建設業の新規顧客開拓|手法一覧と自社に合う選び方を解説

建設業の新規顧客開拓

建設業の新規顧客開拓では、自社の得意な工事を特定し、適した手法で強みを発信することが重要です。本記事では、新規開拓が求められている背景から、オフライン・オンラインの具体的な手法、予算や成果が出る時期をふまえた手法の選び方、受注につなげるコツまでを解説します。

この記事の要約

  • 新規開拓は元請け依存や価格競争から脱却し、利益率を確保するために重要である
  • まずは過去の実績から得意な工事とターゲットエリアを決めて、営業の軸を定める
  • オフラインではDMや直接訪問、ポスティング、展示会への参加で直接関係を構築する
  • デジタル集客ではホームページの充実やGoogleマップ、マッチングサイトを活用する
  • 受注につなげるには、わかりやすい提案書と、自社で提供できるサポートを明記した見積書が有効である

目次

  1. 01建設業で新規顧客開拓が求められる背景
  2. 02建設業が新規顧客の獲得に苦戦しやすい理由
  3. 03新規顧客開拓を始める前に決めておく2つのこと
  4. 04オフラインの新規顧客開拓手法(DM・訪問・ポスティング・展示会)
  5. 05オンラインの新規顧客開拓手法(ホームページ・MEO・SNS・マッチングサイト)
  6. 06手法はどう選ぶ?予算・工数・成果が出る時期で比較する
  7. 07獲得した問い合わせを受注につなげるコツ
  8. 08新規顧客開拓の相談先をお探しなら「建設の参謀」
  9. 09まとめ

建設業で新規顧客開拓が求められる背景

建設業で新規顧客開拓が求められる背景

建設業界では、外部環境の変化によって自社主導で案件を獲得する必要性に迫られています。

要因具体的なリスクと影響
元請け・紹介への依存取引先の業績悪化による売上減少や突然の取引停止
価格競争の激化安値受注による利益率の低下と経営体力の消耗
経営環境の変化資材価格の高騰などにより従来の利益構造が維持できない

既存の元請けや紹介だけに依存するリスクが高まっている

特定の元請け企業や紹介案件に依存した経営は、取引先の状況によって自社の売上が大きく左右されます。元請け企業の業績が悪化すれば、発注量が減少し、連鎖的に自社の経営も圧迫されるおそれがあるからです。自社で新規顧客を開拓できれば、売上の柱が分散され、安定した経営基盤の構築につながります。

激しい価格競争によって利益率の確保が難しくなっている

相見積もりでの価格競争が常態化すると、単価が下落し十分な利益を確保しにくくなります。下請け案件では、取引階層ごとに管理費や間接費が発生するため、手元に残る利益率が低く抑えられがちです。これに対し、元請企業の新規開拓で取引先を広げたり、施主・法人からの直接受注で取引階層を減らしたりできれば、少ない施工件数でも利益率の高い案件を受注しやすくなります。

資材高騰などの経営環境の変化に対応する必要がある

建設資材の価格高騰が続く中、従来の受注単価のままでは利益が残りにくい状況です。利益を確保するには、価格転嫁(資材の値上がり分を販売価格に上乗せすること)を受け入れてくれる顧客や、高単価な案件を自ら探すことが重要です。受け身の姿勢から抜け出し、適正価格で契約できる新しい市場を開拓する対応が求められます。

建設業が新規顧客の獲得に苦戦しやすい理由

新規開拓の必要性を感じていても、業界特有の構造によって営業活動が滞りがちです。

課題の要因生じている影響
現場対応に追われていること営業活動に時間を割けず、目の前の仕事のみをこなす状態
下請け構造の定着元請けからの指示通りに施工するため、自社の強みを見失う
デジタル活用の遅れ昔ながらの人脈に頼り、インターネット経由の顧客を取りこぼす

日々の現場対応に追われて営業活動に割く時間がない

経営者や現場責任者が現場の施工や管理につきっきりになり、営業活動に時間を割けないケースが多々あります。工期を守るための現場対応が優先となり、深刻な人員不足も重なって新規開拓は後回しになりがちです。新しい顧客を探すには、まず業務を効率化して営業に専念できる時間を作る環境整備が前提となります。

長年の下請け構造により自社の強みを言語化できていない

下請けとして指定された図面通りに施工してきた企業は、自社の強みを自覚しにくい傾向があります。他社と比較される経験が少ないため、顧客にアピールすべき技術力や対応力が言葉になっていません。自社の魅力が言語化されていなければ、新規の顧客に「なぜ自社に頼むべきか」を伝えにくく、受注獲得の機会を逃すおそれがあります。

