「黒字なのにお金がない」建設社長が真っ先に見るべき3つの数字【黒字倒産を防ぐ】

「現場はパンパンに詰まっている。売上も過去最高ペースだ。税理士も『今年は利益が出ていますね』と言う。……それなのに、なぜか会社の通帳にお金が残っていない」

もし社長が今、この感覚をお持ちなら、会社は今「危険水域」にあります。

建設業において最も恐ろしいのは、赤字ではありません。「黒字倒産」です。
実は、倒産する建設会社の約半数は、直前の決算が「黒字」だというデータもあります。

なぜ、汗水たらして稼いだ利益が消えてしまうのか？
この記事では、税理士は教えてくれない「資金ショートのメカニズム」と、社長が明日出社してすぐに確認すべき「3つの数字」について、現場視点で解説します。

なぜ建設業は「利益」と「現金」がズレるのか？

結論から言います。建設業の社長が陥る最大の罠は、「損益計算書（P/L）上の利益」を「使えるお金」だと錯覚することです。

一般的な商売と違い、建設業には「魔のタイムラグ」があります。
材料費や外注費は先に支払わなければならないのに、元請けからの入金はずっと先。この「入金と支払いのズレ（サイト）」こそが、現金を食いつぶす正体です。

売上が急拡大している時ほど、立て替え払いが増え、帳簿上は儲かっているのに資金ショートするという悲劇が起こります。これを防ぐために見るべきは、以下の3つの数字だけです。

社長が今すぐチェックすべき「3つの数字」

1. 入金サイトと支払サイトの「日数差」

まず、自社の平均的な「入金サイト」と「支払サイト」を正確に言えますか？

• 入金： 締め日から何日後に入金されるか（例：翌々月払い＝60日〜90日）
• 支払： 締め日から何日後に支払うか（例：翌月払い＝30日）

もし「入金90日・支払30日」なら、社長は60日間、自社の現金を持ち出していることになります。
売上が増えれば増えるほど、この持ち出し額（運転資金）は雪だるま式に増えます。

【対策】
元請けに対して「出来高払い」の交渉をするか、支払いサイトの長い外注先と組むか。ここを調整せずに「営業！営業！」と走るのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。

2. 未成工事支出金（立替金）の総額

決算書の貸借対照表（B/S）にある「未成工事支出金」。
これは、まだ売上として計上されていない現場のために、「先に支払ったお金（材料・労務・外注費）」のことです。

この数字が異常に膨らんでいませんか？
税理士はこれを「資産」として計上しますが、経営の実態としては「寝ているお金（塩漬けの現金）」です。
特に工期の長い現場が多い場合、この数字がキャッシュフローを圧迫します。

【対策】
現場ごとに「いくら立て替えているか」をリスト化してください。そして、長期化している現場があれば、元請けに中間金を交渉するなどの手が打てます。

3. 「真の」損益分岐点（返済込み）

「粗利で販管費をまかなえていればOK」と思っていませんか？ それは間違いです。
銀行への「借入金の元本返済」は、経費（販管費）には含まれません。利益（税引き後利益）から支払う必要があります。

つまり、
『粗利 － 販管費 － 税金 ＞ 借入金返済額』
となっていなければ、通帳の現金は減り続けます。

「決算書では黒字なのに金がない」という会社の多くが、この借入返済を計算に入れていません。

税理士は「過去」しか見ない。社長は「未来」を見ろ。

厳しいことを言いますが、顧問税理士に「資金繰りはどうすればいいですか？」と聞いても、的確な答えは返ってきません。

彼らの仕事は「正確な決算書を作って納税させること（過去の集計）」であり、「会社の現金を増やして生き残らせること（未来の設計）」ではないからです。

ドンブリ勘定を脱却し、「いつ、いくら現金が足りなくなるか」を3ヶ月先まで見える化する。
それができた会社だけが、不況でも銀行が頭を下げてお金を貸してくれる「強い下請け」になれます。

ひとりで悩む時間は、もう終わりにしませんか？

「数字のことは苦手だ」
「現場が忙しくて、資金繰り表なんて作っている暇がない」
「元請けとの交渉なんて、怖くてできない」

そう思う社長は、一度私たちエスエスコンサルティングとお話しませんか？