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建設業のコスト構造改革|粗利率を10%上げるための原価マネジメントとは?

2025年7月1日

はじめに|エスエスコンサルティングの鈴木です


「粗利率をあと10%上げられれば、うちの会社は黒字になるんだが…」

これは、私たちが現場で数多く耳にする建設業経営者の声です。
資材費の高騰、職人不足による労務費の上昇、利益を圧迫する下請構造──。
売上が上がっても、最終的に残る利益はほんのわずか、という企業は少なくありません。

本記事では、**粗利率を10%改善するための「原価マネジメント」**について解説します。
特に中小建設業の経営者に向けて、明日から実践できる具体的な改善手法をご紹介します。



なぜ今、「粗利率10%アップ」が必要なのか?

資材・労務コストが限界を超えている

ここ数年、建設業界では資材費が高止まりしており、コンクリート、鉄筋、足場材など、すべてが仕入れベースで2割〜3割上がっています。

さらに、職人の確保が困難になり、日当は都内で2万〜3万円超えも珍しくなくなりました。

これらは「コントロールできないコスト」です。
だからこそ、内部のコスト構造を見直す必要があるのです。



粗利率10%改善のカギは「原価マネジメント」

粗利率を改善するには、売上を増やす以上に、原価を管理する体制を作ることが近道です。
ポイントは、次の2点に集約されます。
•1現場ごとに原価を見える化する
•見えないコスト(間接費)を意識する

多くの会社は、「材料費」や「外注費」は気にしても、事務所経費や本社人件費といった間接費が原価に含まれていないケースが多く、正確な粗利が見えていないのが実情です。



原価を最適化する5つのステップ

1. 現場ごとの損益を「見える化」する

まずは、すべての現場ごとに「売上」「原価」「利益」を管理する仕組みを導入しましょう。

たとえば:
• 材料費:1,200,000円
• 外注費:900,000円
• 人件費:600,000円
• 合計原価:2,700,000円
• 売上:3,200,000円 → 粗利:500,000円/粗利率15.6%

このような「現場別PL」を作ることで、赤字工事の要因がはっきり見えてきます。



2. 外注と内製のバランスを見直す

外注ばかりに頼ると粗利は圧迫されますが、内製化しすぎると逆に人件費固定化というリスクが伴います。

理想は「閑散期に外注比率を増やし、繁忙期は社員・協力業者との連携で回す」柔軟な体制。
月次で**外注比率(外注費/売上)**を管理することが重要です。



3. 材料ロス・運搬ロスの数値化

材料の余剰、廃材処分費、2度手間による運搬ロス…。これらはすべて「見えない原価」です。

たとえば:
• 搬入回数が1回増えるだけで2万円追加コスト
• 残材処理で1現場5万円の損失
→ 年間30現場で150万円の利益ロス

これらを記録・改善するだけで、大きな粗利改善につながります。



4. 間接費を現場に配分してみる

原価=材料+外注+人件費、だけではありません。
• 工事部の管理職給与
• 営業・経理スタッフの人件費
• 事務所家賃・車両・通信費
これらはすべて**「間接原価」**です。

これを「月間稼働現場数」で割り、1現場あたりに配分することで、本当の粗利が見えてきます。



5. デジタルで「原価を見える化」する

Excelや紙では限界があります。
今では原価管理に特化したクラウドツールも多数登場しています。
• ANDPAD原価管理
• KANNAコンストラクション
• 建設BALANCE

こうしたツールで現場から直接データを入力し、「リアルタイム原価管理」が可能になります。



成功事例:粗利率を12%→21%に改善した足場業者のケース

都内の足場施工会社A社(年商4億円)は、2年前まで赤字案件が年間20件以上ありました。
しかし、現場ごとの収支表を導入し、損益が可視化されるようになったことで、利益の出ない仕事は受けない判断が可能に。

さらに、事務所経費・間接部門人件費も配賦し、真の粗利を見える化。
結果、粗利率12%→21%に改善し、経常利益は年間900万円アップしました。



まとめ|粗利率10%アップは、数字と仕組みの積み重ね

建設業の利益は、「売上」ではなく「粗利率」で決まります。
そのカギとなるのが「原価の見える化」と「コスト構造の最適化」です。

今すぐできる第一歩は、現場ごとの原価管理と間接費の配賦です。
粗利率10%アップは夢ではありません。
「なんとなく黒字」から「確実に黒字化」へ──原価マネジメントを経営の武器に変えましょう。


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