建設業の売上アップ|4つの変数に分けて伸ばす方法を解説

建設業の売上アップ

建設業で売上アップを実現するには、やみくもに案件数を追うのではなく、売上を「新規客数×受注単価×成約率×リピート率」の4つの変数に分解し、伸びしろのある変数に合った打ち手を選ぶことが必要です。

この記事では、売上が伸び悩む理由から、変数ごとの具体的な改善方法、着手する順序の見極め方まで詳しく解説します。

この記事の要約

  • 建設業の利益確保は、元請け依存や人手不足、資材高騰によって厳しさを増している
  • 売上は「新規客数×受注単価×成約率×リピート率」の4つの変数に分解して考える
  • 新規客数は、WebやSNSでの発信、紹介制度の導入、公共工事への入札で増やす
  • 受注単価は、直接受注への転換と粗利益を基準にした受注判断で引き上げる
  • 過去の実績データからボトルネックとなっている変数を見極め、着手する順序を決める

目次

  1. 01建設業の売上は4つの変数に分解できる
  2. 02建設業の売上が伸び悩む理由
  3. 03変数1|新規客数を増やす
  4. 04変数2|受注単価を引き上げる
  5. 05変数3|成約率を高める
  6. 06変数4|リピート率を高める
  7. 07どの変数から着手するか見極める方法
  8. 08売上アップを経営全体から見直すなら「建設の参謀」
  9. 09まとめ

建設業の売上は4つの変数に分解できる

建設業の売上は4つの変数に分解できる

建設業の売上は、「新規客数 × 受注単価 × 成約率 × リピート率」の4つの変数に分解できます。売上を伸ばしたいときは、漠然と案件数を追うのではなく、どの変数に伸びしろがあるかを見極めて、そこに合った打ち手を選ぶことが近道です。

例えば、問い合わせは多いのに受注につながらない会社は成約率に、受注はあるのに利益が薄い会社は受注単価に課題があります。本記事では、この4つの変数ごとに具体的な改善方法を整理します。

建設業の売上が伸び悩む理由

建設業の売上が伸び悩む理由

建設業で売上が上がっても手元に利益が残らない背景には、業界特有の構造的な課題が存在します。利益を圧迫する3つの主な原因を整理します。

原因の所在経営への具体的な影響
元請け依存の受注体制立場の弱さから過度な価格競争に巻き込まれやすい
慢性的な人手不足こなせる現場数が制限され、売上の上限が決まる
資材価格の高騰コスト増加分を価格転嫁できず、利益率が低下する

元請け依存の受注体制により過度な価格競争に巻き込まれやすい

特定の元請け企業から案件をもらい続ける体制は、価格決定権を持ちにくく、利益率が低下する要因になります。他社との相見積もりになった際、厳しい単価協議を求められるケースも少なくありません。単に仕事の数をこなしても、一件当たりの利益が少なければ会社に資金は残りません。長期的には現場の負担ばかりが増し、疲弊していくと考えられます。

慢性的な人手不足でこなせる現場の数が限られている

職人や現場監督の不足が深刻化すると、営業で仕事を取っても現場を回しにくくなります。人材が確保できないと、外注費が余計にかさんだり工期が遅れたりして、結果的に利益を圧迫します。売上を伸ばそうとしても、施工能力の限界が会社の成長を妨げる要因になり得ます。

資材高騰の影響を価格に転嫁できず手元に利益が残らない

建材や設備の仕入れ価格が上昇しているにもかかわらず、その分を見積もりに上乗せできないケースが多発しています。ウッドショックや鋼材価格の高騰など、外部環境の変化によるコスト増加分を自社で負担してしまうと、粗利益(売上から原価を引いた利益)が大きく減少するおそれがあります。とくに工期が長い案件では、契約時から着工時までに資材価格が変動し、最終的に赤字工事になってしまうリスクも潜んでいます。

変数1|新規客数を増やす

変数1|新規客数を増やす

新規客数を増やすには、自社の存在を知ってもらい、信頼を獲得する仕組みが必要です。代表的な3つの集客手法を整理します。DMや展示会などを含めた手法の一覧は、新規顧客開拓の記事で解説しています。

集客の手法ターゲット層と得られるメリット
Web・SNSでの発信地域の潜在層に広く届き、施工の品質を視覚的にアピールできる
紹介制度の導入既存顧客のネットワークを通じて、成約率の高い見込み客を獲得できる
公共工事への入札自治体などの信頼性の高い発注元から、安定した規模の案件を受注できる