昔ながらの営業手法にとらわれデジタル活用が遅れている

過去の成功体験から人脈や紹介ばかりに頼り、Webを活用した集客に出遅れている企業が少なくありません。現在では、元請け企業も一般消費者も、まずはインターネットで発注先を検索して比較します。デジタルツールを活用する仕組みが整っていないと、自社を知ってもらう機会が減り、競争で不利になるおそれがあります。

新規顧客開拓を始める前に決めておく2つのこと

新規顧客開拓を始める前に決めておく2つのこと

やみくもに営業を始める前に、狙う工事とエリアの2つを明確に定めます。あわせて必要になる「自社の強みの言語化」は、ターゲット設定や目標設計と一体で進めるほうが効率的なため、営業戦略の設計を扱う記事で詳しく解説します。

準備項目検討すべき内容
得意な工事の特定過去の実績から利益率が高くスムーズに進んだ工事を洗い出す
ターゲットエリアの設定地域密着か広域対応か、自社の体制に合わせて受注範囲を決める

過去の施工実績から利益率が高く得意な工事を特定する

まずは過去の工事を振り返り、自社が得意とし、利益が残りやすい工事を特定します。どのような仕事でも引き受ける姿勢では、専門性が伝わらず価格競争に巻き込まれる原因となります。たとえば「木造住宅の耐震補強」や「店舗の内装リフォーム」など、注力する分野を絞り込むことで、その領域を必要とする顧客にアプローチしやすくなります。

地域密着か広域対応か狙うべきターゲットエリアを定める

人員や移動時間のリソースを考慮し、どの範囲まで仕事を請け負うかを明確にします。地元の工務店であれば、地域を絞ることで「すぐ駆けつけてくれる」という安心感が独自の強みです。一方、需要が限定的な技術を持つ場合は、広域に対応して案件数を確保する戦略が適しています。地域密着と広域展開のどちらを選ぶかで、その後の営業方針が大きく変わります。

オフラインの新規顧客開拓手法(DM・訪問・ポスティング・展示会)

対面や紙媒体を使ったオフラインの営業は、信頼関係を築きやすい特徴があります。

手法特徴と適した対象
直接訪問元請け企業や設計事務所に実績をアピールし関係を深める
DM(ダイレクトメール)決裁者に直接情報を届け、開封してもらう工夫で商談のきっかけを作る
ポスティング限定した地域にチラシを配り、一般消費者の認知を広げる
展示会・相談会イベントで直接対話し、興味を持つ見込み客と接点を持つ

元請け企業や設計事務所へ直接訪問し関係を構築する

ターゲットとする元請け企業や設計事務所をリストアップし、直接訪問して自社の施工実績をアピールします。すぐに仕事をもらえなくても、定期的に訪問して最新の実績を共有することで、相手が外注先を探した際に声がかかる可能性が高まります。担当者との信頼関係が構築されれば、継続発注につながる可能性があります。

決裁者へ直接届くDM(ダイレクトメール)を送付して商談につなげる

ターゲットとする企業の決裁者宛てにDMを送ることで、自社の施工実績や強みを直接アピールできます。飛び込み営業よりも心理的な負担が少なく、封を開けてもらえれば、関心を引き出せる可能性があります。開封率を上げるために、手書きのメッセージを添えたり、目を引く事例写真を同封したりする工夫が有効です。

地域密着型の工務店ならチラシのポスティングを取り入れる

一般消費者向けのリフォームなどを狙う場合は、特定のエリアに絞ってチラシを配布するポスティングが効果的です。インターネット検索に不慣れな高齢者層にも直接情報を届けられます。最初は「網戸の張り替え」や「雨どいの修理」といった手軽な工事から接点を作り、将来的な大型リフォームの受注につなげる狙いがあります。

業界の展示会や相談会に参加し見込み客と直接つながる

建設業界の展示会や、住宅リフォーム相談会への参加は、具体的な課題を持つ顧客と直接対話できる貴重な機会です。自社の技術や過去の施工事例のパネルを展示し、その場で質問に答えることで、技術力と人柄を伝えやすくなります。その後の名刺交換から後日の訪問アポイントへつなげ、具体的な商談へと進めます。

オンラインの新規顧客開拓手法(ホームページ・MEO・SNS・マッチングサイト)

オンラインの手法は、自社が営業していない時間でも見込み客との接点を作れる可能性があります。

媒体活用方法と期待できる効果
ホームページ施工事例や強みを掲載し、検索経由での問い合わせを獲得する
Googleマップ店舗情報を登録し、地域名での検索で表示されやすくする
SNS現場の写真を発信し、親しみやすさや技術の魅力を視覚で伝える
マッチングサイト案件を探すポータルサイトに登録し、効率よく仕事を見つける

