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なぜ、売上は増えたのに現金が減るのか?建設業特有の「黒字倒産」を回避する資金繰りの鉄則

2025年11月22日
なぜ、売上は増えたのに現金が減るのか?建設業特有の「黒字倒産」を回避する資金繰りの鉄則

なぜ、売上は増えたのに現金が減るのか?建設業特有の「黒字倒産」を回避する資金繰りの鉄則

「おかしい。去年より売上は1.5倍になったはずなのに、通帳の残高が減っている……」

建設業の経営において、これは決して珍しい現象ではありません。むしろ、「会社が成長する局面」こそ、最も倒産のリスクが高まるというパラドックス(逆説)が存在します。

いわゆる「黒字倒産」です。

帳簿上は利益が出ているのに、支払いをするための現金が枯渇し、不渡りを出してしまう。特に、下請け構造の中で長い入金サイト(支払い保留期間)を強いられがちな建設業は、このリスクと常に隣り合わせです。

本記事では、年商3億〜10億円を目指す建設企業が陥りやすい「資金ショートの罠」と、それを回避して手元資金を厚くするための財務戦略について解説します。

銀行は「売上」を見ていない。「B/S(貸借対照表)」の真実

多くの社長は「P/L(損益計算書)」の売上や利益を気にします。しかし、資金調達において銀行や金融機関が最も厳しくチェックするのは「B/S(貸借対照表)」と「キャッシュフロー」です。

売上が急増すると、以下のような現象がB/Sで起こります。

  • 売掛金の増加: まだ入ってこないお金が資産として計上される。
  • 買掛金・未払金の増加: 外注費や材料費の支払い義務が膨らむ。
  • 運転資金の不足: 入金よりも先に支払いが来るため、その間の「つなぎ資金」が必要になる。

つまり、「売上が上がる=お金が増える」のではなく、「売上が上がる=先に払うお金が増える」のが建設業の構造なのです。この認識のズレが、致命的な資金ショートを招きます。

【危険信号】こんな状態になっていませんか?
  • 大きな現場が決まると、嬉しさより先に「来月の支払いは大丈夫か?」と不安になる。
  • 銀行への返済のために、新しい借入を起こしている。
  • 税理士とは年に数回しか会わず、試算表が2ヶ月遅れで届く。

資金繰りを改善するための3つの鉄則

では、成長痛である「黒字倒産」を防ぎ、筋肉質な財務体質を作るにはどうすればよいのでしょうか。

1. サイト負け(入金サイト>支払サイト)の解消

最も根本的な解決策は、入金と支払いのタイムラグを縮めることです。

下請けの立場では難しいと思われがちですが、優良な元請け(財務基盤のしっかりした大手など)と付き合うことで、入金サイトは大幅に短縮可能です。
逆に、支払いが遅い元請けは、どれだけ単価が高くても「金融コスト」を考えると赤字案件である可能性があります。

2. 日次・週次の資金管理(管理会計の導入)

「月末になって通帳を見て青ざめる」のでは手遅れです。
成長企業は、最低でも「3ヶ月先」までの資金繰り表を常に更新しています。

「どの現場の入金がいつで、外注費の支払いがいつか」を現場ごとに把握する。どんぶり勘定を脱し、「お金の地図」を持つことが経営者の義務です。

3. 財務のプロ(CFO)を外部から入れる

社長が一人で現場管理・営業・資金繰りの全てを行うには限界があります。
しかし、年商数億円の段階で、年収1,000万円クラスの優秀な財務責任者(CFO)を正社員で雇うのはコスト的に困難です。

そこで有効なのが、「外部CFO(最高財務責任者)の活用」です。

銀行との融資交渉、資金繰り表の作成、予算管理などの「守り」をプロに任せることで、社長は「売上を作る(攻め)」ことに専念できます。

「財務の信用」が「良い仕事」を引き寄せる

実は、財務を改善することは、単なる守りではありません。最大の「攻め」になります。

なぜなら、大手ゼネコンや優良サブコンは、新規取引の際に必ず相手の「決算書」を見るからです。彼らは「途中で潰れない、財務の綺麗な会社」をパートナーとして探しています。

つまり、以下のような好循環が生まれます。

  1. 財務管理を導入し、資金繰りを綺麗にする。
  2. 対外的な信用力(銀行格付けなど)が上がる。
  3. それを武器に、支払い条件の良い「優良元請け」の口座が開ける。
  4. 入金サイトが短くなり、さらに資金繰りが良くなる。

弊社のクライアントでも、財務改善に取り組んだ結果、銀行からの融資枠が広がり、それを実績として大手元請けとの口座開設に成功した事例が多数あります。

まとめ:売上を追う前に、お金の「器」を整備せよ

建設業経営において、売上は「ガソリン」ですが、財務は「エンジン」です。
エンジンが整備されていない車(財務基盤の弱い会社)に、大量のガソリン(急激な売上増)を注ぎ込めば、必ずオーバーヒート(倒産)します。

「忙しいけれどお金がない」という悩みは、会社が次のステージに行こうとしているサインでもあります。
今こそ、ドンブリ勘定を卒業し、勝てる財務体質へとシフトチェンジする時です。

弊社では、建設業に特化した財務のプロが、御社の決算書・資金繰り状況を診断し、「手元資金を最大化するためのロードマップ」を作成します。
また、財務が整った段階で、条件の良い優良元請けのご紹介も可能です。

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