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建設業における資金調達の方法と戦略

2025年9月12日
建設業の資金調達|銀行融資・補助金・ファクタリング・内部改善まで実務解説

建設業の資金調達|銀行融資・補助金・ファクタリング・内部改善まで実務解説

エスエスコンサルティングの鈴木です。建設業は「入金が遅く支払いが早い」構造のため、黒字でも資金が尽きることがあります。ここでは6つの資金調達手法と、銀行が評価するKPI、必要書類、90日で実行する手順まで整理しました。

建設業の資金繰りのキモ(前提)

前金不足
出来高入金までのギャップ
支払先行
材料・外注・給与は毎月確定
変動大
天候・設計変更で原価変動
結論:複数の手段を組み合わせ、管理会計で「返済原資」を説明できる状態を作る。

1. 銀行融資(メインの調達)

運転資金(短期)

  • 着工~入金までの資金ギャップを埋める。
  • 限度額型のコミットラインで季節変動に対応。

設備資金(長期)

  • 重機・資材倉庫・車両など。耐用年数に合わせて返済。

審査の要点:現場別P/L、出来高推移、粗利見込、資金繰り表。銀行は「返済原資=営業キャッシュフロー」を重視。

2. 補助金・助成金(返済不要の原資)

  • ものづくり・事業再構築 等:DX、省人化設備に活用可能。
  • IT導入補助金:原価管理・勤怠・請求のクラウド化。
  • 働き方改革関連助成金:週休二日や労務環境整備。
補助金は「採択→実行→精算」の事務が重い。
銀行融資と組み合わせ、キャッシュアウトの山を平準化。

3. ファクタリング(売掛の即時化)

  • 公共・大手元請の入金サイトが長い場合の緊急弁。
  • 手数料は高め。常用せず「資金ショート回避」の補助的利用。

4. リース・割賦(投資を分割)

  • 重機・建機はリースで初期負担を抑制。リース料は損金。
  • ICT建機や測量機器の導入は(補助金×リース)の併用が有効。

5. 私募債・クラウドファンディング(信用と地域性)

  • 銀行保証付私募債:発行で信用力アピール、調達多様化。
  • クラファン:地域インフラ・防災案件で社会的意義を訴求。

6. 内部改善は“最大の資金調達”

  • 請求漏れ/遅れゼロ:工事台帳と請求をシステム連動。
  • 支払条件の見直し:協力会社サイト30→45日へ。
  • 在庫回転改善:資材在庫の棚卸・滞留削減。
KPI目標
売掛回転日数60日以内
買掛回転日数45日以上
出来高計上精度誤差±3%
粗利着地見込誤差±2%

銀行が評価する資料(チェックリスト)

  • 直近3カ年決算書+試算表、資金繰り表(13週/12か月)
  • 工事別P/L(予定原価・実行原価・実績・出来高・粗利)
  • 受注残一覧(工期・請負金額・発注者・出来高・入金サイト)
  • 債権年齢表・滞留債権の回収計画
  • 資金用途と返済原資の根拠(管理会計に基づく)

90日実行計画(スピード導入)

Day 0–30
資金繰り表・工事別P/Lの整備/資金需要の見える化
Day 31–60
銀行折衝(運転枠)+補助金申請準備/請求・支払プロセス改修
Day 61–90
与信限度の設定/ファクタリング・リースの併用設計/KPIダッシュボード運用

よくある失敗と回避策

  • 売上偏重で原価悪化 → 出来高×原価の週次見える化
  • 融資を“お願い”で終える → 返済原資のデータ提示(管理会計)。
  • ファクタリング常用 → コスト高。短期枠+請求改善に置換。
  • 補助金の事務負担で遅延 → 事前に体制とタイムラインを設計。

まとめ & CTA

資金調達は単発ではなくポートフォリオ設計が重要です。
銀行融資・補助金・内部改善を主軸に、状況に応じてファクタリングやリースを補助的に活用することで、黒字倒産のリスクを抑えられます。

エスエスコンサルティングの鈴木です。貴社のデータを基に、金融機関に通る資料作成(工事別P/L・資金繰り表)と交渉同席、補助金計画まで伴走します。

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