自社の施工事例や強みをホームページにわかりやすく掲載する

ホームページは会社の顔であり、過去の施工事例や顧客の声を豊富に掲載して信頼性を高める役割を持ちます。多くの場合、発注者は事前にホームページを確認し、技術力や対応可能な工事を見定めます。そのため、「どんな課題をどう解決したか」がわかる具体的な事例を載せることで、似た悩みを持つ顧客からの問い合わせの獲得につながります。

Googleマップに登録し地域での検索上位を狙う

Googleビジネスプロフィール(Google検索やマップに企業情報を無料で表示できるツール)に登録し、地域での検索結果に自社を表示させます。発注者が「地域名+リフォーム」などで検索した際、自社がマップ付きで表示されれば、認知度の向上が期待できます。Googleはローカル検索の表示順位を関連性・距離・知名度などから決定するとしており、正確な会社情報、施工事例、口コミへの対応などを継続的に充実させることが重要です。

参考:Google「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」

ビジュアルで魅力を伝えやすいSNSで情報発信する

InstagramなどのSNSを活用し、施工のビフォーアフターや現場の風景を写真や動画で発信します。住宅や店舗の内装など、デザイン性が重視される分野では効果的です。文章だけでは伝わりにくい職人の丁寧な仕事ぶりや、会社の雰囲気を視覚的に伝えることで、親しみやすさを感じてもらいやすくなります。

建設業向けのマッチングサイトやポータルサイトに登録する

仕事を探す協力業者と元請けを結ぶマッチングサイトに登録すれば、新しい案件を探しやすくなります。自社の希望する条件(エリアや工種)に合った案件を探せるため、営業リソースが不足している企業に有効です。利用料や手数料はかかりますが、自社でゼロから集客する手間を削減できます。

手法はどう選ぶ?予算・工数・成果が出る時期で比較する

手法ごとに、必要な予算・工数と、成果が出るまでの時間軸は異なります。1つに絞るのではなく、自社のリソースに合わせて短期と中長期の施策を組み合わせることが重要です。

自社に割ける予算と営業リソースの限界を見極める

手法を選ぶ際は、自社が捻出できる予算と、営業活動に使える人員・時間を正確に把握することが出発点です。例えば、営業の担当者がいないまま訪問営業を計画しても、現場業務が圧迫されて途中で頓挫しかねません。資金に余裕があるならWeb広告や外部サービスの活用、予算を抑えたいならSNS運用やポスティングといったように、身の丈に合った手法を選ぶのが現実的です。

すぐに反響が出る施策と中長期で育てる施策を並行して回す

営業活動は、即効性のある短期施策と、時間をかけて問い合わせを増やす中長期施策を組み合わせて実行します。DM送付やマッチングサイトの利用は比較的早く商談につながる可能性がありますが、ホームページやSNSでの発信は成果が出るまでに半年以上かかると考えられます。目先の売上を短期施策で確保しつつ、中長期施策で将来の集客基盤を育てていく進め方が有効です。

獲得した問い合わせを受注につなげるコツ

獲得した問い合わせを受注につなげるコツ

問い合わせがあっても、対応の仕方次第で競合他社に案件を奪われてしまいます。

フェーズ具体的な対応
提案専門用語を避け、図や写真で発注者の不安を解消する
見積もり自社で提供できる点検や保証などの条件を明記する
体制整備現場業務を効率化し、顧客対応に十分な時間を確保する

専門用語を避け発注者の不安を解消する提案書を作成する

提案の際は、建設業界の専門用語をできるだけ平易な言葉に言い換え、発注者が内容を正しく理解できるような配慮が必要です。図面だけでなく、過去の似た事例の写真を用いて完成イメージを共有することで、発注者の不安を取り除けます。顧客の悩みに寄り添い、解決策をわかりやすく示す姿勢が、信頼につながりやすくなります。

見積もりに施工後のサポートや品質保証の独自価値を添える

相見積もりになった際、単なる金額の羅列では安さだけで比較されてしまいます。見積書には、定期点検や保証など、自社で実際に提供できるアフターサービスを明記することが有効です。あわせて、追加費用が発生する条件をあらかじめ明確にし、金額の根拠を丁寧に説明することで、価格以外の安心感が伝わり、発注者の納得感につながりやすくなります。

現場管理などの既存業務を効率化し営業に充てる時間を確保する

せっかく問い合わせをもらっても、対応が遅れれば発注者が他社を検討する可能性があります。事務作業や現場管理の負担をツールなどで軽減し、迅速に見積もりや提案を行える体制を整えることが重要です。顧客対応の時間を十分に確保し、レスポンス(顧客からの問い合わせに対する返答)を早くすることが、受注率を上げるための重要な条件です。

