粗利率を10%上げる!建設業の原価見積と実行予算の作り方
2025年11月23日
粗利率を10%上げる!建設業の原価見積と実行予算の作り方
“現場の頑張り”だけでは粗利は上がりません。利益は「設計」でつくるもの。見積時点から原価を数字でコントロールし、実行予算で差異を見える化することで、現場と経営が一体となった利益管理が可能になります。
1. 原価管理の出発点は「見積段階」にある
多くの会社が現場完了後に「なぜ利益が出なかったのか」を分析します。しかし、粗利は見積時点で決まるのが実情です。見積書に「直接費+間接費+利益率」を明確に分け、各項目に担当者を設定しましょう。
- 見積書に「原価・粗利」を同時表示する
- 材料・外注・労務・経費をコード管理
- 積算基準(m²単価、人工単価)を標準化
2. 実行予算は「目標利益」を守る防波堤
見積利益率が25%であれば、実行予算では20%を死守する仕組みに。差異の5%は“現場変動リスク”として先取り管理します。
- 実行予算=見積原価+安全費+リスクバッファ
- 各工程責任者に原価予算を配分
- 週次で実績/予算差異をチェック
3. 原価差異を“数字”で見せる
「思ったより掛かった」を禁止ワードに。材料・外注・工数それぞれで「見積→実行→実績」の差異をグラフ化。赤字工程を即座に特定し、次回見積に反映します。
差異分析の型
- (実績原価 − 見積原価)÷見積原価 = 差異率(%)
- 差異率10%以上は「要再見積」タグ付け
- 次回見積時に単価・歩掛を更新
4. 現場と経営をつなぐ「週次原価会議」
現場が進行中でも、毎週「出来高」「実績原価」「残予算」を共有。財務部門がリアルタイムに粗利率を算出し、改善アクションを即決できます。
5. 粗利率10%アップの実践ロードマップ
- ① 見積テンプレートを標準化
- ② 実行予算書に「差異」欄を追加
- ③ 原価コードを統一(材料・外注・労務)
- ④ 週次原価会議でPDCA
- ⑤ 年次で単価・歩掛データを更新
粗利率+10%は、「1社1式」の積算から「標準単価×管理式」の設計へ切り替えることから始まります。
© エスエスコンサルティング株式会社|下請けの味方