事例】粗利率18%→24%改善!資金繰りに成功した建設会社の裏側
2025年10月16日
【事例】粗利率18%→24%改善!資金繰りに成功した建設会社の裏側

下請け依存で粗利が伸び悩み、資金繰りが慢性的に厳しかったA社(機械器具設置工事)。
私たちの支援で6ヶ月間に粗利率18%→24%、さらに月次キャッシュフローを黒字化。
本記事では、実際に行った施策と運用の裏側を工程別に公開します。
目次
会社プロフィールと導入前の課題
プロフィール
- 業種:機械器具設置工事
- 従業員:20名規模
- 主力:重量物搬入・据付・解体・運搬
導入前の課題
- 下請け依存で単価主導権が弱い
- 支払サイト90日、仕入先は即時〜30日で資金ギャップ
- 見積作成が属人化し、粗利ブレが大きい
成果サマリー(Before/After)
粗利率 18% → 24%
支払サイト 90日 → 45日
月次CF ▲150万円 → +80万円
見積SLA 5日 → 48時間
指標 | 改善前 | 改善後(6ヶ月) | ポイント |
---|---|---|---|
案件粗利のバラつき | ±10pt | ±3pt | 標準見積と棄却基準で安定 |
入出金ギャップ | -60〜-90日 | -15〜-30日 | 前受・出来高請求・支払条件交渉 |
失注率 | 45% | 32% | 勝率×粗利×CFで案件選別 |
実施した打ち手(工程別)
領域 | 施策 | 具体内容 |
---|---|---|
見積 | 標準見積テンプレ | 工程別原単位・歩掛・歩留をテンプレ化。48h以内初期見積のSLAを設定。 |
案件選別 | 棄却基準の明文化 | 粗利<20%、与信△、工期圧縮・危険作業は原則NG。 |
価格 | 付加価値の見える化 | 安全体制・資格・夜間対応・狭小現場などの価値項目を明記し単価交渉。 |
キャッシュ | 前受・出来高・手付 | 総額の20〜30%を前受、長工期は出来高請求。支払サイト短縮交渉。 |
与信 | 簡易スコアリング | 取引規模・支払実績・信用情報でA/B/C区分、Cは前受必須。 |
運用 | 週次レビュー | 粗利/CF/進捗の3点レビュー。失注理由は価格/仕様/速度/実績で分類。 |
資金繰り改善のカギ(入出金モデル)
改善前:赤字スパイラル
- 材料前払い+外注即金 → 出金先行
- 請求は検収後一括・90日サイト → 入金遅延
- つなぎ資金の利息負担で粗利目減り
改善後:黒字スパイラル
- 前受20%+出来高請求 → 入金前倒し
- 仕入支払サイトを30〜45日に統一
- 案件別CFシートで赤字案件を事前排除
ポイント:価格・キャッシュ・リスクの三権を一部でも取り戻すと粗利が守られます。
6ヶ月の実行タイムライン
月 | 主なアクション | 成果/指標 |
---|---|---|
1ヶ月目 | 現状診断・KPI設定・標準見積ドラフト | 試算で粗利+3pt見込み |
2ヶ月目 | 棄却基準導入・前受交渉開始 | 前受20%獲得/案件の2件で採用 |
3ヶ月目 | 出来高請求運用・与信スコア開始 | 入出金ギャップ30日短縮 |
4ヶ月目 | 単価交渉のロジック化(価値項目) | 単価+5〜8%改定 |
5ヶ月目 | 週次レビューの定着・失注分析 | 失注理由の価格割合が-12pt |
6ヶ月目 | テンプレ最適化・SLA48hを全社適用 | 粗利24%・月次CF+80万円 |
リスクと未然防止
- 前受取得で取引悪化 → 契約書に明記+代替条件(出来高)提案
- 価格改定で失注 → 価値項目の明文化・代替案セット
- 与信C案件の取りこぼし → 着手金必須・上限金額の設定
FAQ
Q. まず何からやるべき?
A. 案件別の粗利と入出金予定の見える化が起点です。次に、48時間で初期見積を返すSLAを設定。
Q. 価格交渉が苦手です。
A. 「安全体制・資格・夜間/狭小対応・工程短縮」を価値項目として見積に明記し、金額根拠を提示します。