新規顧客開拓の相談先をお探しなら「建設の参謀」

建設業の新規顧客開拓では、営業施策を実行する前に、自社がどの顧客に、どの強みを伝えるべきかを整理することが重要です。

特に、長年下請け案件を中心に受注してきた会社では、技術力や対応力があっても、それを発注者に伝わる言葉にできていないケースがあります。強みが伝わらなければ、相見積もりの中で価格だけを比較されやすくなり、利益率の低い案件から抜け出しにくくなります。

エスエスコンサルティング株式会社が提供する「建設の参謀」は、建設業および製造業向けの経営参謀サービスです。単なる元請け紹介や営業代行ではなく、経営・営業・財務の視点から会社の課題を整理し、下請けから「選ばれる企業」へ転換するための土台づくりを伴走します。

「新規顧客を増やしたいが、何から始めればよいかわからない」「自社の強みをうまく伝えられない」「営業に時間を割けない」と感じている場合は、集客手法だけでなく、会社全体の勝ち筋を見直すことが大切です。

自社の強みを言語化し選ばれる理由を整理できる

新規顧客開拓で成果につなげるには、まず「自社は何で選ばれる会社なのか」を明確にする必要があります。施工技術、対応エリア、工期対応、近隣配慮、協力会社との連携、安全書類への対応など、発注者が安心して依頼できる理由を整理することが重要です。

しかし、日々の現場対応に追われていると、自社の強みを客観的に見直す時間は取りにくいものです。長く当たり前に行ってきた対応ほど、社内では強みとして認識されていないこともあります。

「建設の参謀」では、ヒアリングを通じて会社の強みや課題を整理し、新規顧客に伝えるべき訴求軸を明確にします。「どこへ売るか」の前に「何で勝つか」を固めることで、安さだけに頼らない新規開拓につなげやすくなります。

営業資料や提案内容を整えて新規顧客に伝わる状態を作れる

新規顧客との接点を作っても、会社の魅力や対応力をうまく伝えられなければ、受注にはつながりにくくなります。施工事例、対応できる工事範囲、過去の実績、提案時の説明内容などを整理し、発注者が判断しやすい形に整えておくことが大切です。

「建設の参謀」では、営業資料やトークスクリプト、ターゲットリストの作成など、新規開拓に必要な営業資産づくりを支援します。さらに、商談前の準備や訪問後のフォローまで伴走するため、単に顧客接点を増やすだけでなく、次の提案につなげる動き方を整理しやすくなります。

新規顧客開拓は、問い合わせ数を増やすだけで完結するものではありません。自社の強みを伝えられる状態を作り、狙うべき顧客像や避けるべき案件条件を整理したうえで営業活動を進めることが、利益を残しやすい受注につながります。

元請企業の新規開拓や資金繰りまで含めて経営改善を相談できる

新規顧客開拓に取り組む目的は、単に案件数を増やすことではありません。元請け依存や価格競争から抜け出し、適正な単価で選ばれ、会社に利益を残すことが重要です。

そのためには、営業面だけでなく、粗利率、資金繰り、借入、経営計画などもあわせて見直す必要があります。いくら新規案件が増えても、条件の合わない受注が続けば、現場は忙しいのに利益が残らない状態から抜け出しにくくなります。

「建設の参謀」は、元請企業の新規開拓の戦略設計に加えて、資金繰り改善、CFO機能の提供、経営計画の策定、金融機関の選定・交渉支援、事業承継やM&Aの相談にも対応しています。営業・財務・組織を一体で見直し、経営全体の方向性を整理しながら改善を進められる点が特徴です。

新規顧客開拓を一時的な営業活動で終わらせず、継続して利益を残せる会社を目指したい場合は、以下の窓口から相談できます。

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▶サービス詳細「建設の参謀」

まとめ

建設業における新規顧客開拓は、元請け依存から脱却し、安定した利益を確保するために重要な取り組みです。まずは得意な工事とターゲットエリアを定め、オフラインの手法とデジタルツールの活用を組み合わせて、自社に合う集客の仕組みを構築します。

しかし、現場対応に追われる中で、自社の強みを客観的に分析し、効果的な営業戦略を一から組み立てるのは時間と労力がかかります。「なぜ自社が選ばれるのか」という顧客視点が不足している状態では、どこから手をつければよいか迷ってしまう方も多いはずです。

エスエスコンサルティング株式会社が提供する「建設の参謀」は、建設業および製造業向けの経営参謀サービスです。営業面だけでなく、経営・財務の視点から会社の課題を整理し、利益を残せる体制づくりを支援します。

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