売上はあるのに資金が足りない?建設業の構造的問題と対策 5
2025年8月16日
売上はあるのに資金が足りない?建設業の構造的問題と対策
エスエスコンサルティング株式会社
代表取締役 鈴木進一
はじめに|「黒字倒産」という不条理
「今月も売上1億円達成。でも資金が足りない」
そんな声を、建設業界では頻繁に耳にします。
売上があるのに資金が足りない――それは、「構造的な欠陥」によるものです。
本記事では、建設業における資金繰りの落とし穴と、実務的かつ具体的な対策を解説します。
1. 建設業の資金繰りが厳しくなる“構造的な原因”
① 売上が現金になるまでの「タイムラグ」
請負工事では、完成・検収後の入金となるケースが多く、数ヶ月〜半年以上のズレが発生します。
しかも分割請求や出来高払いに制限されることも多く、資金は常に不足しがちです。
② 「支払いは先、入金は後」という逆転構造
材料費、人件費、外注費などは先に支払いが発生しますが、
売上として入金されるのは後。
これは“キャッシュフロー赤字”の温床です。
③ 工期の長期化と追加対応コスト
短納期・低価格競争のなかで工期は延びやすく、
対応コストも膨らみます。
その結果、利益率が低下し、資金が残らない構造が固定化されます。
2. 売上があっても資金が足りない会社の共通点
- 月次の資金繰り表がない/見ていない
- 利益とキャッシュの違いを理解していない
- 入金サイト・支払サイトの最適化がされていない
- 過剰な手形・売掛金依存
- 外注費や材料費の先払いが常態化
経営者がPL(損益)しか見ておらず、BSやCF(資金繰り)に無関心なケースも多く見られます。
3. 今すぐできる建設業の資金繰り改善策5選
① 資金繰り表の導入と可視化
月次でのキャッシュフロー予測を行い、資金ショートのリスクを見える化しましょう。
② 手形取引・売掛の早期回収
ファクタリングや早期入金交渉で“現金化のタイミング”を早める努力が必要です。
③ 入金・支払サイトの見直し
支払を遅らせ、入金を早めるよう交渉・契約見直しを行うだけで資金繰りは大きく改善します。
④ 金融機関との関係強化
月次試算表を提出し、透明な経営をすることで、運転資金の借入やつなぎ融資の可能性を高めましょう。
⑤ 利益率改善に直結する工程管理
原価管理・工数管理の徹底により、“儲かる案件の選別”と“赤字案件の早期察知”が可能になります。
4. 実際の改善事例|資金ショート寸前からのV字回復
・資金繰り表を導入し、3ヶ月先までの現預金推移を見える化
・支払条件を30日から60日に変更(交渉型)
・外注先への支払フローを再設計(遅延なき前提で)
・月次試算表の整備により、運転資金3000万円を調達成功
→ 売上は横ばいでも、資金残高が毎月プラスへ転換。
まとめ|「売上」ではなく「キャッシュ」を見よ
建設業の経営では、「売上至上主義」がかえって資金難を招く原因になります。
「利益が出ているのに資金がない」――それは、資金管理を軽視してきたツケです。
逆に言えば、キャッシュフローを正しく把握し、打ち手を講じれば
必ず“資金は回る”ようになります。
あなたの会社も、数字を“未来の武器”に変えましょう。
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