建設業の人材戦略マニュアル|現場力と組織力を強化する5つの視点
2025年9月10日
建設業の人材戦略マニュアル|現場と組織を変える実務的アプローチ
エスエスコンサルティングの鈴木です。全国の建設会社を回って感じるのは「若手が入っても育たない」「ベテランの引退が迫る」という切実な声です。本稿は現場に効く人材戦略を、数字と実例でまとめました。
1. 現状の把握:数字で見る人材リスク
平均年齢
技能者48歳台
技能者48歳台
3年離職
高水準が継続
高水準が継続
後継不足
熟練者引退が集中
熟練者引退が集中
10年後に主力が抜け落ちる未来が見えている。だから「今」仕組みを入れる。
2. 採用戦略:求人票から“体験”へ
- 学校連携の深耕:工業高・専修・建築土木系大学を定点訪問。現場見学と安全講習をセット。
- 新卒・第二新卒の二段構えインターン×Uターン:1日仕事体験+地元就職訴求。
- SNS/動画採用:YouTubeで「先輩の1日」を発信 → エントリー増を実感する例が多い。
- 採用LP:施工実績・福利厚生・キャリアパス・給与レンジを明記。写真は“人の表情”重視。
3. 定着戦略:続けたくなる会社にする
- キャリアパス表:3年職長補佐/5年監督補佐/10年主任。評価と昇給の紐づけを公開。
- メンター制度:入社1年は先輩が生活・仕事の両面を伴走。月1回の1on1で不満を早期解消。
- 安全×休み:週休2日化の工程設計、装備更新、ヒヤリハット共有。安心は最大の福利厚生。
4. 育成戦略:OJTを“仕組み”に変える
- 動画教材化:足場組立・塗装手順・KYミーティングを3~5分クリップで標準化。
- 資格パス:玉掛け→高所作業→2級施工管理→1級。会社負担+合格祝い金。
- 職長・監督研修:工程・安全・原価・コミュニケーションに管理会計の視点を加える。
5. 働き方と文化:人が光る現場づくり
- チーム評価:個人だけでなく“現場単位”で表彰。連帯感が事故と離職を減らす。
- 見える化:出来高・粗利・安全KPIを掲示板とアプリで共有。数字は人を動かす。
- 「ありがとう」を制度に:サンクスカード/朝礼の称賛タイム。小さな承認が大きな定着を生む。
6. 実例ダイジェスト
- 塗装会社(神奈川):YouTube採用+週休2日 → 応募数2倍・定着率90%超。
- 足場会社(東海):動画教育+メンター → 新人の独り立ち期間が6ヶ月→3ヶ月。
- 土木会社(東北):資格パス+チーム評価 → 3年離職率が半減、生産性向上。
7. まとめ & CTA
人材戦略は「採用・定着・育成・働き方・文化」の総合設計です。人をコストではなく資産と捉え、仕組みで継続させることが勝ち筋になります。
エスエスコンサルティングの鈴木です。御社の現場実態を踏まえ、人材戦略の設計から運用まで伴走します。