自社のホームページやSNSで施工実績を発信して発注者の信頼を得る

顧客が工事業者を探す際、インターネットで検索して情報を集めることが多いため、Web上での実績公開が必要です。ビフォーアフターの写真や、施工にかかった期間、費用の目安などをホームページに掲載することで、発注者は完成イメージを持ちやすくなります。InstagramなどのSNSを活用すれば、職人の丁寧な仕事ぶりや現場の雰囲気も伝えられます。こうした継続的な情報発信が安心感を生み、直接の問い合わせに結びつきます。

インセンティブや紹介制度を導入して既存顧客からの紹介を促す

過去に施工を担当して満足してくれた顧客に対し、知人や別の企業を紹介してもらう仕組みを整えることは、非常に有効な集客戦略です。紹介経由の案件は、すでに一定の信頼関係があるため、他社と比較されにくい傾向があります。紹介してくれた顧客への特典(次回のメンテナンス費用割引など)を明確にルール化し、引き渡しの際に案内状を手渡すといった具体的な行動を営業プロセスに組み込みます。

経営事項審査を取得し公共工事の入札に参加する

民間工事だけでなく、官公庁が発注する公共工事の入札に参加することで、一定規模の売上確保につながる可能性があります。公共工事を受注するには、経営事項審査(企業の経営状況や施工能力を客観的に評価する審査)を受け、入札参加資格を得る必要があります。手続きに手間はかかりますが、民間工事と比べて入金面の不安を抑えやすく、会社の資金繰りを安定させる選択肢になり得ます。

参考:国土交通省関東地方整備局「経営事項審査制度の概要について」

変数2|受注単価を引き上げる

受注単価は、取引構造と受注判断の見直しで引き上げる余地があります。

粗利益を基準に受注判断を行う

売上の金額ばかりを追い求める経営を見直し、一つひとつの案件でどれだけ粗利益を残せるかを基準に受注判断を行います。いくら売上が大きくても、利益率が極端に低い案件は会社に利益を残しにくくなります。過去の実績を振り返り、利益が薄い仕事や採算の合わない案件は勇気を持って断る決断も求められます。空いたリソースを、より単価が高く利益の見込める仕事に振り向けることで、会社全体の収益力向上が期待できます。なお、案件ごとの原価管理や見積もり精度の高め方は、利益率改善の記事で詳しく解説します。

元請けとして施主や発注者から直接受注し、中間マージンを抑えて利益率を高める

多重下請け構造の中で二次・三次下請けの立場にとどまると、取引階層ごとに管理費や間接費が発生し、同じ工事量をこなしても案件当たりの粗利益は小さくなります。元請けとして施主や発注者と直接契約できれば、中間マージンを抑え、粗利益を確保しやすくなります。

いきなり大型案件の直接受注を狙うのは難易度が高いため、まずは既存の取引の中で、直接契約に切り替えられる案件がないかを整理します。並行して、小規模なリフォームや修繕など、自社単独で完結できる工事から元請けとしての実績を積むのも有効です。技術力や施工体制を発注者に直接評価してもらえる立場に変わることで、単価交渉の余地が広がり、粗利益の改善につながります。元請企業の新規開拓との違いや進め方は、元請け開拓の記事で解説しています。

根拠を示して価格交渉を行う

資材価格の高騰データや、国土交通省が公表する「労務費に関する基準」などの公的な資料を根拠として示し、発注者と価格交渉を行います。改正建設業法(令和6年法律第49号)では、著しく低い労務費等による見積もりの禁止など、適正な請負代金の確保に向けたルールが整備されています。自社の利益を削って安易な値引きに応じるのではなく、根拠を添えて適正な価格で受注することが、受注単価を引き上げる有力な手段になります。

参考:国土交通省「労務費に関する基準」

参考:国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」

利益率の低い取引条件を見直す

過去の案件ごとの利益率を洗い出し、取引先ごとの採算を確認します。付き合いの長さだけを理由に、採算の合わない条件が続いている取引がないかを点検します。利益への貢献が小さい取引は段階的に比率を下げ、利益率の高い顧客との取引比率を高めていきます。感情論ではなく、数字に基づく経営判断が求められます。

