はじめに|エスエスコンサルティングの鈴木です
1. |建設業における“人が育たない”という深刻な問題
建設業界では、「若手が定着しない」「職人が育たない」「教えてもすぐ辞める」といった声が現場から頻繁に聞こえてきます。
この問題は、単なる「若者の根性不足」ではなく、業界構造そのものに根差した課題です。
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2. 人材が育たない3つの構造的原因
以下の3つは、どの建設会社にも共通する「育たない理由」です。
【図解1】人材育成が失敗する構造的3要因
要因 説明 典型例
①OJT依存 教育を現場任せにしている 「現場で覚えろ」が基本姿勢
②属人化 教え方・技術が職人に依存 技術が“言語化”されていない
③評価不在 成長が見えず本人も上司も不明瞭 「どこがダメか教えてもらえない」
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3. なぜOJTでは限界なのか?|“現場で覚える”の落とし穴
多くの会社が「ベテランが新人を横につけて教える」=OJTとしていますが、
これは教える人の質・忙しさ・性格に大きく左右され、属人的かつ再現性がないのが問題です。
📌実際の現場では:
•ベテランが忙しくて教える余裕がない
•間違って覚えても誰も指摘しない
•若手が“質問できない空気”に萎縮
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4. 属人化のリスク|その職人が辞めたら、会社の技術も消える
教え方やノウハウが「言語化・マニュアル化」されていないと、育成がベテラン職人の能力に依存します。
すると、以下のようなリスクが発生します。
•ノウハウが社内に残らない
•技術継承に失敗し、品質トラブル発生
•育成のばらつきによるモチベーション低下
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5. 解決策:育成制度の再構築に必要な3ステップ
ステップ①:標準化|教育マニュアルを整備する
•施工ごとの「作業手順書」や「ミスしやすいポイント」などを文書化
•教育担当者向け「指導ガイド」を整備
•動画マニュアルの活用で定着率UP
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ステップ②:体系化|“職位別カリキュラム”を構築する
•入社3か月/6か月/1年ごとの習得目標を設定
•職長候補者にはリーダー研修を用意
•安全・品質・マナーも教育対象に含める
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ステップ③:可視化|評価とフィードバックの仕組み
•月次1on1で進捗確認・悩みヒアリング
•技術力だけでなく「行動」「姿勢」も評価対象に
•昇給・昇格に連動させてモチベーションを向上
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6. 成功事例|研修制度で“育つ現場”に変わった塗装会社のケース
中部エリアの塗装会社(従業員25名)は、OJT一本槍で育成が破綻。
そこで教育制度を刷新し、次の成果を出しました。
•技術マニュアルとチェックリストの整備
•若手同士で教え合うペア制度の導入
•月1回の「成長発表会」で承認文化を醸成
→ 1年で離職率が25%→7%に改善。技術品質の安定、顧客満足度も向上。
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7. まとめ|“人が育つ会社”にするのは仕組みの力である
「最近の若者は育たない」のではなく、「育つ仕組みがない」ことが問題です。
属人化とOJTに頼る育成を脱却し、会社として“人を育てる力”を持つことが、
次世代の建設会社に求められる経営力です。
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