「元請依存からの脱却」建設会社の営業DXと直販モデル
2025年10月11日
「元請依存からの脱却」— 建設会社の営業DXと直販モデル
直販ラインを静かに育て、粗利率と受注安定性を両立させる実務ガイド。
無料相談(30分)を予約する1. 元請依存のリスク
- 価格決定権の欠如:単価が叩かれやすく粗利率が不安定。
- 受注変動:元請都合(人事・景気)で案件量が大きく振れる。
- ブランド不在:「元請の一部隊」と見られ自社指名が育ちにくい。
アナロジー:他社の高速道路だけを走る下請構造。料金(単価)も交通量(案件)も相手次第。自社の一般道=直販ルートを整備すれば、渋滞や通行止めの影響を減らせます。
2. 営業DXがもたらす変化
営業DXは「勘と紹介」から「データ×仕組み」への移行です。
- 見込み客の可視化:WordPress・SEO記事、セミナー、SNSからの流入をMA/CRMで一元管理。
- 属人営業の解体:メール開封・サイト閲覧・資料DLなど行動履歴で優先度を自動判定。
- オンライン接点:ウェビナーや動画で、元請以外のエンド顧客へ直接アプローチ。
3. 直販モデルの導入方法
- ターゲット定義:法人施主・個人オーナー・テナント等を明確化。
- 小口直販の立上げ:修繕・小工事で成功体験と口コミを蓄積。
- 自社名での実績発信:写真・動画・顧客の声を継続公開。
- 価格主導権:直接契約により値引き圧力を低減、粗利率を防衛。
4. 導入ステップ(90日ロードマップ)
Day 1–30:基盤づくり
- キーワード設計(例:「原状回復 工事 名古屋」「工場 修繕 緊急対応」)と記事3本。
- 問い合わせ導線(フォーム、電話、LINE)とCTAの統一。
- CRM初期設定(案件・顧客・見積・粗利の最低項目)。
Day 31–60:小口直販の獲得
- Googleビジネスプロフィール整備、実績投稿を週1回。
- 30秒施工動画×3本(ビフォー/アフター)。
- 簡易見積テンプレ運用開始(問い合わせ即日提示)。
Day 61–90:仕組み化と拡張
- MAでスコアリング(閲覧ページ/開封回数/資料DL)。
- 月例ウェビナー(よくある工事の費用感・日程・品質保証)。
- 紹介プログラム(1件紹介=クオカード/保守点検1回無償 等)。
5. KPI設計とダッシュボード
KPI | 定義 | 初期目標(例) |
---|---|---|
直販比率 | 直販売上 ÷ 総売上 | 90日で10–20% |
粗利率 | (売上−原価)÷ 売上 | 直販案件で+5〜10pt |
CVR | 問い合わせ ÷ セッション | 2.0–3.5% |
見積即日率 | 当日提示案件 ÷ 見積総数 | 70%以上 |
再来・紹介比率 | 再受注+紹介 ÷ 直販受注 | 30%以上 |
6. メリットと課題
メリット
- 粗利率の改善(価格主導権の回復)。
- 受注安定(元請都合の変動依存を縮小)。
- 自社ブランドの確立(指名・口コミへの波及)。
課題
- DX導入の初期投資と教育。
- 営業—現場の情報連携の遅延。
- 元請関係のバランス調整(小口から静かに育てる)。
7. よくある反論と回答(FAQ)
直販を始めると元請が離れませんか?
既存案件は品質・期日で信頼を積上げつつ、競合化しにくい小口分野から直販を育てます。連絡窓口・担当体制を分けるのがコツです。
人手が足りません。
短納期・定型の小口直販から開始し、下地処理や片付け等を外注・協力会社で標準化。案件選別基準(利益率・地域・工期)を明文化します。
何のツールから導入すべき?
第一にCRM(顧客・案件・見積・粗利の一元管理)。次にMA(スコアリング配信)。最後にBI(ダッシュボード化)の順が現実的です。
8. まとめと次アクション
- 小口直販の立ち上げ → 実績発信と即日見積の型。
- CRM中心の営業DX → 行動履歴で優先度づけ。
- KPIによる運用 → 直販比率・粗利率・再来/紹介をモニタリング。