運転資金 vs 設備資金|借入目的別の融資戦略 9
2025年8月30日
運転資金 vs 設備資金|借入目的別の融資戦略
エスエスコンサルティング株式会社|財務支援の専門家チーム
はじめに|借入目的が“曖昧”だと、融資は失敗する
銀行に「借入をしたい」と相談すると、まず聞かれるのが「資金の使途(使い道)」です。
このとき、運転資金と設備資金の違いを正しく理解していないと、融資が通らない・条件が悪化する・返済計画に無理が出るといった事態になりかねません。
本記事では、運転資金と設備資金の違いを明確にし、それぞれに適した借入戦略を解説します。
1. 運転資金とは?
運転資金とは、日々の事業運営に必要な短期資金です。
- 人件費・外注費・材料仕入れ
- 現場経費・交通費・光熱費
- 支払手形の決済資金
特に建設業では、「工事完了から入金までのタイムラグ」が長いため、資金繰りの谷を埋める運転資金が重要です。
2. 設備資金とは?
設備資金は、長期にわたって事業に使用する固定資産を取得するための資金です。
- 建設機械・トラック・車両
- 倉庫・資材置場・社屋
- ソフトウェア・IT機器
銀行は、設備資金の審査にあたって耐用年数や回収見込みを細かくチェックします。
3. 融資条件の違い|返済期間・金利・担保
項目 | 運転資金 | 設備資金 |
---|---|---|
返済期間 | 1〜5年(通常3年以内) | 5〜15年 |
金利 | やや高め(短期) | 比較的低金利(長期) |
担保の有無 | 無担保も可能 | 対象設備に抵当設定が必要な場合も |
審査ポイント | キャッシュフロー・資金繰り | 回収計画・耐用年数・収益性 |
4. 使い分けの判断基準|資金の“回収可能性”がカギ
銀行が最も重視するのは「このお金がどう使われ、いつ・どのように回収されるか」という視点です。
例えば、人件費の補填を設備資金で借りてしまうと、「長期の返済が短期運転に充てられている」として、金融機関の信頼を損なう可能性があります。
逆に、建機の購入を運転資金で借りると、返済期間が短すぎて資金繰りに無理が出ます。
5. 融資戦略の実例|目的別に“設計”する
ケース①|受注増による人員強化・材料費増
- → 日本政策金融公庫の「経営改善資金(無担保・運転用途)」を活用
- → 売掛金回収とのバランスを取って3年以内返済
ケース②|中古トラック2台の購入
- → 地方銀行の「設備資金融資(5年・低金利・担保設定あり)」
- → 装備資産の担保評価がついたためスムーズに承認
6. 借入の目的を“戦略的に”伝える技術
融資申請時には、資金使途を以下のように明確化すると、金融機関の信頼が高まります。
- ✅「いつ」「何に」「いくら」使うか
- ✅ その資金で「何を生み出すか」
- ✅「どうやって回収(返済)するか」
曖昧な表現(「今後の事業拡大のため」「資金繰り改善のため」など)だけでは、審査担当者は動きません。
まとめ|借入の“目的明確化”が、銀行評価と返済計画の軸になる
同じ1,000万円の借入でも、使途・期間・返済戦略次第で「資金繰りリスク」は大きく変わります。
銀行は“目的なき借入”を最も嫌うという事実を、経営者は深く理解する必要があります。
エスエスコンサルティングでは、資金使途の整理から資金繰り表の作成、銀行交渉までをトータル支援しています。