。これにより資金の前倒し確保が可能になります。

3-2. 請求〜入金サイクルの短縮

請求書の発行を締日後すぐに行い、支払いサイトの短縮を交渉します。特に長期の60日サイトは資金負担が大きいため要注意です。

3-3. 仕入条件の見直し

資材の発注はまとめ買いや長期契約で単価を固定化します。支払いサイト延長も交渉対象です。

3-4. 短期資金調達の活用

ファクタリングや短期借入で一時的なキャッシュギャップを解消。ただし、金利や手数料負担には注意が必要です。

解説: 短期策は「延命措置」ではなく、「中長期策を実行するための時間を稼ぐ手段」です。


4. 中長期的な資金戦略(利益構造の改善)

4-1. 原価管理の徹底

工事ごとに実行予算を作り、毎月実績と比較します。差異が出たら即改善策を打ちます。

4-2. 自社施工率の向上

外注依存度を減らし、利益率を改善します。自社施工比率が5%上がるだけで、粗利は大きく改善します。

4-3. 高付加価値案件へのシフト

単価競争から脱却し、特殊技術や提案力で付加価値をつけた工事を受注します。

4-4. デジタル化による効率化

BIMやクラウド原価管理システムを導入し、手戻りやムダを削減します。

解説: 中長期策は即効性はありませんが、実行すれば「原価高騰に強い経営体質」になります。


5. 金融機関との関係構築と調達力強化

5-1. 数字の見える化

試算表や資金繰り表を毎月提出し、経営状況をオープンにします。これが信用につながります。

5-2. 融資メニューの活用

リスケ、追加融資、信用保証制度などを状況に応じて選択。金融機関との相談は資金ショート前に行うことが鉄則です。

解説: 銀行は「危ない会社」を嫌うのではなく、「危ないのに何もしない会社」を嫌います。早期の行動が信頼を生みます。


まとめ

外注費・材料費の高騰は止められません。しかし、資金繰りの工夫と利益構造の改善で、経営を守ることは可能です。

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