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時間とは何か?|忙殺される経営者が“今ここ”を取り戻すために

2025年7月27日
エスエスコンサルティング株式会社の鈴木進一です。

私はこれまで、多くの経営者と向き合ってきました。
その中で、最も多く聞かれる悩みのひとつが、実は「時間」に関するものです。

「忙しいのに、なぜか成果が出ない」
「予定は埋まっているのに、心は空っぽだ」
「このまま走り続けていて、どこに辿り着くのだろうか」

私たちは日々、スケジュールに追われ、通知に反応し、成果を求められています。
しかし、その“忙しさ”の中で、「いま、この瞬間」に自分の心が存在しているかと問われると、
言葉に詰まる方が多いのではないでしょうか。

本記事では、サン=テグジュペリの文学や古代ストア派の哲学を手がかりに、
「時間とは何か?」という問いに向き合いながら、経営者として“今ここ”を取り戻すヒントを探ります。

時計の針を進めるのではなく、時間の質を取り戻すこと。
その第一歩となる時間を、ぜひご一緒できれば幸いです。


第1章|「忙しさ=充実」とは限らない

経営者の多くは“忙しい”ことに慣れすぎている。
1日の予定は会議で埋まり、メール、LINE、Slack、電話が絶え間なく入る。
週末も何らかの打ち合わせ、現場、資料作成。ときに、家族との食事すら「タスク」のようになる。

だが、その「忙しさ」は、本当に意味あるものなのか?

「多忙とは、己の時間を他人に明け渡している状態である」
――セネカ(古代ローマのストア派哲学者)

セネカのこの言葉は、現代のビジネスパーソンに痛烈に突き刺さる。
忙しさに満たされていると錯覚していても、**自分で選んでいない時間は、すべて“失われた時間”**だという警告なのだ。



第2章|“今ここ”を失う経営者たち



現代は「同時多発時代」である。
マルチタスク、デジタル通知、複数案件の並走、常時オンの状態。
結果として、経営者たちは“今”という時間からどんどん切り離されている。
• 会議にいながら、次の打ち合わせの心配をしている
• 家族と食事をしながら、未返信のチャットが気になる
• 出張中も、常に「今どこにいるか分からない」感覚がある

この状態を、**哲学者ハイデガーは「頽落(たいらく)」**と呼んだ。
つまり、人が“今ここ”から転がり落ちて、目の前の現実に没入できなくなる状態だ。

経営者が“頽落”にあるとき、判断は鈍る。
目の前の事象に追われ、長期的な視点を失い、リーダーとしての本質的判断を誤ることすらある。



第3章|サン=テグジュペリが語った「時間の質」



サン=テグジュペリ――彼は作家であり、飛行士でもあった。
代表作『星の王子さま』では、「大切なことは、目に見えない」と説いたが、
実はもうひとつ、時間についての名言がある。

「時間を節約するのではなく、時間を味わうのだ」

経営において、「時間を効率化すること」は必須だ。
だが、その先にあるべきは「時間を味わう」ことであり、自分の時間を取り戻すことである。

では、“時間を味わう”とは何を意味するのか?
• 誰にも邪魔されない1時間の思索
• 社員と本音で語る10分間の立ち話
• 商談前の静かなカフェでの5分の黙考

これらは、短くても密度のある時間だ。
つまり、“量”ではなく“質”としての時間である。



第4章|古代ストア派に学ぶ、時間との向き合い方



ストア派哲学者たちは、「時間に対する心の構え」を何よりも重視した。
中でも有名なのは、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの言葉だ。

「すべての人間は、死を迎える。だが、ごくわずかな人間だけが、生きるということを理解している」

この言葉の背景には、「有限性」の意識がある。
時間は、私たちの手から常にこぼれ落ちていく。
であればこそ、「いかに生きるか」が重要なのだ。

ストア派はこうも語る:
• 明日を気に病むな。まだ訪れていない
• 過去を悔やむな。すでに終わった
• “今、この瞬間”にこそ、すべての力を注げ

経営者にとっても同じだ。
未来の売上や不安、過去の失敗や後悔に囚われていると、いま必要な意思決定が鈍る。

“今ここ”に集中する力は、最も強力な経営資源である。



第5章|「忙しい=生産性が高い」という幻想



多くの経営者が、「やることが多い自分」に価値を感じてしまう。
だが、果たしてそれは本当に成果につながっているだろうか?

Googleの元CEOエリック・シュミットはこう語っている:

「最も重要な仕事は、何もしていないときに思いつく」

これは皮肉でもなんでもなく、“余白”の重要性を指している。
アイデアや戦略、革新は、「埋まっているスケジュール」ではなく、「空いている思考空間」から生まれる。

よって、真の経営者ほど“暇”をデザインしている。
思考する時間、振り返る時間、目的を問い直す時間を、意図的に確保している。



第6章|「時間を取り戻す」ための実践ステップ



では、どうすれば“今ここ”に戻れるのか?
単なる精神論ではなく、以下のような実践が効果的だ。



1. 「すぐに返信しない時間」をつくる

→ 1日のうち2時間は通知をOFFに。判断力が回復する。



2. 「朝の30分」をルーティンに

→ 誰にも邪魔されない“沈思黙考”の時間を持つ。



3. 「時間簿」をつけて振り返る

→ 1日を15分単位で棚卸し。「意味ある時間/奪われた時間」を可視化。



4. 「社員と雑談する日」を設ける

→ 管理でも指示でもない“無目的の会話”が、組織の未来を生む。



5. 「週1回の“問い”タイム」

→ 「私は何のためにこれをしているのか?」を、誰にも見られず自問する。



【まとめ】時間とは、“生き方の反映”である



時間とは何か?
それは、時計の針が刻む数値ではなく、自分が「何に集中して生きているか」という鏡である。

忙しさに埋もれた日々から、1歩抜け出し、
“今ここ”に立ち返ることで、あなたの経営は変わる。

人生のすべては「今」の連続だ。
ならば、今この瞬間にどれだけ心を込められるか――そこに、経営の本質もあるのだと思う。



次の一歩は、経営者としての“問い”を持つことから。

「我が社は、いま営業組織をどう進化させるべきか?」

その問いに、私たちは共に向き合います。
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