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2025年9月18日
支払い待ちの現場に現金を回すには?建設業の資金繰り改善完全ガイド
はじめに
建設業では、請求から入金までの期間が長く、現場の人件費や材料費を先払いしなければならないケースが多くあります。この「支払い待ち」の状態は、黒字でも現金が不足する黒字倒産の主な原因の一つです。本記事では、建設業における資金繰りの仕組みから、現金を回すための具体的な改善策、そして実行のポイントまでを徹底解説します。
建設業に多い“支払い待ち”とは?
入金サイトと支払いサイトのズレ
建設工事の取引では、
入金サイト:請求から入金までの期間(例:月末締め翌々月末払い=約60日)
支払いサイト:仕入・外注・人件費などの支払い期日(例:月末締め翌月末払い=約30日)
となることが一般的です。結果として、工事で発生した費用は先に支払う必要があるのに、入金は1〜2か月後になるため、30日以上の資金ギャップが発生します。
資金ギャップの危険性
- 現場が止まるリスク:材料発注や外注手配ができない
- 支払い遅延による信用低下:仕入先や協力業者からの信頼喪失
- 黒字倒産:利益が出ていても現金不足で倒産
▶ 関連記事:建設業のキャッシュフロー経営とは?黒字倒産を防ぐ考え方
現金を回すための5つの具体策
① 現場別の資金繰り見える化
まず、工事ごとの資金の流れを明確にすることが重要です。
- 各現場の契約金額、請求日、入金予定日を一覧化
- 材料費・外注費・人件費などの支出予定日を明記
- 入金日−支出日=ギャップ日数を算出
ポイント:月単位ではなく現場単位で作成。資金繰り表は最低月1回更新し、経営者・経理・現場監督で共有。
▶ 関連記事:現場別利益管理で粗利率を10%上げる方法
② 先行費用の抑制
- 材料は必要時期に合わせて発注し、支払いを後ろ倒し
- 外注業者との契約時に支払いサイト延伸を交渉
- 大口仕入先には分割払い条件を提案
③ 請求タイミングの前倒し
- 出来高払い制度を導入し、進捗ごとに分割請求
- 着手金を契約時に設定(10〜30%)
- 公共工事では前渡金契約制度を活用
▶ 関連記事:建設業の請求サイトを短縮する交渉術
④ ファクタリングや短期資金調達の活用
- 2社間ファクタリング:取引先に知られず実行可(手数料高め)
- 3社間ファクタリング:取引先承認が必要(手数料低め)
- 銀行の短期借入や当座貸越枠の活用
注意:手数料や金利を考慮し、返済計画を必ず立てること。
▶ 関連記事:建設業のためのファクタリング活用マニュアル
⑤ 固定費の軽量化
- 事務所家賃の見直し
- 管理部門の外注化やシフト制導入
- 借入返済スケジュールの金融機関再交渉
実行のポイントと注意点
キャッシュフロー計画は必須
- 現金の出入りをベースにした計画を作成
- 入金・出金予定を月別で一覧化
- 赤字月がある場合は事前に資金調達を検討
経営・経理・現場の連携
- 現場監督は進捗と追加費用を早めに報告
- 経理は支払い予定と入金予定を最新化
- 経営者は資金調達や条件交渉を判断
まとめ|入金前の資金ショートを防ぐ三段構え
- 支払いを後ろにずらす(先行費用抑制)
- 入金を前に引っ張る(請求前倒し)
- 不足分は短期調達(ファクタリング・短期借入)
この仕組みを整えることで、現場が止まらず、経営の安定につながります。
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