営業部門と工事部門で事前すり合わせを行い赤字受注を防ぐ

営業担当者が単独で見積もりを作成し、現場の状況を考慮せずに安値で仕事を取ってくる事態を防ぐためのルールを設けます。見積もりを提出する前に、営業と工事の担当者が原価や工期について協議するフローを挟みます。現場の視点が入ることで、追加費用の発生リスクや人員の確保状況を見積もりに反映しやすくなります。組織内で情報が連携されることで、利益を確保しやすい受注判断につながります。

変数3|成約率を高める

成約率は、誰に・何を提案するかの精度で大きく変わります。

自社の技術が活きる特定のターゲット層へ提案を絞る

すべての顧客の要望に応えようとするのではなく、自社の得意分野を高く評価してくれる相手にターゲットを絞り込みます。例えば、「病院の空調設備工事を短工期で仕上げられる」といった独自の強みがある場合、地域の医療機関に絞って営業をかけます。専門性を高めることで他社との差別化が図れ、「この分野ならあの会社に頼もう」と想起してもらいやすくなります。

顧客の課題解決に直結する独自の提案をつくる

見積もり金額の安さだけで勝負するのをやめ、顧客が抱える根本的な悩みを解決する提案を行います。「なぜその工事が必要なのか」「工事後にどのようなメリットがあるのか」を顧客目線で言語化します。単に仕様書通りの施工を行うだけでなく、省エネ効果によるコスト削減や、メンテナンス頻度の低減といった付加価値を提示します。顧客の課題解決に寄与する提案ができれば、価格だけで比較されにくくなります。

提案書と見積書で価格以外の価値を伝える

提案の場では、専門用語を避けたわかりやすい説明が成約率を左右します。見積書には、定期点検や保証など、自社で実際に提供できるアフターサービスを明記し、追加費用が発生する条件をあらかじめ明確にしておきます。金額の根拠を丁寧に示すことで発注者の不安が減り、価格以外の価値で比較してもらいやすくなります。

変数4|リピート率を高める

既存顧客からの再受注は、新規開拓より低コストで売上を積み上げられます。

定期点検やアフターフォローを仕組み化し再受注につなげる

一度工事を行った顧客と継続的な関係を築き、メンテナンスや追加工事を受注することは、効率の良い売上アップの手法です。新規開拓にかかる時間や広告費を抑えやすいためです。引き渡しから半年後、1年後といったタイミングで、自社で継続的に対応できる範囲の点検や連絡を仕組み化し、顧客の困りごとを拾い上げます。信頼関係ができているため相見積もりになりにくく、適正な価格で受注しやすい傾向があります。

紹介制度とあわせて既存顧客との接点を保つ

リピートと紹介は、どちらも既存顧客との関係の上に成り立ちます。引き渡し後の挨拶やメンテナンス時期の案内など、接点を保つ行動を営業プロセスに組み込むことで、「次もこの会社に頼もう」と思い出してもらいやすくなります。

どの変数から着手するか見極める方法

4つの変数のどこから手を付けるかは、感覚ではなく数字で判断します。

過去の実績データで4つの変数を点検する

まず、直近1〜2年の案件データから、新規客数、平均受注単価、見積もり提出からの成約率、既存顧客からの再受注の割合を算出します。数字にしてみると、「問い合わせは足りているが成約率が低い」「成約率は高いが単価が低い」など、自社のボトルネックが見えてきます。

伸びしろが大きく着手しやすい変数から手を打つ

4つの変数をすべて同時に改善するのは現実的ではありません。過去の自社実績と比べて落ち込んでいる変数のうち、自社のリソースで着手しやすいものから優先します。例えば、成約率の改善は提案資料の整備から始められるため比較的着手しやすく、新規客数の拡大は集客の仕組みづくりに時間がかかるため中長期で取り組む、といった順序づけが有効です。改善の数値目標は、会社運営に必要な粗利益額から逆算して設定すると、無理のない計画になります。

売上アップを経営全体から見直すなら「建設の参謀」

建設業で売上アップを目指すには、案件数を増やすだけでなく、利益が残る受注を増やす視点が重要です。売上が伸びても、元請け依存や価格競争によって粗利益が残らなければ、現場は忙しいのに資金繰りが楽にならない状態が続きます。

