黒字倒産を防ぐ|建設業の資金繰り改善マニュアル
2025年9月9日
黒字倒産を防ぐ|建設業の資金繰り改善マニュアル
エスエスコンサルティングの鈴木です。建設業の現場で頻発する「利益は黒字なのにお金が足りない」を、5つの実務対策で止める方法をまとめました。
資金繰り入出金サイト
工事別CF請求電子化銀行交渉
1. 黒字倒産とは
損益計算書では利益が出ているのに、資金ショートで継続できない状態。建設業では「支払いが先・入金が後」の構造が強く、売上増でも運転資金が膨張しやすいのが特徴です。
2. 建設業で起きやすい背景
- 入金サイトが長い:元請け入金は30〜60日後、請求の遅れでさらに後ろ倒し。
- 前払い・先行支出:足場・材料・外注費・重機の支払いは着工直後に発生。
- 出来高検収の手間:書類不備や捺印漏れで請求が翌月回しに。
- 急成長の落とし穴:受注増ほど資金需要が増える(人・資材・外注先への前払い)。
- 資金繰りの月次運用:月次締めでは手遅れ。週次での予兆検知が必須。
3. 典型的なキャッシュギャップ
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
---|---|---|---|---|
出来高発生 | ◯ | ◯ | ◯ | |
外注・材料支払い | ◯ | ◯ | ◯ | |
請求書発行 | ◯ | ◯ | ◯ | |
入金(60日後) | ◯ | ◯ |
ギャップ期間(着工〜入金まで)をどう埋めるかが黒字倒産回避の核心です。
4. 症状と事例(要点)
- 足場工事:売上急増で前払いが膨張。週次資金繰りと出来高請求の前倒しで改善。
- 塗装:黒字でも給与資金が逼迫。銀行と事前にコミットラインを設定し回避。
※企業規模・契約条件により効果は異なります。
5. 黒字倒産を防ぐ5つの対策
対策① 週次資金繰り運用(最低13週ローリング)
- 毎週入金予定/支払予定/差額を更新し、赤字週は手当を決める。
- 工事別の大型支出は事前に資金繰りへ反映。
対策② 請求の前倒し&漏れゼロ運用
- 検収電子化・必要書類の事前合意で「翌月回し」を防止。
- 週次で「出来高・検収・請求予定」を現場→本社で共有。
対策③ 入金サイト短縮・出来高払いの導入
- 60日→30日、検収日を繰り上げ。部分前払・出来高払いを交渉。
- 代替案として「データ先行提出」で元請け側の処理を軽減。
対策④ 支払サイト・購買条件の最適化
- 協力業者へ入金予定を開示し、支払日を入金後へ寄せる。
- 資材・レンタルは年次ボリューム契約で3〜8%圧縮。
対策⑤ 銀行交渉と非常時オプション
- 繁忙前に運転資金枠(コミットライン)を確保。
- 最終手段としてファクタリング。手数料・二者/三者間・債権譲渡条項を精査。
6. そのまま使えるチェックリスト
- 週次資金繰り(13週)を運用している
- 元請けごとの締め・検収・支払日の一覧がある
- 請求書の電子化と必要書類テンプレが整備済み
- 工事別CF(出来高・外注・材料・入金)が可視化されている
- 協力業者と支払条件の合意文書がある
- コミットライン or 手形期日管理のルールがある
7. まとめ & CTA
- 黒字倒産は構造の問題。損益ではなく現金を見る仕組みを。
- 「週次運用 × サイト短縮 × 工事別CF × 銀行交渉」で資金を守る。
エスエスコンサルティングの鈴木です。御社の資金繰り表・契約条件を拝見し、最速の改善手順をご提案します。