そのため、売上アップに取り組む際は、狙う顧客や利益を残しやすい工事、自社が選ばれる理由を整理することが重要です。そのうえで、営業活動や組織づくりを進めます。

エスエスコンサルティング株式会社が提供する「建設の参謀」は、建設業および製造業向けの経営参謀サービスです。単なる元請け紹介や営業代行ではなく、経営・営業・財務の視点から会社の課題を整理し、下請けから「選ばれる企業」へ転換するための土台づくりを伴走します。

「売上はあるのに利益が残らない」「元請け依存から抜け出したい」「自社の強みをうまく営業に活かせていない」と感じている場合は、集客施策だけでなく、会社全体の勝ち筋を見直すことが大切です。

自社の強みを言語化し利益を残せる勝ち筋を整理できる

売上アップを図るうえで重要なのは、ただ受注件数を増やすことではありません。自社が得意とする工事や、利益が残りやすい案件、避けるべき取引条件を整理し、どの顧客にどのような価値を提供するかを明確にすることです。

高い施工技術や現場対応力があっても、それが発注者に伝わっていなければ、相見積もりの中で価格だけを比較されやすくなります。結果として、受注件数は増えても粗利益が残りにくい状態になりかねません。

「建設の参謀」では、ヒアリングを通じて会社の強みや課題を整理し、「何で勝つ会社か」を明確にする支援を行います。自社の得意分野や選ばれる理由を言語化することで、安さだけに頼らない提案や、利益を残しやすい受注につなげやすくなります。

営業資料や商談準備を整えて選ばれる提案につなげられる

売上アップのために新規開拓や元請けとしての直接受注を進める場合、営業資料や提案内容の整備も必要です。施工実績、対応できる工事範囲、自社の強み、過去の改善事例などを発注者に伝わる形にまとめておくことで、商談時に自社の価値を説明しやすくなります。

一方で、会社案内や提案資料が整っていない状態では、せっかく見込み客と接点を持てても、技術力や対応力を十分に伝えきれないことがあります。特に元請け企業や法人顧客に対しては、工事品質に加えて、体制や安全書類、対応範囲などを説明できる状態を作ることが重要です。

「建設の参謀」では、営業資料やトークスクリプト、ターゲットリストの作成など、営業資産づくりを支援します。さらに、商談前の準備や訪問後のフォローまで伴走するため、単なる接点づくりで終わらず、次の提案や受注判断につなげる動き方を整理しやすくなります。

売上拡大だけでなく粗利改善や資金繰りまで相談できる

建設業の売上アップは、営業活動だけで完結するものではありません。売上が増えても、粗利率が低い案件ばかりを受けていたり、入金より支払いが先行したりすれば、手元資金は安定しにくくなります。

そのため、売上拡大とあわせて、粗利率、資金繰り、借入、経営計画、組織体制なども見直すことが重要です。どの案件を増やすべきか、どの取引条件を避けるべきか、どの程度の粗利益を目標にするべきかを整理することで、売上至上主義ではなく、利益を残す経営に近づきやすくなります。

「建設の参謀」は、元請企業の新規開拓の戦略設計に加えて、資金繰り改善、CFO機能の提供、経営計画の策定、金融機関の選定・交渉支援、事業承継やM&Aの相談にも対応しています。営業・財務・組織の課題を分けて考えるのではなく、経営全体の方向性を整理しながら改善を進められる点が特徴です。

売上アップを一時的な案件増加で終わらせず、継続して利益を残せる会社を目指したい場合は、以下の窓口から相談できます。

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▶サービス詳細「建設の参謀」

まとめ

建設業で売上と利益を安定的に伸ばすには、売上を新規客数、受注単価、成約率、リピート率の4つの変数に分解し、自社のボトルネックに合った打ち手を選ぶことが重要です。既存顧客のアフターフォローやWeb発信による新規集客を進めながら、自社の強みが活きるターゲットへ直接提案していくことが、価格競争を避けることにつながります。

とはいえ、日々の現場対応に追われる中で、自社の取引データを分析し、新たな事業計画を立てるには手間がかかります。さらに、営業戦略を一から構築することは、経営者にとって大きな負担になり得ます。

エスエスコンサルティングでは、現状の利益構造の分析から、元請企業の新規開拓の戦略設計、営業資料の整備、資金繰りや経営計画の相談まで、現場の実態に即した経営改善を支援します。売上至上主義を見直し、継続して利益を残せる会社を目指したい場合は、専門家への相談を検討するのも一つの方法です。

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